日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の福井を行く 2020 - 只乗り

2020-09-21 11:20:51 | 北陸
続いて訪ねたのは春江の直線区間です。見渡す限りの田圃の中を列車が疾走する眺めは、いかようにでも撮れそうに見える一方で、あまりに広すぎるが故の難しさもあるにはあります。列車があまりに遠ければ、そもそも何を撮っているのかが分かりません。さりとてあまりに近付けば、紋切り型の画になりがちです。稲穂が実るこの時期らしい画にするためには、ほどよい間合いを置く必要が出てきます。それに加えて考慮すべきは北陸の稲刈りの早さです。九月の下旬にもなると刈られた田圃が増えてくるため、線路からほどよい間合いを置いた上で、目の前に稲穂が広がっている場所を探す必要が出てきます。それ以前の問題として、背景の目立つ建物と、線路際の雑草、障害物を可能な範囲で避けるという、最低限の配慮も当然必要です。
条件がこうも多いと、いかに広大な田圃といえども、どこから構えればよいかはある程度絞られます。ただしそれを初見で探り当てるのは難しく、何度も足を運ぶことにより会得するしかありません。その点ここは十数年通い続けたなじみの深い撮影地の一つです。ある程度の目星はついています。それを頼りに歩いていくと、目当ての位置の手前に広がる田圃の稲穂が、幸いにしてまだ刈られずに残っていました。しかし、よくよく見ると農道には軽自動車が。トラックではなく乗用車という時点で十中八九同業者でしょう。その見立ては的中し、持参の大鋏で線路際の草を刈っているところでした。その先客との兼ね合いで、10時台に来る特急の作画については妥協せざるを得なかったものの、この御仁がいなければ、そもそも草が邪魔になり、撮影できないところでした。先人の功績に只乗りし、11時台の特急を首尾よく仕留めることができれば、結果としては勝ちといってもよさそうです。
コメント    この記事についてブログを書く
« 豊穣の福井を行く 2020 - 九... | トップ | 豊穣の福井を行く 2020 - 丸... »

コメントを投稿