日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

中国九州縦断ツアー 2016 - 瓢六

2016-11-22 21:47:44 | 居酒屋
教祖の言葉を拝借して、「熊本へ行くことは瓢六へ行くことである」と申したことがあります。今回もいの一番に暖簾をくぐりました。
このように書くと何の迷いもなく飛び込んだかのようですが、熊本に着くのが遅くなったことで、この店の扱いが悩ましくなりました。もちろん行くこと自体は決めていたものの、わざわざ宿までとったからには、はしごをしたくなるのが人情です。しかし一軒目に入るのがこの時間ということになると、二軒目の選択肢は相当絞られてしまいます。その点「瓢六」ならば日付が変わっても入れるわけで、この状況下においてはどこかで一杯ひっかけてから「瓢六」へ移るのが順当になるわけです。その一方で、「瓢六」に万全な状態で臨みたいと思うのもまた人情ではあります。
あちら立てればこちらが立たずの状況で悩んだ末、二通りの筋書きを描きました。いずれにしてもまず「瓢六」へ行き、入れれば一軒限りという選択も視野に入れつつ心ゆくまで呑み、これはという店を見つけられた場合だけはしごをして、満席で振られた場合は他の店で一杯やってから出直すというものです。しかして暖簾をくぐるとおでん舟の前の特等席が空いており、落ち着くべきところに落ち着くという結果でした。

鹿児島で世話になった「分家無邪気」と同様に、何度か足を運ぶにつれてこの店での注文の仕方も固定化されてきました。「分家無邪気」の場合、まずおでん、次いで鶏刺しを注文し、あとは腹具合と酒の消費に応じて串焼きか刺身、一品をいただくのに対し、こちらでは鶏刺しに代わって馬塩焼が主役を務めます。しかる後に大きなお椀の魚味噌汁で締めくくるのが定跡です。昨夜のように二夜連続ということになれば、第一夜は定跡に従い、第二夜は二軒目に回しおでんで軽く一杯という使い分けもできるとはいえ、一年半ぶりの再訪ならば奇をてらう余地はありません。今回も見事なまでに筋書き通りとなりました。

大抵の呑み屋の場合、九時を過ぎればお客が一巡して落ち着くものです。しかしそのような常識もこの店には当てはまりません。満席にまではならないものの、カウンターも小上がりも常時八割方が埋まっており、さらには時折お客から空席確認の電話が入って、老若男女問わない地元客が次から次へと入ってきます。そのような場面の中で気付いたのは、万一収容できない場合、品書きにもある姉妹店にお客を案内しているということです。あまりの繁盛ぶりにつき、隣のビルに姉妹店を作って、お客を融通し合うだけでなく、一方で作った品をもう一方に出前するという連係もしているようです。決して広くはない店内に大勢の板前、おばちゃん、お姉さんが出入りしているのを常々不思議に思っていたものですが、おそらく一部は姉妹店から来ているのでしょう。あちらも同じ入りだとすればたいそうな繁盛ぶりです。
しかし、この盛況も宜なるかなと納得させてくれる名店です。黙々と働く板長、眼鏡をかけた快活なおばちゃん二人組を筆頭に、何人もの板前とおばちゃん、お姉さんが小気味よく立ち回る様子は好ましく、地元客で賑わう大衆的な店内の雰囲気も申し分なし。「分家無邪気」とは一味違う味噌おでんも、噛めば噛むほど味が出る馬塩焼も、他の店では味わえない唯一無二の逸品です。今回も盤石の安定感でした。

瓢六
熊本市花畑町13-23 花畑ビル1F
096-354-7558
1700PM-230AM
日曜定休(祝日の場合翌日休業)

瑞鷹
突き出し(ツナサラダ)
おでん四品
馬塩焼
魚味噌汁

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