日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

金沢移住顛末記 完結編 - ほのじ

2021-10-16 21:32:03 | 居酒屋
慣れない洗車に悪戦苦闘し疲れが出たか、新居に戻るや眠りに落ち、目覚めると予報通りに雨が降っていました。傘をさしても濡れそうなほどの本降りでした。しかし、よりにもよって嵐となった入居初日のことを思えば、傘をさせるだけまだましです。川の向かいまで歩くだけならどうということはありません。密かに当たりをつけていた店の暖簾をくぐります。
物件の下見で当地を訪ねたとき、繁華街を再度探索してみました。ただし、蒸し暑かった六月下旬、くまなく歩くのは無理です。片町の中ではなじみが薄かった、しかし後々新居となる物件からはとりわけ近い交差点の南東側を中心に、めぼしい店がないかどうかという観点で歩きました。そのとき目に留まったのが「ほのじ」と書かれた提灯です。店先にある黒板には、創意工夫が凝らされただろう品が綴られ、想像を掻き立てるものがありました。お門違いな「要請」による休業を経て、ようやく機会が訪れたという経緯は、先週訪ねた「湊屋」などと同様です。
改めて店先に立つと、いかにも常連御用達らしき佇まいです。これは取りも直さず、一見客が飛び込むには思い切りが要るということでもあります。恐る恐る暖簾をくぐったところ、威勢のいい店主と和装の女将が二人で立っていました。片付けが済むのを待って通されたのはカウンターのやや奥、店主の定位置の斜め前という上席です。ぼんぼりの明かりに浮かぶ網代天井、居抜きのようにも見受けられる肘置き付きのカウンターが、改築前の「はすや」を思い出させます。玄関寄りの壁には半紙の品書きが、一品につき一枚ずつ掲げられており、日替わりのおすすめ品は小さな黒板に綴られて、各自の手元に置かれるという仕組みです。扇子を酒の品書きとして使うなど、さりげない遊び心に店主の感性が窺われます。
てらいのない品もあるにはあるものの、やはりここでは一工夫加えられたものを選んでいくのが正解でしょう。そのような品を主体にいただいて、一時間少々の滞在で辞去するという顛末です。何度か通えば、作風とでもいうべきものが見えてくるかもしれません。遠からぬうちに再訪してみたいと思う一軒でした。

ほのじ
金沢市十三間町83-1
076-263-7343
1800PM-2330PM
日曜定休

常山
遊穂
白龍
突き出し(胡麻豆腐)
親鶏あぶりたたき
えびのアスパラ巻き揚げ
手づくりしゅうまい
台湾焼きそば
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