日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い北陸へ 2015 - やつはし

2015-02-07 17:54:28 | 居酒屋
先週札幌で、長らく素通りを続けていた「あんぽん」を訪ねたとき、同様に素通りしている店が他にもあると申しました。その手の店の代表格として挙げた「やつはし」を本日の二軒目とします。
牡蠣を理由に食わず嫌いをしていた「あんぽん」と違い、この店を避ける理由は特にありませんでした。しかるに、駅前に「親爺」「あら川」「真酒亭」と名店がひしめく富山にあって、唯一駅から遠いこの店には足が向かなかった次第です。そして去年の花見の際に訪ねたときは、残念ながら予約満席で振られました。しかし、今回もそのような事態を覚悟しつつ乗り込むと、幸いにして満席の貼り紙はありません。これにてようやく宿願達成と相成りました。

古びた雑居ビルの一階にある店舗は、建物と同様に年季が入っていながらも、清潔に手入れされた様子はむしろ好ましく感じられます。玄関から奥へと延びる折れ曲がったカウンターは、金沢の「大関」のそれを一回りか二回り短くしたもので、格子天井から下がった行灯、石を貼り合わせた床を含めて大衆割烹の趣です。カウンターと奥の座敷は隔てられ、一人酒には申し分ありません。中央には短髪黒縁眼鏡に割烹着の店主が立ち、Tシャツ姿の助手二人がつきます。ほどなくして女将も加わりました。店の年季の割に自分とさほど年代が変わらないことからして、おそらく二代目か三代目なのでしょう。
富山の居酒屋といえば、当然ながら富山湾の幸が売り物です。しかし、富山の名店が数ある中でも、魚介の秀逸さについて教祖がとりわけ絶賛しているのがここです。その評判通り、目の前の冷蔵ケースには数え切れないほどのネタが詰め込まれており、期待も否応なしに高まってきます。その魚介は冊子になった品書きを二面使って書き込まれており、刺身に始まり焼物、煮物、揚物、酢物、鍋物と死角がありません。またしても選びきれずに刺身を盛り合わせてもらうという展開です。
一人前と「小」がある中、二軒目ということもあり控えめに後者を選ぶと、十分気前よく盛られた六点が、下駄に乗って出てきました。お約束の鰤を主役にしつつも、平目、メダイ、梅貝など、「親爺」と違うものが盛られてくるところに、富山の居酒屋の実力が感じられます。ヤガラのほっこりした食感も秀逸。「四方浜キトキト魚直送」の看板に偽りはありませんでした。

やつはし
富山市桜木町6-4 千歳ビル1F
076-431-8284
1730PM-2200PM(LO)
日祝日定休

吉乃友
突き出し(真子と白子の煮付け)
刺身盛り合わせ小
ヤガラ天ぷら
雑魚汁小

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