日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

花見の旅 2010番外編(4)

2010-06-15 23:41:12 | 旅日記
間延びしましたが花見の旅のダイジェストを再開します。前置きは抜きにして大型連休の後半から始めましょう。

・弘前滞在(5/5)
東北随一の桜の名所、弘前公園に終日滞在する一日でした。ソメイヨシノは既に散り際でしたが、風に吹かれて吹雪のように舞う花と、濠に浮かぶ花筏は見事というほかなく、時間を忘れて立ちつくすこともしばしばでした。広大な園内に所狭しと立ち並ぶ桜の数はもちろんのこと、大ぶりでありながら上品さと可憐さを兼ね備えた花も唯一無二の存在です。起伏に富んだ園内に濠あり池あり曲輪あり天守ありの変化に富んだロケーションが展開し、ソメイヨシノの他にも枝垂れ桜、エドヒガン、八重桜などが百花繚乱に咲き誇り、終日滞在しても全く飽きることがありません。数時間の中座はあったものの、結局ライトアップが終わる夜11時まで滞在するという前代未聞の事態に。五重塔で有名な最勝院の裏手の路地で一献傾けて長い一日は終了、残りは翌日へ持ち越しとなりました。

・弘前滞在二日目(5/6)
悪天候との予想に反して午前中はそこそこの晴天に恵まれ、午前中は弘前公園で落ち穂拾いと相成りました。明け方のまだ弱い日差しに照らされた花筏の色合いは息を呑むほど美しく、桜越しに望む残雪の岩木山も秀麗で、一日や二日の滞在では知り尽くすことのできない弘前の桜の奥深さというものを実感させられました。
午後は北五津軽へ足を延ばして金木の芦野公園を訪ねましたが、ここまで持ちこたえた天候もついに崩れて、夕方には上着なしには過ごせないほどの寒空に変わりました。夜は小雨そぼ降る弘前公園へ戻って夜桜見物。前日の賑わいが嘘のような閑散とした園内で名残を惜しみ、二日にわたった弘前の花見は終了。最後は馴染みの居酒屋で締めくくります…と思ったら、この後二度にわたって弘前を再訪することになるとは、その時点では想定できませんでした。

・青森から函館へ(5/7)
二日にわたって滞在した弘前は、紛れもなくこの旅における一つの山場でしたが、それと並ぶもう一つの山場となったのが、桜前線とともに海峡を渡るという宿願を果たした七日目です。早朝のフェリーで青森から函館へ渡り、昨年末以来の北海道へ上陸。午前中こそあいにくの雨だったものの、午後からは透明感のある青空が広がり、わずかな時間とはいえ北海道らしいさわやかな空気の中で花見ができたのは幸いでした。日が傾いてからの凍えるような寒さや轟々とうなりを上げる強風も、それはそれで鮮烈な印象が残ります。花見以外にも温泉ありB級グルメありの変化に富んだ一日で時間もあっという間に過ぎ、夜行のフェリーで一日滞在した函館を離れました。

・落ち穂拾いの津軽(5/8)
青森から長距離移動して秋田へ向かうつもりが、現地の桜は既に見納めとの情報が入ったため、予定を変更してもう一日津軽にとどまることになりました。結果としては、これが最終日に禍根を残すことになるのですが…
津軽平野の桜があらかた散ってしまった中で、岩城山麓にはまだ桜が残っていましたが、主役はソメイヨシノからヤマザクラに変わり、桜前線が内地から北海道へ向かって去りつつあることを実感する一日でした。日没後は三たび弘前公園で夜桜見物。道中最後の夜は路地裏の小料理屋で一献傾けて終了となりました。

・時間と戦う最終日(5/9)
都内までざっと800kmの長距離移動を残してしまい、一抹の不安を抱えながらのスタートとなりましたが、それでもひたすら先を目指すわけではなく、性懲りもなく弘前公園へ寄ったり、名水を訪ねたり温泉に入ったりして自分の首を絞めてしまうのが悲しい性というものです。結局、午前中に立ち寄るつもりの角館に着いたときには日没も近く、なおかつ目当ての桜はとうの昔に散って葉桜になっており、この期に及んで初めて自分の選択の間違いに気付かされました。しかし時は既に遅く、とっぷりと日が暮れた後で、大阪から東京まで移動するに等しいような長距離移動が残るという、絶望的な状況に追い込まれてしまいました。とはいえ千里の道も一歩から、最後の力を振り絞って走れるだけ走っては休憩を繰り返し、どうにか明け方には帰宅したのですから我ながら大したものです。全九日間、航路を含め移動距離2500kmあまりに及ぶ花見の旅は、こうして終わりを迎えたのでした。
まさに完全燃焼、しばらくは何も考えず休みたいと思うほど、やれるだけのことをやり尽くした旅でした。その二日後にはもう翌週の北海道行きの航空券を押さえることになるのですが、それはまあそれとして…

強い日差しと湿った空気で外に出るのがうっとうしくなるような一日でした。季節は梅雨から夏へと向かいつつあるようです。花見の話題も完全に季節外れとなった感はありますが、一度始めた以上は最後まで続けるつもりです。次回は二週にわたる北海道での花見を振り返ります。おやすみなさい…

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