一昨年仙台に泊まったとき、張り切りすぎて牛タンを昼に三軒、夜にも二軒はしごして力尽きるという事態に陥りました。しかし、今回は幸か不幸か二軒目の心当たりがありません。残る余力は居酒屋に注ぎ込みます。仙台の聖地「源氏」の暖簾をくぐりました。
教祖のみならず、あらゆる先人が語り尽くした名店中の名店ですが、自分自身この店に対する思い入れはそれほど深くありません。これは、牛タンが主、居酒屋が従という仙台の特殊事情によるところが一つ。加えて、酒が好みに合わないという事情もあります。かつて使われていた新政にしても、後釜に座った高清水にしても、何の変哲もない普通酒であり、特定名称酒に及ばないのはもちろんのこと、普通酒としても特段秀でたものが感じられないのです。
とはいえ、昨年は一度も訪ねる機会を作れないまま終わってしまいました。人生の残り時間を考えると、さらに空白期間が延びたとき、取り返しのつかない損失になりかねません。日曜定休という条件も踏まえ、まずはここだと考えた次第です。
牛タンの直後でお通し以外の肴も欲していない状況の中、酒にも多くを期待できないということになると、求めるものは古い酒場の雰囲気です。しかし、その雰囲気が損われている兆候を感じていました。一昨年訪ねたとき、客層が異様ともいえるほどに若返っている光景を目の当たりにし、わずかながらも違和感を覚えたのです。奈良の「蔵」を筆頭に、客層の俗化により雰囲気が損われたという先例もあるだけに、こちらは果たしてどうかという一抹の不安がありました。そして、この不安は残念ながら的中してしまいました。
先客の中に三人組が三組おり、さらに後から一組入って、彼等だけで席の半分以上が埋まりました。そのこと自体に目くじらを立てるつもりはありませんが、厄介なのは彼等が総じて騒がしいことです。最も騒がしかった二組が、10分少々経ったところで立て続けに出て、これにより多少静かになったものの、明らかに変質した客層には違和感を禁じ得ず、終始落ち着きませんでした。看板まで30分を切った後、一人客が続けて入ってきましたが、その頃でなければ落ち着かないと知ってのことだったのでしょうか。
かつては席こそ埋まっていても、静かに酒を酌む客ばかりで、大阪の「明治屋」にも通ずる雰囲気だったと記憶しています。しかし、現状は「蔵」と全く同様であり、店の真骨頂である静謐な空間は失われてしまったというのが率直な印象です。
「蔵」にしてもここにしても、運不運の問題ではなく、客層自体が変質してしまったようなのが残念です。特に、この店については「蔵」ほどの思い入れもないだけに、今後も毎回訪ねる必要が果たしてあるのかが懐疑的になってきます。ただし、旭川の「独酌三四郎」を始め、一時俗化をしながらも、元の姿を取り戻してきた例もあります。そうなってくれることを期待しつつ、しばらく間を置いてから訪ねてみるのも一案でしょう。
★源氏
仙台市青葉区一番町2-4-8
022-222-8485
1700PM-2300PM
日祝日定休
酒二合
糠漬け
菜の花おひたし
冷奴
教祖のみならず、あらゆる先人が語り尽くした名店中の名店ですが、自分自身この店に対する思い入れはそれほど深くありません。これは、牛タンが主、居酒屋が従という仙台の特殊事情によるところが一つ。加えて、酒が好みに合わないという事情もあります。かつて使われていた新政にしても、後釜に座った高清水にしても、何の変哲もない普通酒であり、特定名称酒に及ばないのはもちろんのこと、普通酒としても特段秀でたものが感じられないのです。
とはいえ、昨年は一度も訪ねる機会を作れないまま終わってしまいました。人生の残り時間を考えると、さらに空白期間が延びたとき、取り返しのつかない損失になりかねません。日曜定休という条件も踏まえ、まずはここだと考えた次第です。
牛タンの直後でお通し以外の肴も欲していない状況の中、酒にも多くを期待できないということになると、求めるものは古い酒場の雰囲気です。しかし、その雰囲気が損われている兆候を感じていました。一昨年訪ねたとき、客層が異様ともいえるほどに若返っている光景を目の当たりにし、わずかながらも違和感を覚えたのです。奈良の「蔵」を筆頭に、客層の俗化により雰囲気が損われたという先例もあるだけに、こちらは果たしてどうかという一抹の不安がありました。そして、この不安は残念ながら的中してしまいました。
先客の中に三人組が三組おり、さらに後から一組入って、彼等だけで席の半分以上が埋まりました。そのこと自体に目くじらを立てるつもりはありませんが、厄介なのは彼等が総じて騒がしいことです。最も騒がしかった二組が、10分少々経ったところで立て続けに出て、これにより多少静かになったものの、明らかに変質した客層には違和感を禁じ得ず、終始落ち着きませんでした。看板まで30分を切った後、一人客が続けて入ってきましたが、その頃でなければ落ち着かないと知ってのことだったのでしょうか。
かつては席こそ埋まっていても、静かに酒を酌む客ばかりで、大阪の「明治屋」にも通ずる雰囲気だったと記憶しています。しかし、現状は「蔵」と全く同様であり、店の真骨頂である静謐な空間は失われてしまったというのが率直な印象です。
「蔵」にしてもここにしても、運不運の問題ではなく、客層自体が変質してしまったようなのが残念です。特に、この店については「蔵」ほどの思い入れもないだけに、今後も毎回訪ねる必要が果たしてあるのかが懐疑的になってきます。ただし、旭川の「独酌三四郎」を始め、一時俗化をしながらも、元の姿を取り戻してきた例もあります。そうなってくれることを期待しつつ、しばらく間を置いてから訪ねてみるのも一案でしょう。
★源氏
仙台市青葉区一番町2-4-8
022-222-8485
1700PM-2300PM
日祝日定休
酒二合
糠漬け
菜の花おひたし
冷奴
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