日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 2020 - 富喜和荘

2020-10-20 20:14:11 | 北海道
常々申している通り、無味乾燥な自動車専用道に極力頼りたくはありません。しかし、北十勝から釧路の方へ向かう場合、速さ以上に距離の面で道東道の短縮効果が大きいのも事実です。上士幌から交通量皆無の道道で本別に抜け、阿寒まで道東道を飛ばしました。大半の車が流入する国道に代えて走ったのは、その東側を並行する道道222号線です。広々していながらも、石狩平野、十勝平野とは全く違う荒涼とした雰囲気が暗い中でも感じられる快走路でした。上陸以来最長の約270kmを走り切り、釧路に着いたところです。

道内主要都市の中で、釧路の宿泊事情が近年異常なまでに逼迫しています。連休ならばともかくとして、何の変哲もない平日に混むという事態を経験し、まず疑ったのは学会の弊害です。あまりに頻発する状況から、最近では外国人観光客の激増も一因という仮説を立てていたところでしたが、原因は全く違うところにあるのかもしれません。またもや足をすくわれるところでした。
糠平を出るに先立ち予約サイトを調べたところ、思わず目を疑うような回答がありました。釧路の宿が六軒しかないというのです。しかも、釧路とは釧路管内を意味し、釧路市に限っていうと事実上ゲストハウス一軒しかありませんでした。こうなることが近年やたらに多いため、一応警戒はしていたのです。混むわけはなかろうと思いながらも、出発前に予約サイトを調べたところ、結果はもちろんがら空きでした。それが何故当日までに一変したのかについては、10月の平日という条件からしても不可解というほかありません。真相のほどはさておき、問題は目の前の現実にどう対処するかです。またしても窮地を救ってくれたのは富喜和荘でした。
去年もあわやという場面に見舞われながら、駅裏の商人宿に滑り込むことができました。あのとき世話になったすみれ旅館には今でも感謝しています。しかしそれ以上の収穫だったのは、翌日泊まったこの宿です。簡素ながらも小ぎれいに保たれ、温厚な館主によるもてなしもしみじみありがたく感じられました。日にちは多少前後しても、釧路に二泊することだけは決めていたため、今回も到着時間の読みやすい二泊目にと考えてはいたのです。しかるに信じがたい事態が再現され、二泊どころか一泊できるかどうかさえも危ぶまれる中、幸いにして電話口の館主からは空いているとの返答がありました。明日も空いていると聞き、即決したのはもちろんです。釈然としない部分は残るものの、結果としてはよりよい形に落ち着いてくれました。
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