日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

大航海時代到来

2009-03-14 23:32:21 | 旅日記
景気対策の高速料金引き下げの全容がようやく明らかになりました。構想が発表されて以来数ヶ月、「土日祝日上限1000円」という突拍子もないその内容に半信半疑でしたが、正式発表があった今も実感が湧きません。九州の果てまで走っても1000円ならば喜々として長距離ドライブに出そうなものを、むしろどんな副作用が起きるのかと心配してしまう自分がいます。

そもそも、通行料で維持費や建設費を払うという、今の時点でさえ崩壊しかけているシステムが、肝心の通行料がタダ同然になることによってますます成り立たなくなるわけで、目先の選挙対策で通行料を下げたところで、痛みを先延ばしにするだけのような気がします。それに二年間の期間限定とはいえ、ここまでダンピングしたものを元の値段に戻そうとしても、容易に受け入れられるとは思いません。
何より懸念されるのが「モラルの崩壊」です。今までは、長距離移動のときは深夜割引で距離を稼ぎ、短距離移動のときは早朝夜間割引や通勤割引をうまく組み合わせ、一般道でも快適な区間は極力一般道を利用することで、高速料金の節約を図ったり、旅のプランににメリハリをつけるといった工夫の妙がありました。ところが、どこまで走っても1000円になることで、そんな工夫が一切無力化され、一旦乗ったらとにかく高速で距離を稼ぐという以外の選択肢が事実上考えられなくなります。適当に寄り道をしながら一日二日かけて遠くを目指すような気ままな旅もしづらくなってしまいます。新幹線のスピードアップと在来線の簡素化合理化を繰り返した挙げ句、汽車旅が決められたレールの上を走るだけの味気ないものに変わり果ててしまったように、車の旅が高速道路で目的地との間を行き来するだけのつまらないものになってしまわないか、それがこの制度に対する自分の最大の懸念なのです。

ま、上限1000円なら二回三回乗っても大した出費ではないわけで、それを惜しむのは自分がそれだけ小さい人間ということなのでしょう。いつまでもあると思うな何とやら、二年限定の「大航海時代」の到来です。旅人としてこれを活かさない手はありません。史上最速のペースで北上を始めた桜前線ととともに全国を駆けめぐりたいと思います(ニヤリ)
コメント (2)