屋上の風

　監督業に専念するために、しばらくサンアートは休むことにした。
　そのことは先日電話で梅原先生に伝えてあったけれど、昨日は、改めて、サンアートに顔を出し、挨拶してきた。
　メンバーたちは今、夏の川崎平和展に向けて絵画制作中で忙しい。そうした中に顔を出すのはなんだか照れくさく、気持ちが落ち着かなかったけれど、行くとメンバーのほとんどは、地上5階の屋上にてパネルにジェッソを塗っていた。合板の板をムラなく真っ白に塗る作業である。屋上だとパネルを伸び伸びと置けるし、夜は外が涼しいし、何かと都合がよいというわけだ。私は非常時用に車にいつも置いている懐中電灯を持ってきて、みんなの作業を照らしてあげながら、梅原さんと最近あったことなどを話した。

「またいつでも来ていいんだよ」
と、言ってくれるので、
「そうですね。何か美味しいもの持って、差し入れに来ますよ」
と言ったら、
「そんなのいらない！　なんか持ってきたら入れてやんない」
と、威勢のいい調子だった。
　この辺りが、長年子どもたちの面倒を見てきた梅原さんの温かみだった。