星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

「与話情浮名横櫛」と3人の団十郎。

2008-01-22 | 演劇・ダンス・映画・音楽・古典・TV

新春浅草歌舞伎で「与話情浮名横櫛」を観てから、市川団十郎という名前が気に
なってしかたない。
早くこの囚われ地獄から抜け出たいので(汗)、ネットでかき集めた情報を歌舞
伎ビギナーの入門メモとしてまとめておこう。
でも、ネット上の情報なので出典不明なものがほとんど。
あくまでも個人的な覚え書きということで!

●七代目
舞台で与三郎が登場する時に聞こえてくる唄がある。
イヤホンガイドではたしか、何代目かの団十郎にちなんだ唄である解説していた。
よく聞き取れなかったんだけど、何代目だろう???
ネットで調べたところでは・・・七代目団十郎かな、と。
文政12年(1829年)、団十郎が39歳の頃。当時とにかく凄い人気で、初めて大坂
を訪れた時に七代目を歓迎する唄ができたそうな。
  蝙蝠が出て北浜の夕涼み 川風さっと福牡丹 
  ・・・・・・ 浪花の水にうつす姿絵
蝙蝠、福牡丹。成田屋の2つの紋が唄の中に入っている。
ちなみに、七代目は歌舞伎十八番を制定した人。

●八代目
「与話情浮名横櫛」は、江戸の花と称えられ熱狂的人気役者だった八代目団十郎
のために、三代目瀬川如皐(せがわじょこう)が書き下ろしたもの。
その美貌でとりわけ女性の人気を集めたが、美男子というよりも粋で上品だった。
また、親孝行であることを奉行所から表彰されたほど。
「与話情浮名横櫛」に出てくる手紙のくだり(=江戸の大店伊豆屋に養子で入っ
たことを気にして、後からできた実子に相続させるため、わざと自分が放埒を尽
くしたという話)は、八代目の親孝行ぶりを反映した設定だとも言われている。
安政元年(1854)、31歳の時、大坂公演の初日に心斎橋の料亭で自殺した。
<八代目市川団十郎の死を題材にした本>
南原幹雄『謎の団十郎』
牧村史陽『八代目団十郎の死~この書を亡き市川三升丈の霊前にささげる』
霜川遠志『八代目団十郎の死』
杉本苑子『傾く滝』
戸板康二『団十郎切腹事件』

●十一代目
観劇から帰ってすぐに見た舞台映像が、十一代目団十郎の「与話情浮名横櫛」。
戦後の歌舞伎界で「花のある役者」として一世を風靡。「海老さま」と呼ばれた
人の与三郎だ。昭和38年歌舞伎座の舞台、モノクロ。
<配役>
与三郎:十一世團十郎、お富:歌右衛門、蝙蝠安:十七世勘三郎、
和泉屋多左衛門:二代目猿之助(猿翁)

十一代目は目鼻立ちのはっきりした美男子で、たしかに色気のある人だと思った。
仁左衛門さん(または愛之助さん)の与三郎と比べると、やっぱり違う。
木更津海岸の若旦那でいえば、仁左衛門さんのペースにはやはり上方の柔らかさ
があるし、團十郎さんの若旦那はポンポンッと話しながらも上品なイメージ。
細かいところでは、羽織のズレの伏線の有無、酔っぱらいにからまれた時の様子、
切られ与三の幾つかの台詞の語尾の違い、見得の有無など。
全体の印象で一つだけ書くとしたら、十一代目の与三郎には陰がある、というこ
とかも。それが十一代目団十郎という人なのか、与三郎を演じている時だけがそ
うなのかはわからないが。見終わってからも気になる、そういう種類の陰だ。

ついでに、お富について。
歌右衛門さんのお富の「いい景色だねえ」は、間の取り方、目の使い方が絶品。
一方、玉三郎さんの言い方も面白いと思った。「いい」と言ってから「景色だね
え」の時に与三郎からわざと目をそらす。男ではなく、本当に風景を見ていると
周囲に思わせるための含みが感じられ、いかにも大人の女という気がする。
もう一つ。蝙蝠安を十七世と現勘三郎さんのバージョンで見た。安は薄汚れてだ
らしない感じで、コメディアン風のボケキャラだった。計算高いように見えては
いけないんだと思った。


新春浅草歌舞伎 第2部「与話情浮名横櫛」観劇メモ(このブログ内の関連記事)


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4 コメント

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成田屋あ~~!(大向こう風に) (くすのき)
2008-01-22 23:48:55
成田屋が好きで、海老蔵贔屓のくすのきは、嬉しゅうございます。
團十郎が気になりはじめたら、夙川へ足をお運びください。で、阪急夙川駅の南側すぐ、手作り最中の「成田家(家と書きます)」へ三枡最中を買いに行きましょう。この最中、9代目團十郎がお好きだったことから、三枡(成田屋の家紋)のマークを入れて製造するようになったとか。成田屋公認のスイーツです。くすのきは、成田屋の芝居を見るときは、幕間のおやつに持参しております。

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成田家あ~~最中っ! (ムンパリ)
2008-01-23 00:46:44
くすのきさん、そういえばそれ、知っとります(笑)。っていうか、学生の頃から長いことずうっとあの辺をウロウロしてましたので見慣れた風景の一コマです。あっ、あれが成田屋さんの紋でしたか。ようやく今頃たどり着きましたよぉ~~~。
与三郎がきっかけで、こんな調べ物をしてしまいました。歌舞伎の大川の源流がその向こうにチラッと見えましたが、私にはまだまだハッキリとは見えないです。最中を食べれば少しは見えてくるのでしょうか(笑)。
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雑誌「太陽」1985年4月号 (くすのき)
2008-01-28 23:56:52
わたしが、「成田屋さん百科事典」と勝手に名付けて秘蔵しているのが、雑誌「太陽」1985年4月号です。去年、ブックオフで105円のシールが貼ってるのを見たときは、神に感謝しました~。いや、成田不動明王に感謝、ですね。
この「太陽」、市川團十郎襲名記念特集なんです。團十郎の襲名披露公演の美しい写真はもちろん、襲名に際してのインタビューも。さらに嬉しいのが、歴代の團十郎の紹介と、「歌舞伎十八番」の紹介。
歌舞伎の大川の源流は、なかなか見えてきませんが、この1冊で成田家モナカの味わいは一層深まり(?)ました。どこかで手に入れることができれば、この「太陽」、きっとムンバリさんのお役に立つことでしょう。
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ありがとうございます。 (ムンパリ)
2008-01-29 01:42:20
くすのきさん、秘蔵本のご紹介ありがとうございます。
ブックオフでは私、過去の番付を見るのが好きなんですよ。当時のチラシや新聞のキリヌキ、ときには手紙がはさまってたり(笑)。楽しいです。
話がそれましたが、市川家の資料はそのまま歌舞伎の歴史でもあるんですねー。その雑誌チェックしてみますね。ありがとうございます。利根川裕さんが書かれた十一代目に関する本が読みたかったのですが、古書扱いで値段が高くあきらめました。いつか図書館で借りて読もうと思っています。
その「太陽」がまた105円で出回っていますように!!(笑)
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