星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

狛坂寺磨崖仏と金勝寺(1)

2014-05-11 | 散策・旅
GWは前半後半も飛び石もなく、普通に土日の2連休。
てことで、2日間はメいっぱい寺社めぐりにあてることにした。

去年の愛宕山ハイキングがことのほか楽しかったので、5月3日
はハイキング&拝観に決定。白洲正子さんの『かくれ里』にある
「金勝山をめぐって」をベースにプランを練る。
目的は狛坂寺の磨崖仏と金勝寺。途中、こんぜハイキングコースと
竜王山山頂を経由する。ほんとに行く前からワクワクしてきた。
事前に栗東市商工観光課(TEL:077-551-0126)に電話で問い合わ
せたところ懇切丁寧に教えていただき、おかげで行きは路線バス、
帰りは“こんぜシャトルバス”利用に決定。路線バス降車時にシャ
トルバス利用の旨を伝えるとその割引券がもらえるとのこと!

>> 2014年のこんぜシャトルバスの情報コチラ

ちなみに金勝は「こんぜ」、金勝寺は「こんしょうじ」と読むのだ
そうだ。へえええええ。

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<コース>
JR草津駅(滋賀県)→(草津駅東口4番から路線バス30分)上桐生
(終点)→ココから徒歩(こんぜハイキングコース狛坂線)
さかさ観音狛坂寺跡・磨崖仏→国見岩→重ね石→茶沸観音→
竜王山頂・金勝寺八大龍王本殿→馬頭観音堂→金勝寺→こんぜ道の駅
(こんぜシャトルバス)→JR手原駅

※JR草津駅 10:30~JR手原駅 16:50
こんぜシャトルバスは金勝寺←→JR手原駅だが、今回は散策が
てら金勝寺から30分ほど歩き、道の駅で休憩後バスに乗った。
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白洲さんが取材された当時と違うのは、狛坂寺の磨崖仏までの道
が整備されていること。金勝寺は無住の寺ではなく、住職さんが
おられて重要文化財のほとけさまが予約なしに拝観できること。
これも白洲正子さんのおかげなのでは、と思う。ありがたい~。
(拝観は期間限定かもしれないので要事前確認。)

●さかさ観音と狛坂磨崖仏
「上桐生」終点でバスを降り、教わった通り駐車場でハイキン
グマップをもらい、狛坂寺方面へ。(帰りも同じ道でいいなら、
車をこの駐車場に置いていくテもある。)
キャンプ場をすぎ、オランダ堰堤に出る。堰堤の説明板によれば、
奈良時代から平安時代にかけて寺院・仏閣の造営のため、この山
の木が大量に伐採され、たびたび大洪水が発生していた。その治水
のために明治時代にこの堰堤を造ったとのこと。
堰堤のすぐ先に「さかさ観音」の道標があり<東約百米>と書か
れており、しばしウロウロ。けっきょく目的地の狛坂寺とは逆方向
の左に折れるのが正解だった!
見ると、岩に彫られた三尊石仏は本当に天地が逆になっている。
(地滑りで落下したのか??)



案内板によれば、さっきのオランダ堰堤を築く際に石材不足でこの
大岩の一端が使われ、岩がバランスを失い山上からずり落ちて逆さ
になった、とある。(ヒ、ヒドイ~!!しかし、元をたどれば寺院
造営がなければ堰堤は必要なかったワケでなんだか因縁めいている。)
これも磨崖仏のひとつで、阿弥如来、観音菩薩、勢至菩薩のいわ
ゆる阿弥陀三尊像。身を挺して洪水をおさえたということで地元では
ありがた~い仏さまなのだそう。供えられたお花も新しかった。
Uターンしてさっきの道標までもどり、狛坂寺跡をめざす。



川沿いの道は途中から細くなり、だんだん山道らしくなってきた。
ごつごつした石や滑りやすい土に足をとられないよう注意して歩く。
今回は本登山用ではなく、軽登山用のKEENのシューズだけど無問題。
ゴロゴロある大きな岩は、もしかしたら昔は磨崖仏だった岩かもしれ
ない、などと妄想しながら歩くのは楽しい。
同じ岩でもスポーツの匂いのする芦屋のロックガーデンとは全然
違う空気。気分。なんといってもここは近江なのだ。

「出会」から坂を上がっていくと古びた石組みの壁があった。つづいて
その先には「狛坂寺跡」の道標が!
バス停からここまで1時間50分と聞いていたのが、1時間10分で到着。
林道の中に立ち、いまはない伽藍の風景を想像してみる。
案内板によれば・・・
嵯峨天皇の時代(810~823年)に蒲生郡狛長者の娘が金銅の観音像
を檀林皇后に献上した。それを名僧願安に下賜され、願安が金勝寺に
安置したが、金勝寺が女人結界の霊地だったため、女人が参拝でき
るように金勝寺の別院として建てたのが、この狛坂寺だった。
(そういえば、談山神社の西大門跡にも、神仏混淆で多武峯寺と一体
だった当時の「女人禁制」の石柱が残っていたことを思い出した。)
狛坂寺は、明治に廃寺になるまで長期にわたり栄えていた様子。



大きな岩に接近すると、ありましたよ。磨崖仏が!
デカイ! しかも超立体的! 鮮明だし、ラインがやわらかい~。
さっきの案内板によれば・・・所有者は財務省。つまり国の史跡。
「たて約六メートル、よこ約四.五メートルの花崗岩の磨崖面に三尊像
を刻み出す。格狭間を表す須弥壇上の中央に宣字座に座す如来像、
両脇には蓮華座上に立つ菩薩像を配している。その脇及び更に上部
には、七躯の立・坐像が配されている。」
ん? んん? 七躯の立・坐像どころか、もっとありますよ~。
上部には三尊像の小さいのが2組。立像が3体。左側の別の岩にも
三尊像が彫られてるんですけど~。
制作時期については、作風に新羅彫刻の影響が見られることから奈良
時代後期、造ったのは渡来系工人と考えられる、とのこと。
(あとで金勝寺を訪ね、東大寺や良弁僧正との深い関係を知るにつけ、
渡来系の優秀な技術者が関わったのでは?と思えてくる。)




●岩と竜王山
金勝寺に行くには竜王山を越えなければ。
山頂に着くまでの道も岩だらけ。これが楽しくて気分がハイになる♪



白洲さんが「国見岳」と書かれているポイントもわかった。マップ
には国見岩とあり、琵琶湖をふくめた眼下の風景が270度一望できる。
ただ、この日は霞がかかっており、遠景がクリアに見えなかった。
めざす方向とは違うほうに耳岩、天狗岩があり、こちらのコースから
もよく見える。奇岩というか不思議な形の岩があちこちに。大きな岩と、
その岩の表面をチマチマ蟻のように蠢く人間の対比が面白い。



岩を2枚積んだ「重ね岩」は上部がひさしになっていて、仏像のお堂
みたいだった。
「茶湧観音」はちっちゃな祠のよう。





コースの分岐点に道標が集合していて、耳岩・天狗岩に立ち寄ってから
行くかどうかひじょうに迷ったが、大事をとってあきらめた。
ここで腰かけて休憩している人たちもけっこういた。



ようやく着いた竜王山頂では三角点を確認。標高604m。眺望なし。
近くに「金勝寺八大龍王本殿」があり、「天王水分神」をお祀りする
大野神社の神殿もあった。大野神社社務所による案内板によれば、
天王水分神は明治までは神仏習合により「八大龍王」と呼ばれた、
と書かれている。昔から、ここで雨乞い行事が行われてきたらしい。
「この地は金勝山の分水嶺、龍王山です」とも書かれている。
竜王山の竜王とは、その意味だったのですか。へええ~。



(ちなみに、石馬寺から観音正寺に向かう山の道中にも、琵琶湖を見
下ろす場所に八大龍王社があり、現在は「雨宮龍神社」と呼ばれている
と書かれていた。琵琶湖と八大龍王は関係が深いのかな?また、神社
が雨乞いをするためには八大龍王の名前のままではダメなのか?)



道を下って行くと馬頭観音堂があり、馬頭観音さまは見えなかった
けれど、金勝寺特製のサラブレッド絵馬がいっぱいかかっていた。
さっすがー、ここは栗東市ですから。

(2)につづく。
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