[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。
セクシーで。シュールで。ポップで。鮮やかに記憶に残る写真。
特にあのシャルル・ジョルダンの靴のキャンペーン広告は、雑誌などで見たことが
あるという人多いんじゃないかな。
ギィ・ブルダンは20世紀に活躍した有名ファッション・フォトグラファーの一人。
1991年に死去し、その10年後に彼の作品をまとめた写真集「EXHIBITA」が発刊。
2003年以降、世界各国で写真展「GUY BOURDIN PHOTO EXHIBITION」が開催
されています。
日本では東京に続いて、いま大阪の大丸ミュージアムで開催中。
ギィ・ブルダンについての私のイメージは、レッド。強烈な赤。
この連想はやはり、シャルル・ジョルダンの広告からきています。
写真展でも広告に使用したものや、フランスの「ヴォーグ」誌で発表された作品
が中心に展示されていました。
オリジナルプリントを含むたくさんの作品が、フレームに入ってピンスポットに
あたっていることもあって、まるでシュールレアリズムの絵画のよう。
ゆるぎない構図とか、着想の自由さ、表現方法の豊かさ、大胆さに圧倒されます。
それらを見ていると、つい<合成>などというチープな言葉が浮かんでくるので
すが、もちろんコンピュータのない時代の写真。それほど遊びがあって、ドキッ
とするものが多いのです。フォトグラファーのみならず、多くのクリエイターたち
に影響を与えたアーチストだったんだなあ、と今さらながら思い知らされました。
面白いなと思ったのはたくさんのポラロイド写真の展示。
ポラロイド写真とはそのカットの構図やカメラの露出(光量)のチェックのために
撮るもので、ふつうなら絶対に目に触れることのないテスト写真です。
その小さな写真からはオリジナル作品のプロセスがうかがえたり、加工の意図がわ
かるものがあったりで、1枚で語るメイキング、という感じ。こういうものが捨て
られずに今まで保管されていたことにも驚きました。
ロケの移動中やプライベートで撮った未公開のポラロイド写真もありました。
回顧展というにはまだ早い気がする、エネルギーに満ちた作品の数々でした。
写真展は18日(月・祝)まで。
入場時間:午前10時~午後7時30分(8時閉場)
※最終日は午後4時30分まで(5時閉場)
入場料:一般800円
見に行けない人はオフィシャルサイトのギャラリーでも一部が見られます。
ギャラリーTOPの写真がアクセスするたびに変わるのもチョット楽しいんです。
山本タカトさんの絵を初めて知ったのは、劇団新感線のロックミュージカル
「SHIROH」。舞台美術やCDの歌詞カード、フライヤーに使われていたあの絵
は、強烈なインパクトがありました。
よく行く書店で、その山本タカトさんの作品展をやってることを知り、もしか
したらあの絵にも再会できるかもしれないと思い、行ってみました。
会場は心斎橋アセンスという書店の5階。入場は無料!
ひと目で見渡せる四角いスペースにモノクロ画の小品、着色された絵、やや
大きめの作品等、ざっと20~30点の絵が展示されていました。
奥の真正面に、四郎&シロー&寿庵がいる♪♪
私には専門的なことは全くわからないし、作者のふだんの技法について知識
がないのが残念なのだけれど、今回は原画展ではなくて「作品展」。
絵には10/10とか9/10とか書かれていてサインもあるので、どうやら限定
的に刷られた版画が展示されている様子。
(オリジナルは何で描かれているのだろう?)
それでも、とにかく1点1点顔を近づけて見られるうえ、丁寧に描き込まれ
た細密なタッチや幻想的な作風がじゅうぶん味わえる内容だったので、わた
し的にはかなり満足♪
山本タカトさんの作品は耽美的、などと言われているらしい。
今回見た作品のモチーフになっているものは、髑髏、花、少女、血、眼球、
緊縛、矢、月など。それらの組み合わせによって、一瞬、衝撃映像みたいに
も見えたりする。ミテハイケナイ。でも、見ずにはいられない世界。
私の感じたのは、見ラレテイル、縛ラレテイル、のような日本語の受動態の
「レル」「ラレル」に置き換えられるようなが絵が多いと思ったことかな。
被虐とでも言えばいいのだろうか。退廃的なニオイがちょっとする。美しい。
美少女たちの罪のない顔を見ているうちに、だんだん自分の視線が彼女たち
をチクチク刺しているような気分に(笑)。
「SHIROH」の絵の3人は「レル」「ラレル」の世界から抜け出そうとした
人たち。多くの虐げられた人々を見守り、祈り、導こうとしている。
他の作品とニュアンスが違うのはそのせいなのかな。
・・・なんて、好き勝手な想像で遊ばせてくれたこの作品展に感謝。
「SHIROH」の絵は(すごいアバウトですが)左右が1m~1m50cmぐらいの
横長で、人々の表情が細部まで見えて、印刷物で見るのとまた違った感動が。
ちなみに、作品は「聖セバスチャン」「眼球虫」「夜の帳」「夜の秘蹟」
「感傷的な玩具箱」「闇化粧」「夜のめしうど」「ためらいながら」他。
販売グッズは、限定プリント(4枚シート)8,400円、ポストカードセッ
ト(8枚入り)1,260円ほか、風呂敷、扇子、作品集「殉教者のためのディ
ヴェルティメント」等。
作品展はギャラリー・アセンス美術(心斎橋アセンス5階)で。
6月24日(土)まで。12:00~19:00。(最終日は17:00まで)
展覧会が終了する直前にようやく行けました。
「その男、榎忠」(そのおとこ、えのちゅう)。
榎忠さん。神戸在住のアーティスト。
私が最初にエノチュウさんのことを知った時には、情報のほとんどはすでに伝説になっていたのですが、とにかくとんでもないことを考える人だなあと。大阪で彼の名前をまるごと題名にした展覧会があると知り、これはぜひ行かねばと思っていました。
約2か月間にわたる会期中にはスペシャルトークが3回あって、村上隆さんやヤノベケンジさんが出演するということもちょっとした話題のようでした。
フライヤーに書かれている紹介文の一部を引用すると。
「・・・そこには、デュシャンからティンゲリー、はたまた村上隆からヤノベケンジにまで至る20世紀の美術の歴史の総体が高圧で圧縮され、次々と繰り出されているのを知ることになるだろう。・・・・・・実際、<その男>=榎忠のあとでは、もうやることなんか残ってないんじゃないか? とすら思わせるのだから・・・。」と、ナンカすごそう!
いやいや、実際のエノチュウさんがやったことはすごくわかりやすいんです!
全身の体毛を<半刈り>にして<ハンガリー>に行った男。
万博のマークを日焼けでお腹に刻印して街を半裸で歩いた男。
画廊を「バー ローズチュウ」に変え、女主人として客をもてなした男。
鉄道車両や電気製品を自分で解体し、その廃材で巨大な機械彫刻を作った男。
・・・・・・等々。
過去の作品はパフォーマンスだったり、もう解体してしまったものが多いので、今回の会場で見られるのは写真・映像での紹介がほとんど。それでもやっぱり面白いのでつい時間をかけて見てしまうんですけどねー。
たとえば、1981年に廃鉄で作った機械彫刻「スペースロブスター P-81」という作品のストーリーはこんな感じ。地球などの星が廃棄物を宇宙に打ち上げているうちに、いつのまにかゴミでできた星が誕生し、その後もどんどん打ち上げられるゴミに困ったその星が今度は逆に、ゴミの元の持ち主=地球に向かってゴミを送り返す。その時にゴミで作られた宇宙船が「スペースロブスター P-81」というわけ。
過去の作品で唯一復活したのが「帰ってきたローズチュウ」。1979年のBAR「ローズチュウ」の再現です。赤いインテリアで妖しくしつらえた部屋には女主人
ローズチュウの網タイツ姿の昔の写真が♪ 胸は大きいけれど髭もある!なんだかうれしくなってバーカウンターに腰掛けてみると、目の前に映像が流れていて2006年のローズチュウがそこに映っていました♪♪♪ 期間中、実際にローズチュウさんが現れた日もあるそうですが。
さらに、6階には新作「RPM-1200」が。
それは「僕にとっては働くことも創ることも同じ。どちらも自分の日常」と語っているエノチュウさんが、実際にいま働いている神戸の工場で自ら削り出し、磨きあげた機械部品の集合でできた作品。それぞれ一つひとつは単なる機械のパーツなんだけれど、彼の手によって組み立てられた完成形は、まるでSF映画の都市のように浮かび上がって美しかった・・・。
スペシャルトークの最後の回は4月16日(日)。展覧会の最終日です。ホスト役がヤノベケンジさんで、なんと2006年のローズチュウが出演とのこと♪
会場はKPOキリンプラザ大阪。入場料は大人700円。展覧会の詳細はココ。
北陸に行ったついでに金沢の泉鏡花記念館に立ち寄ってきました。
ちょうどいま企画展として「夜叉ケ池展」を開催中。
鏡花は小説もたくさん書いていて、それらが映画やお芝居にもなったりし
ていますが、「夜叉ケ池」は初めから戯曲の形で創作されたもの。大正2
年、鏡花が39歳の時に書き上げた最初の戯曲だそうです。
展示品には泉鏡花自筆の原稿の一部のほか、映画や舞台作品の資料、ま
た戯曲を数分の語りと展示で見せるジオラマコーナーや、朗読が聴ける
サウンドコーナーなど、幻想的な鏡花ワールドにしばし触れられます。
実在の「夜叉ケ池」までの散策地図なんかも置いてありました。
「夜叉ケ池展」は第3展示室なのですが、他の展示室にも「草迷宮」や
「天守物語」といった鏡花の人気作品の公演プログラムや映画ポスター、
パンフレット、舞台プランのスケッチ等が展示されているので、あわせ
ていろいろ楽しめました。
たとえば、ほんの一部を紹介すると・・・
「草迷宮」では
寺山修司さんの映画の亡霊シーンの写真。
1997年シアターコクーン、蜷川幸雄さん演出の公演プログラム。
「海神別荘」では
1994年銀座セゾン劇場、玉三郎さん演出、宮沢りえさん、井原剛さん
出演の公演プログラム。ほか。
それから、泉鏡花の数々の作品を創作人形や人形芝居で発表してきた、
(蜷川さんの作品の舞台衣裳でも知られる)辻村ジュサブローさんの作品
写真集や、人形師で衣裳デザイナーのホリ・ヒロシさんの作品写真集など
も展示されていました。
こうやって一気に見ると、泉鏡花の作品がいかに多くの芝居や映画になり、
たくさんの人々に愛されてきたかということがよくわかります。
遠方からわざわざ駆けつけるほどのボリュームではないと思いますが、つ
いでに行ける人はぜひ。芝居好きの人なら間違いなく楽しめると思います。
記念館の外側入り口がわかりにくい場合は、菓子文化会館のほうから入れ
ば簡単。会館を通り抜けるとすぐ裏が泉鏡花記念館になっています。
●メモ
泉鏡花記念館 入場料300円。(高校生以下無料)
「夜叉ケ池展」ポスターはこちら。
企画展「夜叉ケ池展」は12月4日(日)まで。