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ウォルマートと競う新たな小売業トレンド ― 所得格差拡大のもとで (2)

2009-02-20 23:00:33 | 旅行記

 P1020112_edited 『ウォルマートに呑みこまれる世界』(ダイヤモンド社)。ジャーナリスト、チャールズ・フィッシュマンは、ウォルマートが、いかにアメリカのライフスタイルや経済・社会システムに大きな影響を与えているか警告している。 P1020136_edited

 ウォルマート7343店舗(全米3500店舗)の年間売上高は、3788億ドル(2008年)、エクソンモービルをしのいで世界第1位。ホームデポ、クローガー、ターゲット、コストコ、シアーズ、Kマートを全部足した規模より多く、210万人を雇用する世界最大の雇用主。まさにガリバーといえる巨大流通企業である。「全米人口の90%以上がウォルマートの店舗から半径24キロ以内に住んでいる」「毎週、約1億人がウォルマートで買い物をしている」のだ。「Everyday Low Price」をキャッチフレーズに徹底した安売り。低価格の背景にある低賃金と医療保険の劣悪さ、労働組合敵視などによって、各地で労使紛争を引き起こしている。地域への進出に対しても、カルフォルニア州・ロサンゼルス市をはじめ全米280以上の都市で、環境や社会経済的理由から反対や立地規制がされている。

  P1020115_editedラスベガスは人口140万人。砂漠の中につくられたカジノ・ホテルが立ち並ぶ町にはウォルマートが19店舗あるという。あまりにも広い駐車場。平均的な店舗では2万㎡の売り場面積に6万アイテムの商品を扱う。広大な店内に入るとプライス看板が大きく目に入る。果物や生鮮食料品などのグロサリー・ストアと衣料・おもちゃ・スポーツ品などのディスカウントコーナーに仕分けられ、生命線といわれる境界通路には、目玉になるびっくりアイテムが並ぶ。P1020120_edited 調剤薬局ファーマシーなどもあり、フルラインのワンストップショッピング。レジは30もある。レジ係の時給は6ドル、アメリカの平均17ドルと比べるとケタ違いの低賃金。対象とする消費者は年収200万円前後の低所得者という。食品部門に力を入れ3000アイテムのうち800アイテムは他社に負けない価格で集客をはかる。最近は床・看板の色などに高級感をもたせる演出で中間層を引き付けている。

  P1020129_edited アメリカ内国歳入局の発表(2006年)によると約6000万人のアメリカ国民が1日7ドル以下で暮らしている。レーガン政権以降の市場原理主義のもとで、中間層は激減し、高額所得者と低所得者の格差は拡大した。小売業の業態もこうした所得変化に対応しているといえる。

P1020130_edited 99セント・オンリーは、ロサンゼルスに本拠をおくシングルプライス型のディスカウントストア。日本の「100円ショップ」の元祖だ。日本のような雑貨だけでなく、ここでは、食料品などすべての生活用品がそろう。メキシコ産の果物・食材が並び、ヒスパニック系などの買い物客が多く利用している。ヒスパニックはいまや全米人口の15%を占め購買力も高い。駐車場には古い車やトラックがみられ、低所得者層にはなくてはならないストアのようだ。