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アメリカ発の世界金融危機。カルフォルニア州・都市の流通小売業界は今・・・。(1)

2009-02-19 22:40:14 | 旅行記

 オバマ政権が発足したアメリカは、今どうなっているのか。松山大学経営学部吉岡ゼミのメンバーとともに、2月初旬にカルフォルニア州各都市の流通・小売業の視察研修に同行させていただいた。

P1020007_edited_2 最初の都市アナハイム。ディズニーランドリゾートに隣接した大型ショッピングモール・サウスコーストプラザ(コスタメサ)には17カ国を代表する280以上の店舗がある。 メイシーズなど有名百貨店・ブランドショップが並ぶ。しかし観光客の姿も見えず、あまりにも閑散としていたのが印象的だった。

アメリカ発の世界金融危機。景気後退と失業率の上昇は消費不況をもたらし、アメリカの流通業界にも深刻な影を落としている。サブプライムローン問題からリーマンショック。その影響を現地の各種調査レポートhttp://blog.livedoor.jp/usretail/が伝えていた。

P1020002_edited 労働省の昨年12月の雇用統計によると、就業者数は昨年1年間で約260万人が職を失い、そのうち75%9月から12月までの4ヶ月に集中しており、リーマンブラザースの経営破綻から始まった金融危機で雇用情勢が急速に悪化していることを裏付けた。カリフォルニア州の12月の失業率は9.3%となり15年ぶりの高水準。ロスアンゼルス郡の失業率は9.9%、カルフォルニア州の58郡のうち31郡で10%を越えている。住宅バブルを謳歌したカルフォルニア州の深刻さがあらわれている。

P1020157_edited 住宅調査会社リアルティトラック社は、昨年差し押さえ手続きに入った住宅は過去最高の約230万戸に増加したと発表した。また調査会社MDデータクイック社によると、南カリフォルニアの住宅価格は昨年1月、中間値が41.5万ドル(3800万円)、差し押さえ販売数は23%であったが、12月には27.8万ドル(2500万円)に落ち込み、差し押さえは全体の56%を占めているという。サブプライムローン問題で低所得者などの差し押さえが増加したことに続いて、信用度の高いプライム層が差し押さえにあっている。失業率が上昇し、ローンを払えず住宅を手放す人が増え、住宅価格がさらに下落するという負のスパイラルに陥っているのだ。商務省が発表した昨年10月の新築1戸建て住宅販売は17年半ぶりの水準に落ち込み、販売価格の中央値も21.8万ドル(2070万円)に下落した。住宅を担保にしたローンによって支えられた投資や高額品の購入というアメリカの個人消費のバブルが破綻した。

P1020003_edited_2 小売業でも大量解雇の発表が続いている。メイシーズは、11店の閉鎖に続いて全従業員(18万人)の4%に当たる約7000人を削減し、西部や中西部など4部署を統合するリストラ策を発表した。カルフォルニア州に58店舗をもつ老舗デパートメント・ガチャークが倒産した。高級デパートのサックスは全従業員の9%にあたる1100人の削減を発表した。

住宅バブル・ホテルバブルもはじけ、郊外に広がる広大なショッピングモールの処分もささやかれる。「デッドモールズ・コム」というサイトも登場した。各テナントとなるデパートが撤退し虫食い状態になった瀕死モールがカルフォルニア州には7ヶ所。空き室率も高まっているという。

P1020144_edited クリスマス商戦も壊滅的で悲惨な状況だった。12月の全米小売業売上高は3432億ドル(30.5兆円) 前年同月比9.8%減、6ヶ月連続のマイナスとなった。富裕層を対象とした高級デパートの売り上げ減少とともに、スーパーマーケットにも変化が起きている。ウェルマートとの差別化をはかり、衣料・家庭用品のファッション性を高めてきたターゲットは、クレジット債権の貸し倒れを抱え、売り上げが減少し、1500人のレイオフを決定した。P1020138_edited 住宅バブルの崩壊によってホーム・デポ・エキストラも富裕層を狙ったリホーム需要が落ち込み、7000人のリストラ。オフィス・デポも112店舗2200人のリストラ。オーガニック商品・ナチュラルフーズで好調な売り上げを獲得していたフォール・フーズも富裕層が離れ、大幅な減益となっている。

P1020113_edited_4 こうしたもとで、ウォルマートが低所得者層を中心に集客し、ミドル層を抱え込んで売り上げを伸ばしている。1月の売り上げでも1.7%増、ドル高による海外事業の収益悪化と集団訴訟の和解金の損失により、純利益は前年同期比7.4%減となったが、国内のスーパーセンターとディスカウントストアの売上は前年比で6%も増加している。調査会社TNSメディア・インテリジェンス社によると、昨年のウォルマートの広告宣伝費は、前年に比べて56%も増加。P1020125_edited 07年9月からはじめた新スローガン「お金をセーブして、より良い生活(Save money. Live better)」の広告などに費用をかけ、これが功を奏して、節約したいミドル層や一部の富裕層もウォルマートにトレードダウンしやすくなったという。ウォルマート独り勝ちの様相を呈しているのだ。