gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

市場競争の「常識」に危惧

2007-03-20 16:48:08 | 日記・エッセイ・コラム

Img_0017_edited  「まちづくり3法」が改正された。これまでの中心市街地活性化対策は効をなさなかったとして、都市計画を180度改正し1万㎡を超える大規模集客施設の立地規制とともに、国の認定による「選択と集中」で支援を拡充する基本法ができた。めざす方向は「コンパクトで賑わいあふれるまちづくり」。19日、四国経産省主催の「みんなで考えよう街なかづくり-中心市街地活性化シンポジウム」にでかけた。会場は銀天街のなかにある「ホットステーションおいでんか」。

Img_0014_edited  「㈱まちづくり松山」が、昨年12月に拠点施設「おいでんか」をオープンしたとは聞いていたが、場所がわからず銀天街から大街道までウロウロ。「ああ伊予銀行の店があったとこか」。どこでも街なかの銀行は閉店していく。伊予市でも広島銀行、香川銀行、朝日生命の支店がここ2、3年で毎年次々と撤退した。それは別として、この銀行跡がホットステーションとして、無料休憩所やイベントホール、趣味の教室、県下の特産品の情報センターに生まれ変わっていた。「㈱まちづくり松山」もここに事務所を構えている。地下の小さなホールは参加者で満席。ぎゅっと゛集積゛するのが、いかにもまちの拠点らしくていい。

Img_0006_edited_1  講演は、全国すみずみ゛知らない町はない゛日本政策投資銀行の藻谷浩介氏。商業統計にもとづき、巷間の「常識」がいかに間違っているかを解説した。「地方の商業はだめだが東京・名古屋は景気がいい」「大型店を増やせば地域の売り上げは伸びる」「市場の競争なくして経済の発展はない」。これらの「常識」はどれも×。90-91年比で首都圏では売場面積が3割増えたが、個人所得は1兆3500億円マイナス、従業員数は3万7千人減った。松山都市圏(松山・伊予・東温・松前・砥部)の小売商業の動向データが興味深い。98-99年から売場面積が急増し4割増、とたんに個人消費・従業員数がマイナス。この理由について、96年をピークに定年退職者が新卒就職者を上回り所得が落ちたこと、地域の所得が増えないもとでの過当競争による値崩れ、中心市街地の解体による逆スパイラルをあげる。なるほど。今の時代、「店が増えるほど下がる売り上げ」が正しい知識なのだ。 

Img_0011_edited_2  松山・宇和島・今治・大洲・新居浜・四国中央なども同じ傾向、売場面積が増えるほど地盤が沈下している。「大型店はもういらない」という今治の世論も当然。しかし伊予市に隣接する松前町では、3法改正の前に市街化調整区域が用途変更され、12haというとてつもない敷地に複合商業施設が来年誘致される。ここでも町関係者は固定資産税の2億円増収、地元雇用などの効果を「常識」としてあげているが、果たしてどうか? 松山方面からの導入高架道路は、大型店が負担することになったが、開発関連のインフラや上下水道の維持管理費、交通・教育環境対策などに町に新たな負担が発生する。藻谷氏も「本当の自由競争なら郊外開発は儲からないので止めている」とズバリ。゛購買の町外流出を食い止める゛というのも所詮、大型店誘致の口実。都市間競争論者は、「わが町」さえよければいいという勝手な理屈の持ち主に思える。果たして「わが町」だけが生き残れるか。シンポの話を聞きながら、「人口減少、少子・高齢化」の変化を気にもとめない隣町の「常識」に危惧をした。