映画道楽

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東京タワー★★★★★

2007年04月18日 | Weblog
 読者が一番気になるのがキャスティング。大泉洋に「えーっ!」と驚き、速見もこみちにちょっぴり期待しながら、やっぱり違うと思いつつ、今回のオダギリ・ジョーで,ようやく「東京タワー」ファンは納得できることでしょう。 

 内田也哉子が樹木希林そっくり。親子だから当然だけど、若い時のオカンをどうするか、キャスティングの大きな課題。この課題をクリアしているところが大きい。田中裕子、倍賞美津子、どのオカン役よりもピッタリくる配役。オトンも小林薫にして演技力で勝負。すでにこの作品、キャスティングで大成功していたのです。

 あとはファンの読者を裏切らぬ出来であればヒット間違いなし。

 「東京タワー」ファンの一人、私は大満足の作品でした。原作=映画といってもいいくらいです。

 東京と地方(東京)という構図。昭和40年代の文化。高度経済成長を続ける日本の田舎町。石炭の街は日本を支えていたんです。

 でもエネルギーが石油に代わっていくにつれ街は寂れるばかりでした。そんな街で息子を大学にやることが親として、子に残してあげられる遺産と貧乏人は信じていたんです。そういう時代背景をとっても大切にしているところがいい。制作スタッフが、その年代。だから大切にしたのでしょう。自分たちが生まれ育った時代背景は原点にもなりますから。

 言葉も大事にしてくれていました。ドラマなどで福岡の方言を聞くと違和感を覚えていたのですが、映画「東京タワー」には違和感がほとんどない。スタッフのこだわりもあるのでしょうが役者がいいから可能になったこと。

 観客を「泣かせ」に走ることなく、過剰になることなく描く演出も良かったです。母を亡くした40代男性にはツボにはまるでしょう。

 この作品、男に観てほしい。できれば40代男性とその母親。あまり興行的に期待できない層だけど、きっと幸福感を味わえると思います。親孝行をする時間はあると気づかされるから…

 女は男を引っ張ってきて見せてほしい。日ごろ、映画館に足を運ばない男が映画を観るキッカケになるかもしれません。

 良い映画です。

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