映画道楽

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「アオザイ」(ベトナム)★★★★★ 

2007年09月15日 | Weblog
 アジアフォーカス・福岡国際映画祭が始まった。
 初日の上映から傑作とであった。
 いままで観たどのベトナム映画よりもすごい。

 過去にアジアフォーカス福岡映画祭で感動したベトナム映画は「癒された土地」(2006)、「ごみ山の大将」(2003)。リアルなベトナムを感じられる作品だ。

 ボクが求めているのはベトナム人が作ったベトナムらしい映画。だから「季節の中で」は大好きなのだが、どうもアメリカ臭くて純粋なベトナムらしさを感じない。
 
 そして今年出会った「アオザイ」は、まさにベトナム人が作ったベトナムらしい映画だった。

 アオザイとはベトナムの女性の伝統的な正装。
 アオザイに象徴されるのはベトナム女性の美と品位、その強さ、たくましさ。それはまさにベトナムの魂だ。

 映画に登場する夫婦は貧しく、故郷から逃れるように駆け落ちをして一緒になる。貧乏なまま、娘ばかり子供が4人生まれる。
 夫が赤ん坊の頃、アオザイに包まれて木の下に捨てられていた。そのアオザイを妻に贈る。
 娘二人は大きくなり学校に通うが制服のアオザイを着られないので学校に行きたくないと言い出す、夫婦にはお金がないのでアオザイを買ってあげられない。妻は自分のアオザイを仕立てなおして妻から娘へ贈る。一着のアオザイを交互に来て姉妹は学校へ通う。
 貧しいながらも懸命に生きる家族の温かな思いやりには涙が出る。
 その家族の幸福をぶち壊したのが米軍の空襲だ。そして天災が容赦なく家族に襲い掛かる。さらに追い打ちをかけるように米軍の爆撃が逃げまどう家族を襲う。

 この辺りの表現は作り手の怒りが表現されている。同時に見る側も怒りを覚える。いまもこれと同じようなことがイラクで起きていると思うと、言い知れぬ怒りがこみ上げてくる。

 ベトナムは、中国一千年、フランス百年の植民地を経験し、さらには南北を分断されながらも多くの血を流して統一国家を作りあげた。

 ベトナムは女がたくましい。男よりも女がよく働く。
 女が強い国ベトナム、その強さの象徴である「アオザイ」。
 この映画を観たら、誰もがアオザイに敬意の念を抱くようになるだろう。
 

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1 コメント

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Unknown (Jun Rajini)
2007-09-20 00:24:06
はじめまして。
観客の投票により選ばれる「コダックvisionアワード」で「アオザイ」が選ばれましたね。
7年もかけて脚本を執筆したかいがありましたね。
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