映画道楽

人生をいう道を楽しむために楽にするために映画を楽しみます。

カポーティ

2006年08月31日 | Weblog
 映画はカポーティの小説「冷血」のメイキングだ。カンザス州の田舎で起きた一家4人惨殺事件。犯人逮捕から死刑までを追ったドキュメンタリー小説。善良な家族と邪悪な犯人たちの日常の接点が生み出した惨劇に恐怖を覚えた。観る前に僕は本を読んだ。久々に貪るように活字を追った。映画は小説「冷血」を読んでから観ると面白さが増すと思う。

「冷血」を書き上げた後、カポーティは一冊も本を書き上げていない。その理由が映画を観るとよく分かる。彼は犯人の一人スミスに感情移入していたのだ。スミスの孤独で不幸な生い立ちに自分を重ね合わせていた。そして心惹かれていた。だから死刑延期を願った。しかしそれは取材者としてのエゴでもあった。決着がつかない裁判にカポーティは苦しくなる。結論が出ないことには作品の物語が完結しないからだ。やがてカポーティは犯人たちの死刑を望むようになる。そして彼は気づいた。犯人たちの「冷血」につながるものが自己の中に存在することに。

 カポーティを演じるフィリップ・シーモア・ホフマンの演技力に感嘆する。

 カポーティが3歳のとき両親が離婚。彼は遠縁の家を厄介になりながら育ったという。甲高い声で舌足らずな話し方、そしてゲイのカポーティは子供の頃から苛められていた。大人になってから稀有な才能を独学で伸ばし、若くして作家として認められた。自信家になって自己顕示欲に強い人間になったようだ。そんな彼が不用意に近づいたカンザスの惨劇は作家生命を奪うほどの劇薬だった。

 晩年のカポーティはアルコールやドラッグに溺れ、うつ病を抱えていた。1984年8月25日、59歳11ヶ月の若さで亡くなった。


 カンザスで起きた惨劇は日本でも起き得ることであり、実際、世田谷一家殺人事件、地下鉄サリン事件につながるものがある。

UDON

2006年08月25日 | Weblog
 一度は食べてみたい香川県の讃岐うどん。僕が住んでいる福岡市のお寺にうどんの発祥地なる碑がある。麺文化が大陸から伝わってきたのが由来だ。発祥の地のくせになぜか「うどん」はおいしくない。食べる機会は多いが、おいしいと思う店は3件くらい。

 うどんを食べる=あっさりとしたもの、お腹を壊したときといったイメージがあるのに、天ぷらやきつねなどが入っていてかえって胃が気持ち悪くなったり、胸焼けがしたりする。素うどんはお金がない、美味しくないといったイメージがあるからめったに頼まない。そういえば博多に素うどんが美味しいという評判の店なんてきかない。というかないと思う。あったら誰か教えて欲しい。

 讃岐うどんはコシがある。というが、そのコシなるものが、どんなものかぜひ食べてみたい。卵かけごはんのように、うどんを卵と醤油だけで食べてみたい。それで美味しいと思えるような経験は製麺所合体型うどん店がある香川県でしかできない。打ちたて釜揚げたてうどんでしか味わえない。

 「UDON」を観ると香川県に行ってうどんを食いたくなる。