映画道楽

人生をいう道を楽しむために楽にするために映画を楽しみます。

パフューム ある人殺しの物語 ★★★☆☆

2007年03月30日 | Weblog
舞台は18世紀。不衛生で臭かった時代。人は臭いから香水で臭いを消そうとした。鋭い嗅覚を持つ超能力者の物語。彼は究極の香りを作り出すため、いい臭いを持つ処女を殺し臭いを集めていく。

 猟奇的な話です。原作は「香水~ある人殺しの記録」パトリック・ジュースキント著。あるミステリーファンの人が最高の評点5の永久保存蔵書にしたいほどの傑作と褒め称えていた。

 読んでみたがミステリーというよりファンタジー。SFじゃないかと思った。
 はて、この原作をどう映画化してるのか。

 映画は原作に忠実。
 物語も原作が持つ雰囲気も忠実に映像化している。原作よりも映像化されることで、香水を作るプロセスなどは分かりやすかった。

 原作とは違うと感じたのは、主人公のジャン=バティスト・グルヌイユ。原作ではもっと幼さがあり卑屈な少年のようなイメージがあったが、演じたベン・ウィショーにはそんな雰囲気はなかった。
 うまさはあるけど、それだけではグルヌイユは物足りない。やはり強烈なキャラクターが不可欠。その点ベン・ウィショーでは物足りなさが残った。

 そしてラストの大乱交。原作ではファンタジーなので「あり」かなと思えたのだが、映像化されると「ありえない話」になってしまった。この乱交シーンは人海戦術。実際に大量の役者が演じているだけに生々しい。

 臭いで人が発情して誰彼見境いなくセックスするというシーン。ありえると思いますか?ありえませんよね。もっと観客をうまくだまして欲しかった。そういう世界にうまく引き入れて欲しかった。

 それを生々しくやられては一気に興ざめ。ファンタジックにCGでも使って演出して欲しかった。

 もしスピルバーグやコッポラだったら違う演出をやっていたかもしれない。

 果たして、大乱交シーンは女装したお笑いタレントが言うように映画至上の名シーンとなるのでしょうか?

バッテリー★★★★★

2007年03月12日 | Weblog
 人の心は信頼できると成長する。
 不信感を抱いたまま生きていると人の心は捻じ曲がる。

 野球を通して知り合った原田巧と山田健太。小学六年のときに出会った二人はお互いの力に惹かれ気があった。中学の野球部で一年生からバッテリーを組む。中学生離れした原田巧の剛速球を取れるのは山田健太しかいない。しかし原田巧の成長が早く山田健太も球を取るのが難しくなってくる。二人の間にある信頼が揺らぎ始める。
 原田巧の弟青波は兄を慕い一緒に野球をしたいが病弱なのでできない。母親は弟に過保護だが巧の試合の応援に来たことがない。巧の野球センスの良さは母方の祖父から受け継いだ。巧は自分に厳しく他人を寄せ付けないところがある。学校でも家族の中でも孤立しがちになる。野球を知らなかった父は会社の仲間たちと野球を始めた。息子たちの大好きな野球を理解しようとする。
 強豪チームとの試合前、巧と健太のバッテリーとしての信頼関係は崩れていた。巧は自分の心の弱さのために健太を信じられない歯がゆさを感じていた。弟の青波は命の危機にさらされながら兄に想いを託す。 弟の想いを胸に、健太を信じる気持ちを自ら奮い起こし巧はマウンドに立った。スタンドには巧を応援する母の姿があった。
 
 人を信じるということは自分を成長させる。裏切られ不信感を持ったままだと人は成長できない。子供の心が健やかに成長するには信頼ということが大事なのです。信頼できた人との出会いは人生を豊かにしてくれる。

 心と心のつながりがテーマの作品。

 主演の巧役林遣都は目がいい。キリッとした澄んだ瞳が魅力。健太役山田健太も良い。実際、野球部でキャッチャーをやっていたが映画出演のために最後の夏の大会をあきらめたという。母は天海祐希、父は岸谷五郎、祖父は菅原文太。監督は「陰陽師」、「壬生義士伝」の滝田洋二郎。

 間違いなく良い映画。いまのところ今年のベスト1。