映画道楽

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犬神家の一族★★★★

2006年12月22日 | Weblog
お目当ては松嶋菜々子。映画初出演。もっとも期待している女優の一人。  今回はボブカットで登場!なんで?なんで?ボブ?ぜんぜん似合わないじゃないかぁ!がっかり。

 「犬神家の一族」、熟女三人と絶世の美女野々宮珠世の対決がみどろのはず。違ったっけ?しかし珠代演じる松嶋は頭から眉間にしわを寄せぶきらぼうな顔して登場する。しかも髪型はボブ。メイクも衣装も昭和22年という時代設定なので極めて地味。照明はばっちり当たっているけど当てすぎ!顔が白く飛び気味で怖いぞ!出番も少ない。

 この作品でもっと目立っていた俳優は富司純子。「フラガール」でもそうだったけど主役を食うほどの迫力。金田一耕助を演じた石坂浩二よりも演技力、迫力ともに勝っていた。

 76年版ともっと違うところは「リスペクト」だと思う。偉大なる名探偵金田一耕助に対しての市川監督の敬意を感じた。小説、映画と戦後の娯楽を支えた金田一シリーズ。その終焉を感じずにはいられなかった。シリーズ復活かと思ったが、エンドの金田一の映像には哀愁が漂っていた。「老兵は死なず、ただ消えゆくのみ」そんな言葉が浮かび上がってくるような感じがした。まさにその映像こそが市川監督が映画化したかったモチーフなのではないだろうか?

 今回の「犬神家の一族」は昭和への鎮魂歌。金田一シリーズのアンソロジーとして見事に簡潔した。副題を勝手につけるとすれば「さらば金田一、昭和の名探偵よ永遠なれ」。ああ号泣!