第6日【4月11日(金)】
ペンションのオーナーに記念写真を撮って頂き、早速次の目的地に向け出発する。時間は9時頃だったろうか。向かう先は、川越市である。ガズともであったある方がしきりに紹介するので、いつか立ち寄ってみたいと考えていたところ。ある方とは、そうMakotommaさん。
Makotommaさんのブログは、川越に対する郷土愛に溢れていた。
水上温泉から川越までは134.4km、およそ2時間の行程である。渋滞やトラブルに巻き込まれるようなこともなく、順調に運転を続け、11時前には目的とする界隈に到着することができた。
ちょうど良いところに駐車場があったので中に入ると、係の方が、「市役所に御用の方ですか」と尋ねる。「いや、違います」とこたえると、「今日は平日なので、市役所に用務のある方以外は利用できないことになっています。申し訳ありませんが、この先に民間駐車場がありますので、そちらをご利用下さい。」と丁寧に説明し、決してぞんざいだったり、素っ気ない態度ではない。観光で訪れた人に対する配慮を感じさせる。
市役所駐車場の通りは混んでいた。すぐそばに信号があり、赤信号で止まっている車が列をなして、その列は途切れない。駐車場から道路に出るのに苦労しそうな予感があったが、意に反して、信号が青になると、私の車が出ようとするとすぐに道を譲ってくれた。私が、そのような場合には、必ず譲るようにしているが、いざ、自分が譲られる立場になると、その行為はとてもありがたく嬉しい。それがよく実感できた。おそらく、川越の人々は、気持ちにゆとりがあり、人との接触を大切にしようと心掛ける人が多いのではないかと、勝手ではあるが、想像した。
無人の駐車場に車を停め、早速、蔵造りの町並みの通りへ出てみた。出てみた途端、妻の目に飛び込んで来たのはちりめん屋さん。ちりめんで作った人形やハンカチ、リュックサックから衣類まで、ちりめん製品を展示販売しているお店。そこに20分くらいいただろうか。もともと、和装に造詣が深く、和装が好きな妻なので、和装に関することには殊の外、関心が深い。
その後、向かいにある川越まつり会館に入った。この会館には、利用者向けに駐車場が完備され、利用者は2時間無料らしいが、それは後からわかったこと。市役所の係の人も、そのことは教えてくれなかった。私たち夫婦が入った時には、ほかに入場者はないようで、説明の担当(祭りの法被を着た)の方は、殊の外親切に対応してくれた。
最初の係の人は、祭りの故事来歴から他の祭りと異なるところなどを説明してくれた。川越まつりでは、威勢良く神輿を担いだりすることはしないそうである。神輿は神様が乗るものなので、揺らしたりはせず、車に乗せて、神社関係者が引いて通るものとのことであった。350年の歴史があり、国の指定する無形民俗文化財だそうである。ついで、山車の展示スペースに移り、実物を見学し、あわせて6分間程度の動画を拝聴した。ナレーションは松平定知氏であった。動画鑑賞の後、山車に関する説明を受け、他に見学者もいないことから、私どもからも質問をさせて頂き、懇切にお教えいただいた。あっという間に、時間が過ぎ、懇切な説明にお礼を述べたところ、係の人から逆に、「熱心に説明を聞いて頂き、ありがとうございました」とお礼を言われてしまった。
実際のまつりで使用されてる山車(2〜3ヶ月毎に、それぞれの町内が持っているものを
順に展示しているそうである。その入れ替えも大変だと想像される)
まつり会館に結構な時間を割いたため、時間に余裕がなくなり、町並みをバックに写真を撮影し、会館の隣にあった道路から奥に向かって何軒ものお店が入っている建物の中程にあったラーメン屋でラーメンを注文する。結構お年を召されたご主人が「昔ながらの中華そば、醤油ラーメンだよ」と説明。ほどなく、提供されたラーメンを口に含むと、とても美味しい。「美味しいね」と主人に言うと、「テレビで3度ほど取り上げられた」と自慢実にではなく、言っていた。カウンターだけの店ではあるが、それなりに注目されているということを言外ににおわす発言であったように思う。本当に美味しかった。
蔵づくりの町並みの通り
今日は、旅行の最終日、大洗港に到着しなければならない時間は決められている。前日までのように、遅くなれば、宿泊先にそのことを伝えれば済むというわけにはいかない。川越から大洗まで161.5km、2時間半程度の行程であるが、地理不案内で、万一の事態を想定し、時間に余裕を持たせて行動することを考え、13時に川越を出発した。後は高速の乗り継ぎで大洗港へ向かうだけである。途中、霞ヶ浦の風景が見たくなり、高速をおりて、湖畔に車を停めたが、
曇り空で、風が吹き、湖面に白波が立って、寂しさを感じさせる印象であった。
霞ヶ浦は初めて訪れたが、微風快晴の時に眺めることができると、違った表情を見せてくれるのではないかと想像した。霞ヶ浦と言えば、私には「潮来花嫁さん」が連想される。
大洗港に到着したのが16時ころ。既に何台もの乗用車が並んでいた。乗船手続きを済ませたが、今度は急いで下船する必要がないため、一般の方々と同列に扱って頂くことにした。そうはいっても、身障者とわかる表示(黄色)をダッシュボードの上に表示しているため、上船に当たっては、エレベーターの直近に駐車できるように係員の方が配慮してくれた。
この船もデラックスルームを手配したが、料金は40,650円である。苫小牧〜仙台の料金が39,300円であったから、差は1,350円。運行距離数を考慮すると、前者の方が割安感がある。
割安感はあるものの、船旅の優雅さや楽しいものであると印象づけてくれる内装やスタッフの方々の気配りなどの面では、苫小牧〜仙台を利用した太平洋フェリーが数段上の印象であった。大洗〜苫小牧の三井商船フェリーのサンフラワー号は、建造年数が古いのではないだろうか、人やものを運ぶという基本性能に設計思想がいき、船旅の楽しさを演出したりリッチな気分にさせる造作と言ったことには、配慮が足りないような印象であった。
レストランで出されるバイキング料理の質、スタッフの方々の人数、レストランそのものの造りや飾り付けなど、どれをとっても今一の印象が拭えない。
そんな中、旅の疲れを落とすため、上船後と翌朝の2回、展望風呂に入ったが、船の中で入るお風呂はまた格別である。旅の疲れをいやすのにとても心地よかった。因に、お風呂の中でも、私と同年輩かもう少し若いのかなと思われる方でも、お腹の出ている人は少ないように見受けられた。贅肉が少ないすっきりした体型の方が多いように見受けられた。トラックなどの長距離運転などをされる方かもしれないと眺めていた。
第7日【4月12日(土)】
行きもそうであったが、太平洋にしては珍しく、うねりのない海原を行く航海であった。殆ど揺れを感じない。
わたしは、車の振動(大型バスを含めて)には強く、乗り物酔いを経験することは全くなかったが、船は別である。若いときから、釣りの船はもとより、青函連絡船や大型フェリーなどの乗った時にも、船酔いがして船に乗っている時間は苦痛であった。しかし、ここ十年くらいは、船に乗っても酔わなくなって来た。それは、老化に伴い、三半規管の感度が鈍ってくるからだそうである。老化は、喪失の積み重ねと思っていたが、このときばかりは悪いことばかりでないと思わせてくれる。
朝食をいただいたが、取り立ててレポする内容もないので省略。殆ど、読書をしながら、時間をつぶす。タマーに、テレビで航路位置がわかるチャンネルがあるので、どの辺りを走っているのか確認すると、12時過ぎには、大分苫小牧に近づいていた。展望デッキにでて、撮った写真がこれである。
樽前山が見えて来た。
樽前山が見えて来た。そして、13時頃には苫小牧港に入港した。予定通りである。ここでも、おやと思ったことに、太平洋フェリーの時には、「車に乗り込んでください」などの案内が館内放送を通してあったのだが、それが、聞こえない。勝手に、時間だと思い、ロビーに行くと、一般乗客の方々の下船が始まっていた。われわれも、それに従い、車のところへ行ってもいいのか女性の係員に確認すると、「改めて案内するので、待っていてください」とのこと。ところが、待っていても誰も案内してくれない。再度、係の女性(私たちが待っている目の前にずーっといるのに)に、車のところに行ってもいいのかを確認すると、「皆さん、もう行っていますよ」とのこと。なんじゃこれはと思わせる出来事であった。これでは、「サービスが悪い」「スタッフ教育がなっていない。」「客離れが進んでしまう」のではないかと思われた。
14時近くに下船して、一路、我が家へ向けて出発し、途中、夕食の材料(手間のかからない焼き肉)を買い、17時頃に無事に我が家に到着した。
【エピソード1】
4月9日に宇都宮の三男のマンションを離れる時に、孫はまだ寝ていたので、お別れの挨拶をしないで出て来た。目が覚めた孫は、われわれ夫婦が寝ていた部屋にきて、いないことに気がつき、母親に、「おじいちゃんとおばあちゃんがいない」「いますぐ追いかけよう。そうしなければ遠くへ行ってしまう」と言って、後を追うように嫁さんに泣いて懇願していたようである。嫁さんからのメールでその模様が知らされた。お別れをしないで出て来たことに後ろ髪(少しだけ、私の後ろ髪はまだ残っている)を引かれる思いをしたが、いとおしい。
【エピソード2】
退職前に、仕事上のお付き合いのあった方々が、送別会を開いてくれた。そんな中の一人から、宇都宮へ行かれるのなら、是非【餃子の正嗣(まさし)】で食べてみてくださいと、強く薦められた。そのため、8日の市役所での手続きが終わったところで、妻と嫁さんと孫を連れて、向かった。G-BOOKセンターに探してもらい、ナビに設定して出向いたが、G-BOOKセンターの係の人から、「本日営業しているかどうかの情報が確認できません」というようなアナウンスがあったが、最寄りの駐車場に止めて、仲通の狭い路地の中にある本店を探して、歩いて向かったところ、あいにく、本日休業の張り紙が手書きで張り出されていた。手書きの張り紙であるところを見ると定休日ではないようであったが残念、再度のチャレンジの機会を待つことにした。
以上、6泊7日の今回の旅行のレポを漸く終えることができた。書き出しで、少々事細かに書きすぎたため、手抜きができなくなってしまった。細かく書きすぎたことを失敗したと思ったが、後の祭り。たんなる旅行の出来事の書き列ねなので、面白みに欠けたものになっているのではないか。おつき合いいただいた方々に感謝して、終える。(完)