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MEMORANDUM 今日の視点(伊皿子坂社会経済研究所)

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#2641 オフィスラブはもはや時代遅れ

2024年09月22日 | 社会・経済

 昨年10月に明治安田生命が全国の20歳から79歳の既婚男女1620人(男女それぞれ810人)を対象に行った調査によれば、「夫婦が出会ったきっかけ」は「職場の同僚・先輩・後輩」(31.2%) が トップとのこと。次いで「友人・知人の紹介」(23.6%)、「学校の同級生・先輩・後輩」(12.5%)と続き、職場や学校でパートナーと出会った日本人が多いことが窺われます。

 しかし、これを「1年以内に結婚した夫婦」に限ると、「マッチングアプリ」による出会いが25%と「職場の同僚・先輩・後輩」の25%に同率で並び、今や結婚するカップルの実に4分の1がマッチングアプリで出会っていることがわかります。

 因みに、職場結婚した人の割合はこの数年減少傾向が続いており、結婚1年以上2年未満の夫婦では13.3%にまで減っていたとのこと。コロナ禍がひと段落ついた今回、その割合が10ポイント以上上昇し、職場結婚にも(ようやく))復活の兆しが見えた形となったようです。

 以前は「結婚の王道」とも考えられていた社内恋愛や職場結婚。私の周辺にも、同じ部署の後輩や上司の紹介で交際を始め、結婚した夫婦が大勢います。しかし、職場の人間関係も以前のような濃密さを失った現在、セクハラのリスクやその後の人間関係などを考えれば、「腰が引ける」「面倒くさい」といった意識が先に立つのも判らないではありません。

 昨年3月30日の日本経済新聞(「社内恋愛離れが加速、アプリ台頭・セクハラリスクも」2023.3.30朝刊)によれば、2002年に月2万8100円だった25〜29歳の男女の賃金格差は22年には1万8500円に縮小している由。日本経済が低迷するなか、男女の賃金格差の縮小は「職場で将来の夫を見つける」という意識の低下を招いていると記事は指摘しています。

 記事によれば、日本のオフィスラブのピークは1980〜90年代後半とのこと。戦後の高度経済成長期、戦前の「家」の存在を成長著しい会社がしのぎ、会社が社員の一生を保証する母体となった。全国転勤がある男性社員に会社の方針への理解がある元社員の専業主婦という組み合わせは、「カイシャコミュニティー」の結束にも大きく寄与したということです。

 こうして、補助的な事務作業を担う「安い労働力兼お嫁さん候補」として雇用された高度成長下の女性たち。明示的あるいは暗黙に、「女性のみ30歳定年とする企業も珍しくなかったと記事は振り返っています。

 企業社会の構造が社内恋愛と結婚を促し日本を「オフィスラブ大国」へと導いたが、経済状況の変化によって(職場は)もはやそうした構造的なマッチングシステムを許す環境ではなくなった。女性の社会進出や価値観の変化ともあいまって、「恋愛」「結婚」はもっとプライベートでパーソナルな作業として計画的に行われるようになったということでしょうか。

 確かに私の周囲でも、結婚を報告に来た若い人たちに出会いのきっかけを聞くと、「マッチングアプリで…」と何の屈託もなく(明るい)答えが返ってくることが多くなりました。とはいえ、もしも自分の娘がアプリで出会った初対面の異性と交際すると聞けば、きっと「お前、本当に大丈夫なのか?」と、考え直すよう促すことでしょう。

 スマホを通じた「マッチング」に、ほとんど不安や抵抗感を感じている様子のない若者たち。時代は変わったんだなと、世代間のギャップに思いをいたさずを得ません。「そういう時代なんだな…」と驚く半面、仕事帰りに周囲の目をごまかしながら待ち合わせをした若い時分を懐かしく思い出したところです。



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