
12月4日は、2017年で最大のスーパームーンの輝く夜となりました。国立天文台の公式サイトによると、同夜のお月様は見かけ上で最小だった6月9日の満月と比べて1割以上大きく、約3割も明るかったということです。
その日の夕方たまたま品川駅近辺にいた私も、レインボーブリッジの向こうから本当に大きな赤い満月が昇っていく様子に、思わず車を第一京浜の路肩に停めてしばし見とれてしまいました。
なぜ、こうしてお月様の見かけが大きくなったり小さくなったりするかと言えば、月は楕円の軌道を描いて地球の周りを回っていて、地球から月までの距離が約35万7000kmから40万6000kmまで変化するから。
勿論、近いと大きく明るく遠いと小さく暗く見えるわけですが、この夜は満月でお天気が良く、距離も約35万8000kmとまさに「スーパームーン日和」だったようです。
実は、このように人を感動させる力を持つスーパームーンは、地震や火山活動などの自然災害に対しても不思議な力を持っているという学説があるようです。
英誌「ネイチャー ジオサイエンス」に掲載された東京大学の研究結果によると、1万件以上の地震データから、潮汐力の強い時期には巨大地震の発生確率が上昇することが読み取れるということです。
月の引力が大きくなるスーパームーンの際には、地中の断層にかかる力が大きくなる。このため、特に深さ40km以内の比較的浅い地点で起こる地震が発生しやすくなる可能性があるということです。
記録によれば、ウルトラスーパームーンが観測された1948年1月26日の前日25日には、フィリピン パナイ島付近で70名が犠牲となったでM8.2の大地震が発生。4か月後の5月25日には四川省で死者800人の大地震(M7.3)が起こり、10月5日にはトルクメニスタンのアシガーバードで大地震(M7.3)が発生し、2万人以上の尊い命が犠牲となっています。
また、2011年3月11日の東日本大震災が起きた8日後の3月19日にも、18年に1度しか訪れないという『エクストリーム・スーパームーン』が観測されているということです。
さらに、こうした満月の持つ力は、日常を生きる私たちの行動にも(人知れず)影響を与えているという話もあります。
12月21日の毎日新聞(東京夕刊:コラム憂楽帳「満月の魔力」)には、満月とオートバイ事故に関する研究結果が報じられています。
米国の研究者が1975年から2014年までの40年間に夜間で発生したオートバイ死亡事故(1万3029件)を分析した結果、494日あった満月の夜に亡くなった人は4494人で1夜当たり9.10人だったということです。
これに対し、満月の1週間前と1週間後の半月(上弦と下弦)の夜、計988日間に亡くなった人は8535人で1夜当たり8.64人と、満月の夜の死亡事故のリスクは、半月の夜よりも有意に高かいことが判ったということです。
細かく調べると、実は月が地球に最接近するスーパームーンの夜は死亡事故の増加が特に顕著で、英国やカナダ、オーストラリアでも同様の報告がされているほか、1982年から1992年の10年間を対象とした日本の調査でも、死亡事故は満月と新月に多かったことが報告されているということです。
記事によれば、今回の米国の論文ではその原因を、「美しい満月で気が散ったから」「満月の夜は外出が多いから」ではないかと推測しているということですが、無論それは何か確証があってのことではありません。
米国の精神科医アーノルド・L・リーバー医師は、月の満ち欠けと犯罪や交通事故・出産・心臓発作の増減を検証し、明らかな相関関係があるとする『バイオタイド理論』を提唱しているということです。
例えば、ウルトラスーパームーンが観測された時におこった事件として、記事は1948年1月26日に起こった「帝銀事件」を挙げています。
東京の豊島区の椎名町にあった帝国銀行(椎名町支店)に中年の男性が来店、赤痢の予防薬と偽り行員と用務員一家16人に青酸化合物を飲ませ、うち12人が死亡した日本の犯罪氏に残る毒物殺人事件です。
思えば、ああした(お月さまの様な)大きく不思議な物体が、何の支えもなく形を変えながら夜空に浮かんでいること自体が不思議と言えば不思議です。古来、人間は夜空を見上げ、様々な思い(や願い)を月に捧げてきたのでしょう。
普段はおとなしい普通の人間として暮らしている人でも、ある満月の夜には(自分ではそうとはわからぬまま)時に理性をかなぐり捨てた「狼男」に変身するかもしれません。
不気味なまでに大きく光り輝くスーパームーンには、確かにそうした不思議な力があるかもしれないと、(私も煌々と大地を照らすお月様に思いを馳せながら)改めて感じた次第です。
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