トランプ米大統領の支持率が絶好調。最近米国で行われた3つの世論調査で支持率が少なくとも50%と、国民の大半がトランプの仕事ぶりを評価していることが分かったと、2月27日の「Newsweek」(online)が報じています。
同誌記者のイワン・パーマー氏によれば、「サーベイUSA」の最新の世論調査によると、トランプの仕事ぶりを「支持する」と答えた人は51%、「支持しない」と答えた人は45%。同じく2月18日に発表されたモーニングコンサルトの世論調査では、支持は50%、不支持は47%で、対象のほぼ過半が一定の評価を下している由。
ナポリタン・ニュースの調査では支持率55%と高く、複数の調査から平均値を出すリアル・クリア・ポリティクスでも、トランプの仕事ぶりへの支持49.2%、不支持47.8%と、支持が上回ったということです。
一方でトランプ氏個人についての質問では、好ましく思わない人が49%、好ましいと思う人は48%と数字が逆転。不思議な感じはしますが、世論調査の専門家によれば、アメリカでの世論調査では「人としての好感度」と「職務遂行能力の評価(支持率)」が異なることは珍しくないと記事はしています。
人柄は嫌いだけど、まあそれなりに(思い切り)やっているじゃないか。少なくとも、青臭いインテリの集団の民主党や、脚元のおぼつかないバイデンに任せているよりもマシだろう…といったところでしょうか。
政策で言ったら、「支離滅裂」というか「矛盾だらけ」というか、なんで米国民はこんなやり方や発言を許しているのだろうと驚くばかりの(常識外れの)トランプ大統領ですが、「自分たちは虐げられている」と鬱屈してきた人々にとっては、従来の閉塞感から解放してくれるヒーローのように見えるのかもしれません。
さて、そんな(ある意味「やんちゃ」な)トランプ氏に関し、経済誌「週刊東洋経済」の3月22日号の名物コラム「匿名有識者の少数意見」に、『トランプ流の発想法を敢えて擁護する』と題する興味深い一文が掲載されていたので(参考までに)指摘の一部を小欄に残しておきたいと思います。
筆者は「トランプ大統領が大嫌い」(とのこと)。筆者によれば、その人権意識の低さ、脅迫めいた外交や関税政策、忠臣と呼ばれるイエスマンばかりで閣僚を固めていることなど、どれも見るに堪えないということです。
当選の直後から彼の姿を腹立たしく見てきたが、一方で、(にもかかわらず)最近では、自分がそのやり方をまねていると筆者はコラムに記しています。
例えば、業界団体の付き合いで依頼ごとがあった際など。その相手先に「その仕事は無料で引き受けるので、貴方はこの件を受けてくれませんか…とお願いしたりしている。つまり、これはディール(取引)で、これによりウィンウィンの状況が(ストレスなしに)手に入るということです。
あるいは、発言が少なく沈滞気味の会議では、敢えて無理筋なアイディアを提案し、抵抗する担当者に「ならば何か対案を出してください」と反論したりもしている由。私(←筆者)から見ると、この担当者がこれまでのやりかたに拘泥しているように感じられたことから、もっと広い視野で解決策を探るのを期待してのリアクションだということです。
日本では、良識のある人ほどトランプ流の突拍子もない発言に顔をしかめる。しかし、ちょっと立ち止まって考えてほしい。これまでの発想や慣例にとらわれないと、新しいアプローチを見つけられることに気づくと筆者は話しています。
交渉の結果ウィンウィンになっていれば、当初はもめた相手とも仲良くなることだってある。自分の常識を疑うと、全く新しいアングルで解決法を模索もできるし、落としどころさえ間違わなければ、案外実害は少ないというのが筆者の見解です。
何物にもとらわれない発想を心がけると脳が活性化されると言えば、トランプを誉めすぎだろうか。筆者が「トランプ流」が役立つかもしれないと主張するのは、多くの人が目の前の前提条件に縛られているように見えるからだということです。
前例やしきたり、社会通念、常識といった暗黙のルール。最近では「コンプラ重視」の結果か、「社内ルールではこうなっている」「それはハラスメントに当たるので」「資料には、こちらが責任を負わなくて済むよう必ずガード文言を入れておくように」などとやたら煩しいと筆者は言います。
世の中、自由な発想が大事といいながら、最近では逆に不自由さが増しているように感じる。自らを振り返っても、断定を避け、誰からも攻撃を受けにくいようやたらと丁寧で、しかも責任を分散させるような提案書を書いていなかったか反省も多いということです。
確かに、トランプ流の(例えば「グリーンランドを買い取る」とか「米国がガザを長期保有して中東のリビエラにする)といった、誰もが思いつかない(まるで子供のような)自由な発想は、影響力の大きな超大国の指導者のそれとは思えないもの。しかし、それでも「トランプだからしょうがない…」と思わせるところが、彼の彼たるゆえんなのかもしれません。
世論調査でも、アメリカ人の過半の支持を得ているトランプ氏。結局のところ、多分米国民はトランプの突き抜けた発想法を歓迎しているのだろうと筆者はしています。
こぶしを振り回し、大声で大言壮語を振りまくその姿は、まるで(周りの言うことを全然聞かない)近所のおっさんのようなもの。決して尊敬はできないけれど、世の常識をものともしない人間的なスタイルは(私も)大いに気になるところだとコラムを結ぶ筆者の指摘を、私も興味深く読んだところです。
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