はと@杭州便り

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教師資格証

2010-09-03 00:36:27 | 中国人相方&親戚
二姐の娘、ミンミンが教師資格試験に合格した。

ミンミンも9月から大学4年生。
中国では今、「大卒=失業」と言われるほどの厳しい就職難を反映して、教師資格試験を受験する大学生も年々増えているらしい。
中国では昔から「教師=一般の大卒サラリーマンより安月給」というのが当たり前だったらしく、相方が大学生だった時代には不人気だった教職も、

地方によっては昔より待遇が改善された
安月給だが住宅や医療面での福利が充実している&保護者からの付け届けもかなりの額になる
何といっても転勤&リストラされる心配がない

ということで、近年改めて脚光を浴びる(?)ようになったらしい。

ミンミンから色々話を聞くと、中国の教職と日本の教職にも大きな違いがあると知って、驚くばかりである。

中国の大学には、そもそも教員養成課程自体が存在しない(注:教員養成を目的とする師範大には教育関連の科目があるらしいが)。
そして、教育実習もない
教員になるためには

●年一度行われる教師資格試験を受験する。
受験科目は:担当教科(ミンミンの場合は英語)、教育学、教育心理学 の3教科。
大学によっては試験対策講座なども開かれているらしいが、自分でテキストや過去問題を購入して勉強する人が多いらしい。

●日本では小学校、中学校、高校とそれぞれ免許が分かれているが、
中国では受験者の学歴によって、自動的に免許が決まるらしい。
大卒で英文科のミンミンの場合は:小学校~高校 の 英語
高卒の場合は:小学校~中学校
中卒の場合は:小学校のみ
となる。
つまり、制度上は中卒でも小学校の先生になることができるのである。
実際には杭州などの都会では、小学校の先生でもほぼ全員大卒らしいのだが、
地方、特に貧しくて過疎の進んでいるような村では、中卒の先生が教えているケースもまだまだ多いのだろう。

ちなみに大学の教員も同じ試験を受けなければならず、要求される学歴は大学院修士課程卒業以上、となる。

●基本的に転勤がない
日本だと公立学校の教師は、同じ市内や県内で数年ごとに転勤していくのが普通だが、中国は一度採用されると一生転勤がないらしい。
このあたりが、保護者が先生や校長にワイロを送る習慣の温床になっていると思われる

日本では教員になれるのは、教員養成課程のある大学の卒業生に限られ、特に小学校の教員は基本的に教育大の卒業生でなければ難しい。
そして、大学で教職を取ろうとすると、かなりの数の科目を履修しなければならないのが普通で、時に自分の専門科目より科目数が多い場合すらあるし、さらに4年生では教育実習が待っている。

ミンミンの話ではこの教師資格試験も決して簡単な試験ではなく、合格率は3~4割程度ということだったが、
一言で言えば、「中国は学力重視、日本は教育、研修重視」といったところだろうか。

さらに中国だなぁと思うのは、教師資格試験に加えて「普通話考試」、つまり標準語を正しく話せるかどうかの試験が義務付けられていること。
試験は朗読とスピーキングで行われ、受験生の声はすべてテープに録音されて審査されるらしい。
北方出身者には難しい試験ではないが、杭州を含む南方出身者にはこれも、結構ハードルが高いらしい。

さて、ミンミンは無事教師資格証を手にすることができたのだが、
大変なのはここから、なのである。

地元の紹興県で教師として就職するのは、やはり数百人に一人の狭き門らしいのだ。
もちろん各市政府、県政府の教育局による採用試験を受けなければならないのだが、
合格には成績のほか、コネが大きく作用するらしい。
何のコネもない人は、たとえ成績が一位でもまず採用されないそうだ。

まず必死になってコネを探し、場合によっては高額の謝礼金を包んで、お願いしなければならない。

日本では数年前、九州の某県で教員採用試験をめぐる不正が大きなニュースになったが、
そんなことは中国では当たり前すぎて、ニュースにすらならないのである。

ちなみに、相方の従妹が3年ほど前、やはり教員として地元の短大に就職したのだが、
その際に彼女の父親が包んだお金は、20万元を下るとか下らないとか…
それでも従妹は大学院卒で、地元の短大の教員でも年収6~7万元はあるそうで、
「その職を20万元で買ったと思えば、まだマシな方だ」と言われたのには仰天した。

ミンミン自身は今のところ、企業に就職するか教員を目指すか、まだはっきり決めてないようなのだが、
大学も入試時の成績優秀で特待生(授業料免除)で入学した親孝行な彼女のこと、頼るべき父親もなく、下にまだ小学生の妹がいることを思えば、就職のプレッシャーは相当なものだと思う。

ガイジンで何のコネもない私としては、ただ彼女の就職活動が何とか上手くいくよう、祈るしかないのだが、
それにしても何でもカネとコネの中国。
就職事情にもすごいものがあると、改めて思い知った次第…

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