はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

敦煌旅行 3

2015-07-20 14:11:06 | その他
3日目、念願の莫高窟へ



莫高窟の観光、昔は莫高窟の入口まで直接行けたのですが、今は先にビジターセンターでまず莫高窟に関する映画を2つ鑑賞してから、専用バスで莫高窟に向かうことになっています。
ちなみに今は、莫高窟の観光は完全予約制。インターネットか旅行社を通じて事前に予約が必要です。

ビジターセンターでの映画、正直期待してなかったのですが、敦煌の歴史についての映画一本、その後莫高窟に関する映画一本で、それぞれ時間は短いですが楽しめました。
有名な監督に依頼したのか、お金をかけて丁寧に作られた映画です。
莫高窟に来る観光客は年々増え続けていますが、中国人観光客の中には「莫高窟って何??」という人も結構いるようなので、事前にこの映画を見て基本的なことを理解してもらってから見学する、というのは中々いいアイデアなのかもしれません。
あと、石窟の中には最大15人ずつしか入れないため、旅行シーズンには一日何千人と押し寄せる観光客をさばくためにも、このビジターセンターからバスで随時ピストン輸送という方法を取れば、人数を調整しやすいという面もあると思います。


莫高窟遠景


中国人の人たちは専用ガイドを頼まない限り、15人一組で一人のガイドが案内して合計8窟を1時間半~2時間ほどで見学している様子。
私たちは事前に旅行社を通じて、専属ガイドで初日8窟、2日め11窟の合計19窟を1日3時間以上かけてゆっくり見学させてもらいました(なんてゼイタクな…)。

日本語で案内して下さったのは、莫高窟研究所所員の郭さん。
蘭州大学卒業後この研究所の所員となり、研究所から派遣されて日本に留学された経験があります。とても流暢な日本語で丁寧に説明してもらって、大満足。

莫高窟で公開されている石窟は30前後だそうなので、3日間通えば公開されている全部の石窟を見ることができます。
少々お金がかかっても、仏教美術や歴史に関心の高い人は、旅行社に頼んで3日間ガイドを手配してもらうことをお勧めします。
ちなみに2日目からは、ビジターセンターの映画を見なくても直接莫高窟へ行くことができました。





階段を上ったり下りたりなので、結構な運動です。
写真撮影禁止なので、以下は資料写真から。初日に見学した石窟の様子です。











「砂漠の一千年美術館」と言われる莫高窟、その作られた時間の長さも規模の大きさもこれだけのものは世界に一つしかありません。
中国三大石窟(雲崗、龍門、莫高窟)のうち、他の2つは仏像がメインなのに対し、この莫高窟の白眉は何といっても壁画!
初期~北魏までは西域の民族によって描かれた仏や飛天、動物の壁画。隋唐時代には漢民族によって描かれた仏や御殿、楽器、山水名所壁画。宋代以降の人物画、どれも素晴らしくて見入ってしまいました。
そして20世紀に入って偶然発見された敦煌文書。スタイン、ペリオ、日本の大谷探検隊などの探検家、学者たちによって本国に持ち帰られ、多くの文書が散逸しました。莫高窟研究所の所員は現在約800人。イギリスやフランスに現存する敦煌文書や画などの模写、復元、保存の仕事にも力を入れているそうで、日本へも毎年数人の研究員が派遣されているそうです。
また、日本からの多くの寄付や資材援助、学術交流なども盛んで、日本とは縁が深いのだと言うことでした。

郭さんのお話では。莫高窟は保存と観光の間で色々と問題があるそうで、特に近年増え続ける中国人観光客の受け入れに伴って石窟の退色や劣化も進んできているそうです。
数年前完全予約制になってから、一日最大6000人と人数を制限しているそうですが、それでも石窟内部の環境を保つのは非常に難しいそうです。事実、100年前に撮影された時は色も鮮やかで美しかった壁画が、今では輪郭もはっきりしなくなってしまったのを見ると、ショックでした。しかし町の発展や教育の観点から見れば、人数制限をこれ以上厳しくすることも難しく、色々と問題が有るのだと話してくれました。

郭さんから色々なお話を伺うことができて、とても充実した莫高窟見学でした。
もしいつか3度目に訪れることができれば、今度は3日間通いたいと思います。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿