すっかりブログ、ご無沙汰しています。
中国の大学入試における地域格差について、最近出た文章を訳してみました。
ご興味のある方はどうぞ…
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中国の教育はどれだけ不公平か?
専門家も言わない衝撃のデータを、ここに公開してみよう。
1.大学入試における「合格率」の意味
ネットで大学入試の合格率を見ると、こんなデータが見つかる。
「2015年、全国の大学入試受験者は942万人、合格者は700万人で、合格率は74.3%。合格率は昨年とほぼ同じ。」
【2015年省別大学入試合格率】
北京 83%
上海 88%
河南 81%
湖北 90%
湖南 85%
江蘇 91%
浙江 87%
雲南 80%
新疆 81%
…
これを見ればどの省も大した差はなさそうに思うだろう。しかし、これには落とし穴がある。
この合格率は、短大高専も含んだデータなのだ。
理論上は、全日制普通高校卒業生で大学入試に参加する者は、よほどのことがない限り全員これらの学校に進学するのはほとんど当たり前と言っていい今、こんな合格率に何の意味があるのだろう?
2.一流大学合格率
次に2013~2015年の三年間における、全国一流大学平均合格率を見てみよう。
北京 24%
上海 21%
河南 7%
湖北 10%
江蘇 9%
浙江 14%
新疆 12%
山東 16%
内モンゴル 14%
四川 5%
…
これを見れば差は歴然としている。一流大学合格率では、北京の合格率は四川省の約5倍だ。
一流大学とは言うまでもなく、伝統のある重点大学のことである。予算、教育の質ともに信頼できるものであり、子供の受けられる教育の質から考えれば、一流大学合格率はきわめて重要だ。
これを見れば、もう十分だと思う人もいるだろう。
しかし!
もっと残酷な事実がまだ残っているのである。
例えば山東省の「一流」は全然値打ちがない。他省では「二流」にランク付けされている大学が、山東省では「一流」にランク付けされていたりするからである。本当の「一流」大学かどうかを見極めるには、「国家211プロジェクト」指定大学合格率も調べなければならない。
3.「国家211プロジェクト」指定大学合格率
いわゆる「一流」大学の定義は相対的概念に過ぎない。同じ大学でもA省では「二流」に、B省では「一流」に指定されている場合もあり、統一された基準とは言えない。
中国にはもう一つの区分、「211プロジェクト」がある。
簡単に言えば、この「211」に国内最高レベルの大学がすべて入っており、その数は約100大学。
つまり「中国国内大学ベスト100」と言っていいだろう。
求人情報を見ればすぐにわかる。
いわゆる高級専門人材の求人には、よく「『211』大学出身者に限る」と書いてあるではないか。
大学院入試の時だって、「211」大学出身者でなければ一流大学の大学院に合格することは難しい。
中国の一流大学が学歴重視なのは、誰もが知っていることだ。
海外留学でさえ、「211」大学出身でなければ、国際的に有名な大学の大学院入試に合格することはまず無理だろう。
海外の大学は中国の教育レベルについてよく知らないため、「211」出身者であることが一つの判断材料になっているからだ。
では、2015年「211」大学合格率はどのようになっているのだろう?
軍関係、体育・芸術関係や特別推薦、大学自主入試など特殊事例を除いた、教育部の発表している合格率は以下の通りである。
北京 12%
上海 13%
河南 3%
湖北 5%
江蘇 6%
浙江 5%
山東 3%
…
これを見て、腹の立たない受験生がいるだろうか?つまり中国の本当の「一流」大学合格率、北京は山東省の4倍!なのだ。
4.ここまで来ればついでに、北京大学の合格率
最後に、中国最高の大学である北京大学と清華大学について見てみよう。
大学自主試験による募集や各種推薦による合格者(実は合格者全体の三分の二にも上るのだが)を除き、純粋に全国統一大学入試だけで合格した者(全体の三分の一)について、教育部ホームページより算出した各省のデータは…
北京 194:1
天津 886:1
上海 1063:1
青海 1536:1
チベット 1909:1
吉林 2604:1
湖北 4842:1
江蘇 5104:1
山東 6276:1
江西 7717:1
...
北京では受験生194人に対し1人は北京大学か清華大学に合格しているのに対し、最下位の江西省では受験生7717人に1人しか合格できない、つまりその差は約40倍だ。
つまり結論はこうだ。どの省に生まれるかで、君の運命はもう決まっている。
これ以上何か言うことがあるか?
有る!
まだもう一つ、話していないことが!
5、全日制普通高校合格率
2015年大学入試受験生のうち、大多数が2013年に高校入試を受験している。
3年間の高校の履修過程を終了した者が、大学入試を受験する資格があるのだ。
では、高校入試の省別合格率はどうなっているのだろう?
新聞の報道によると、2013年北京市では9.6万人の中学卒業生が高校入試を受験し、全日制普通高校に合格した者は5.2万人、合格率は56%であった。
では、他の省は?
他省の高校入試は省別ではなく、市や県別の入試であるため、完全なデータを集めるのは難しいが、筆者の地元である山東省臨沂市のデータを調べてみた。
ちなみに臨沂市は、省内では最も教育レベルの高い市の一つであり、毎年省内大学入試の合格者のうち20%がこの地区の出身者である。
2014年臨沂市では19.22万人の中学卒業生が高校入試を受験し、全日制普通高校(私立を含む)に合格した者は58906人、合格率はわずか30%だった。
こんな教育レベルの高い臨沂市でさえ、全日制普通高校の合格率は北京のわずか半分なのだ。
高校入試というふるいで多くの子供達を切り捨てた後、残酷な大学入試が待っている。
大学入試は不公平だが、それでも参加できるだけマシかも知れない。数え切れない子供たちがその3年前の高校入試で大学進学への夢を絶たれているのだから。
6.最後に
地方出身者にとって大学入試がどれだけ残酷なものか。
ある小話を紹介しよう。
ある建設現場で、設計士と肉体労働者が知り合った。
二人は同い年で、話をするうち同じ年に大学受験していたことがわかった。
同じ試験問題で、北京の受験生だった設計士は480点で一流大学に進学したと言った。
肉体労働者は河南省の受験生で、530点だったが不合格。大学進学をあきらめて肉体労働者になったと話した。
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中国人なら、北京上海の人はそのまま国内の大学入試を目指しても良いが、
それ以外の省の人は国内の一流大学進学はあきらめて、別の道を探した方が良いかもしれない。
出典『世界華人週刊』高考录取率差40倍!出生地决定了你的人生?
中国の大学入試における地域格差について、最近出た文章を訳してみました。
ご興味のある方はどうぞ…
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中国の教育はどれだけ不公平か?
専門家も言わない衝撃のデータを、ここに公開してみよう。
1.大学入試における「合格率」の意味
ネットで大学入試の合格率を見ると、こんなデータが見つかる。
「2015年、全国の大学入試受験者は942万人、合格者は700万人で、合格率は74.3%。合格率は昨年とほぼ同じ。」
【2015年省別大学入試合格率】
北京 83%
上海 88%
河南 81%
湖北 90%
湖南 85%
江蘇 91%
浙江 87%
雲南 80%
新疆 81%
…
これを見ればどの省も大した差はなさそうに思うだろう。しかし、これには落とし穴がある。
この合格率は、短大高専も含んだデータなのだ。
理論上は、全日制普通高校卒業生で大学入試に参加する者は、よほどのことがない限り全員これらの学校に進学するのはほとんど当たり前と言っていい今、こんな合格率に何の意味があるのだろう?
2.一流大学合格率
次に2013~2015年の三年間における、全国一流大学平均合格率を見てみよう。
北京 24%
上海 21%
河南 7%
湖北 10%
江蘇 9%
浙江 14%
新疆 12%
山東 16%
内モンゴル 14%
四川 5%
…
これを見れば差は歴然としている。一流大学合格率では、北京の合格率は四川省の約5倍だ。
一流大学とは言うまでもなく、伝統のある重点大学のことである。予算、教育の質ともに信頼できるものであり、子供の受けられる教育の質から考えれば、一流大学合格率はきわめて重要だ。
これを見れば、もう十分だと思う人もいるだろう。
しかし!
もっと残酷な事実がまだ残っているのである。
例えば山東省の「一流」は全然値打ちがない。他省では「二流」にランク付けされている大学が、山東省では「一流」にランク付けされていたりするからである。本当の「一流」大学かどうかを見極めるには、「国家211プロジェクト」指定大学合格率も調べなければならない。
3.「国家211プロジェクト」指定大学合格率
いわゆる「一流」大学の定義は相対的概念に過ぎない。同じ大学でもA省では「二流」に、B省では「一流」に指定されている場合もあり、統一された基準とは言えない。
中国にはもう一つの区分、「211プロジェクト」がある。
簡単に言えば、この「211」に国内最高レベルの大学がすべて入っており、その数は約100大学。
つまり「中国国内大学ベスト100」と言っていいだろう。
求人情報を見ればすぐにわかる。
いわゆる高級専門人材の求人には、よく「『211』大学出身者に限る」と書いてあるではないか。
大学院入試の時だって、「211」大学出身者でなければ一流大学の大学院に合格することは難しい。
中国の一流大学が学歴重視なのは、誰もが知っていることだ。
海外留学でさえ、「211」大学出身でなければ、国際的に有名な大学の大学院入試に合格することはまず無理だろう。
海外の大学は中国の教育レベルについてよく知らないため、「211」出身者であることが一つの判断材料になっているからだ。
では、2015年「211」大学合格率はどのようになっているのだろう?
軍関係、体育・芸術関係や特別推薦、大学自主入試など特殊事例を除いた、教育部の発表している合格率は以下の通りである。
北京 12%
上海 13%
河南 3%
湖北 5%
江蘇 6%
浙江 5%
山東 3%
…
これを見て、腹の立たない受験生がいるだろうか?つまり中国の本当の「一流」大学合格率、北京は山東省の4倍!なのだ。
4.ここまで来ればついでに、北京大学の合格率
最後に、中国最高の大学である北京大学と清華大学について見てみよう。
大学自主試験による募集や各種推薦による合格者(実は合格者全体の三分の二にも上るのだが)を除き、純粋に全国統一大学入試だけで合格した者(全体の三分の一)について、教育部ホームページより算出した各省のデータは…
北京 194:1
天津 886:1
上海 1063:1
青海 1536:1
チベット 1909:1
吉林 2604:1
湖北 4842:1
江蘇 5104:1
山東 6276:1
江西 7717:1
...
北京では受験生194人に対し1人は北京大学か清華大学に合格しているのに対し、最下位の江西省では受験生7717人に1人しか合格できない、つまりその差は約40倍だ。
つまり結論はこうだ。どの省に生まれるかで、君の運命はもう決まっている。
これ以上何か言うことがあるか?
有る!
まだもう一つ、話していないことが!
5、全日制普通高校合格率
2015年大学入試受験生のうち、大多数が2013年に高校入試を受験している。
3年間の高校の履修過程を終了した者が、大学入試を受験する資格があるのだ。
では、高校入試の省別合格率はどうなっているのだろう?
新聞の報道によると、2013年北京市では9.6万人の中学卒業生が高校入試を受験し、全日制普通高校に合格した者は5.2万人、合格率は56%であった。
では、他の省は?
他省の高校入試は省別ではなく、市や県別の入試であるため、完全なデータを集めるのは難しいが、筆者の地元である山東省臨沂市のデータを調べてみた。
ちなみに臨沂市は、省内では最も教育レベルの高い市の一つであり、毎年省内大学入試の合格者のうち20%がこの地区の出身者である。
2014年臨沂市では19.22万人の中学卒業生が高校入試を受験し、全日制普通高校(私立を含む)に合格した者は58906人、合格率はわずか30%だった。
こんな教育レベルの高い臨沂市でさえ、全日制普通高校の合格率は北京のわずか半分なのだ。
高校入試というふるいで多くの子供達を切り捨てた後、残酷な大学入試が待っている。
大学入試は不公平だが、それでも参加できるだけマシかも知れない。数え切れない子供たちがその3年前の高校入試で大学進学への夢を絶たれているのだから。
6.最後に
地方出身者にとって大学入試がどれだけ残酷なものか。
ある小話を紹介しよう。
ある建設現場で、設計士と肉体労働者が知り合った。
二人は同い年で、話をするうち同じ年に大学受験していたことがわかった。
同じ試験問題で、北京の受験生だった設計士は480点で一流大学に進学したと言った。
肉体労働者は河南省の受験生で、530点だったが不合格。大学進学をあきらめて肉体労働者になったと話した。
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中国人なら、北京上海の人はそのまま国内の大学入試を目指しても良いが、
それ以外の省の人は国内の一流大学進学はあきらめて、別の道を探した方が良いかもしれない。
出典『世界華人週刊』高考录取率差40倍!出生地决定了你的人生?
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