三宅孝治の独り言

税理士三宅孝治の日々の想いを綴ります。

大雪での親切心

2014-02-20 18:53:34 | 感動した出来事

各地で大雪が降り、大きな影響や大きな被害が出ましたが、感動的な出来事もありましたね。

 

■山崎製パン配送車、機転…無料で菓子パン提供

 山崎製パン(東京都千代田区)によると、雪で通行止めになった中央道や国
道で、複数の配送トラックが立ち往生した。

 山梨県上野原市の中央道談合坂サービスエリアなどでは、配送車の運転手が
、立ち往生して動けない他の車のドライバーに、積んでいた食パンや菓子パン
を無料で提供したという。

 運転手の機転のきいた判断に、同社には感謝の声が寄せられているというが
、広報・IR室は「長野、山梨県などのスーパーやコンビニへの納品ができな
い状況が続いている。迂回ルートを検討するなどし、一刻も早く配送できるよ
う努力したい」と話している。

(2014年2月17日 読売新聞)

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■Editor's EYE ラストワンマイルは誰のもの

 山崎製パンの配送車には、神妙な顔で食パンを食む女の子が描かれています
。その名は「スージーちゃん」。「世界のパン ヤマザキ」と書かれた同社の
配送トラックを、コンビニエンスストアの近くで目にしたことのある方は少な
くないはずです。でも、不思議に思われたことはないでしょうか。コンビニの
店舗に商品を配送するのは、そのコンビニのロゴが描かれた配送車のはず。な
ぜ山崎製パンだけが自社だけの配送車でコンビニ店舗に商品を届けるのか。

 答えは、山崎製パンが「物流」を手放さなかったから、です。

 一般に、メーカーがコンビニに商品を卸す際、配送センターに商品を納める
ことになります。「配送センター→店舗」の物流は、メーカーでなく小売り側
が握っているわけです。ところが山崎製パンは、この物流プロセスを小売りに
渡すことを頑なに拒み、今もなお自社配送を続けています。

 では、なぜ山崎製パンは自社物流を手放さないのか。それは、物流こそが付
加価値の源泉だからに他なりません。要するに、「パンを焼く」ことよりも「
パンを全国津々浦々まで届ける」ことの方が難しい、ということです。店舗が
増えれば増えるほど、その難易度は上がります。難しいということは容易にマ
ネができないということであり、それだけ付加価値が高い仕事である、という
ことです。「届ける」という付加価値を小売りに奪われて、ただパンを焼くだ
けの下請けとなれば、山崎製パンが一定以上の利益を出すことは難しいでしょ
う。

 山崎製パンは例外中の例外で、多くのメーカーがこの「配送センター→店舗
」という難易度の高い=付加価値の高い物流を小売りに握られ、「工場→配送
センター」というほぼ付加価値ゼロの物流しか担わせてもらえていません。

 もう1つ、小売業には見落としがちな「物流」のプロセスがあります。「店
舗→消費者」です。購入した商品を消費者が自ら持って帰る小売店とは、この
プロセスを消費者にアウトソーシングしている(セルフサービス化している)
業態と言えます。仮に、配送センター1つにつき500店舗を抱え、1店舗に
つき1000世帯の顧客を抱えるとすれば、「配送センター→店舗」は「工場
→配送センター」の500倍の手間がかかり、「店舗→消費者」は「配送セン
ター→店舗」の1000倍の手間がかかります。

 ネット通販は、この最も難易度が高い「ラストワンマイル(幹線道路から家
庭まで伸びる最後の細道1マイル)」の物流を担うからこそ、高い付加価値を
得ることができます。消費者は「ネット通販だと、便利だから高くても買って
しまう」というのは、付加価値の高さの表れでしょう。

 かつて「工場→配送センター」の物流プロセスを小売りとメーカーで奪い合
ったように、今、「店舗→消費者」のプロセスを誰が担うのかという主導権争
いが始まっています。御用聞きや宅配機能を強化する小売業か、リアル店舗の
足かせを持たないネット通販事業者か、あるいはCtoC(顧客間)の毛細血
管物流を独自のノウハウで磨き続けてきた宅配業者か。本日、先行公開した6
月11日号時事深層「楽天、セブンが宅配に本格参入」には、それぞれの業界
の雄であるセブンイレブン、楽天、ヤマト運輸が登場し、この面倒だが付加価
値の高い物流プロセスでどう覇権を握ろうとしているかその試みを紹介してい
ます。

 物流を制する者が、小売りを制する。これから始まるだろう苛烈な主導権争
いから当面、目が離せません。(池田信太朗)

日経ビジネス 2012年06月06日

 

 

 

 


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