うちの子供が「春物の服を買いたい」と昨日言ってました。私は、「もう、今の時期はほとんどないやろ~。諦めて今ある服の中からから探してみたら?」と言いました。今年は、家庭内で時間的な余裕がなく、服を買いに行く時間がほとんどありませでした。何処に行けば、春物の服があるのでしょうか?
■季節感に合う服、売ります シーズン前に買う客減る
春や秋に夏物冬物を定価で売り、夏冬本番前に一斉セールで値引きする。季
節を先取りするこうした衣料品販売の暦がいま、見直されつつある。消費者が
感じる季節感に戻すもので、アパレル業界は季節の「端境期(はざかいき)商
品」を投入、百貨店ではセール時期を遅らせる検討も始まっている。
1月の百貨店は冬物セール真っ盛り。ところが大手アパレルの三陽商会のブ
ランド「アマカ」は、目立つ場所に定価の商品が昨年暮れから並ぶ。早めの春
物ではない。白のダウンコート(税込み3万450円)に、ピンクのニット(
同1万3650円)。れっきとした冬物だが、3月まで着て恥ずかしくない春
色にした。
シーズン途中に発売するこのような端境期商品は、通常より2割ほど安い価
格と、長く使えるデザインが特徴だ。この冬、他の大手アパレルも力を入れる
。東京スタイルはよく使うニットやコートを中心に、オンワード樫山もベーシ
ックなデザインのダウンやニットを出している。
背景にあるのは、客と売り手との間に季節感の「ずれ」が生じ、アパレル側
がこれを埋めようとしていることだ。温暖化で残暑が長引く近年、秋に冬物が
売れなくなった。さらに東日本大震災による消費者の変化が大きい、と業界で
はみている。三陽商会の矢内正彦・執行役員は「震災で消費意欲がしぼみ、暑
さ・寒さが本番になってから買う堅実な人が増えた」。
2~3年前から目立つようになった端境期商品は、コストを抑えて生産する
ためセール品よりはもうかる。セール品は50%引きも珍しくないが、そこま
では価格を抑えない。シーズン途中の投入のため、品切れも起きにくいという。
実際、端境期商品は消費者からも受け入れられている。三陽商会が昨夏、百
貨店向け婦人服部門で前年の1.5倍の種類の端境期商品を出したところ、8
月の定価品の売り上げは前年比で約8%増えた。セール目当てで百貨店を訪れ
た客が、サイズや色がそろう端境期商品があれば、そちらを買っていくという
。オンワード樫山の担当者は「消費者は成熟しており、価格だけでなく価値を
吟味している。必要なものであれば、定価でも買う」と見る。
百貨店大手の三越伊勢丹は、セール時期そのものを遅らせる検討に入った。
業界ではバブル崩壊後、競争が厳しくなる中でセールを早めてきた結果、定価
で売る機会が少なくなっている。「一番寒くなる時にセールをして、自分たち
の首をしめている」(幹部)と反省する。
夏は6~7月初旬、冬は12~1月初旬にセールが始まるのが定番だが、冬
は2月、夏は8月ごろのセールが理想といい、今夏のセールを少なくとも1週
間ずらす方向だ。
朝日新聞 2012年1月10日
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■百貨店、独自商品に回帰 アパレル業界任せを見直し
百貨店が、素材にこだわった独自商品の販売に力を入れている。今春には、
婦人服や紳士服、雑貨など大半の分野で独自商品をそろえる店も出てきた。「
この店でしか買えない」という個性的な商品を増やして顧客を呼び戻し、売り
上げを上向かせようとしている。
東京・銀座の松屋銀座は21日から、約180種類ものデニム商品を一斉に
売り出す。すべて独自商品で、ジーパンやワンピースにとどまらず、和服やバ
ッグまである。
開発は昨夏に始まっていた。「これを持ってアパレルメーカーに行け。彼ら
と一緒に何が売れるか考えるんだ」。松屋の太田伸之・MD戦略室長は仕入れ
担当者たちを集め、ジーパンなどに使われるデニム生地を渡した。広島県福山
市産だった。
「メード・イン・ジャパン(日本製)」が消費者から再評価されている。そ
の流れに乗って、世界の高級ブランドも使っている福山市産などのデニムで様
々な独自商品をつくることができれば、「銀座に客を呼ぶことができる」(太
田氏)とにらんだ。
ふだんはメーカーから仕入れる百貨店にとって、独自商品の開発は、自ら「
何が売れるのか」を考える創造力が試される。デニムを渡された仕入れ担当者
たちは、戸惑いながらも広島県などの紡績メーカーに足を運び、知恵を絞った
。半年かけてつくりあげた新商品が今春、一斉投入される。
松屋銀座と隣り合わせの銀座三越も、衣類やリビング雑貨などあらゆる分野
で約280種類のデニム商品を投入する。銀座を盛り上げるイベントの一環で
、2店が出来栄えを張り合う。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は、
「百貨店は自ら品ぞろえができる機能を持たないと、生き残れない」と話して
いる。
一方、高島屋はアパレル約100社と協力し、通常は下着などに使われる繊
細な「リバーレース」を使った婦人服などを14日から販売する。兵庫県宝塚
市のメーカー製。1年前から花柄プリントなど、素材や技術にこだわる独自企
画を始め、好評を得ての第3弾だ。
そごう・西武も今年度、山形県のニット会社などと組み、日本の繊維技術に
こだわった商品を開発した。
もともと百貨店は独自商品が多かった。ところがバブル期以降はブランド商
品のほうが売れたため、手間やコストがかかる独自商品は次第に下火となった
。仕入れが業者任せになり、ある百貨店の担当者は「アパレルが売れ筋に集中
する結果、同じような商品が店頭にあふれた」と話す。
だが、消費不況が長引き、横並びの品ぞろえでは売り上げ増が見込めなくな
った。このため、独自企画を増やす動きは今後も強まりそうだ。
伊勢丹新宿本店は、独自商品の比率を、いまの約1割から数年後には2割に
上げたいという。そごう・西武は、2009年に立ち上げた独自ブランドの強
化を狙う。今月からは、百貨店離れが激しい若者に向け、スーツや婦人服の独
自企画を始めた。
朝日新聞 2012年3月14日