三宅孝治の独り言

税理士三宅孝治の日々の想いを綴ります。

春の高校野球の選手宣誓

2012-03-30 16:12:43 | 感動した出来事

春の高校野球の選手宣誓は、感動し、ジ~ンときましたね。私たちも、色々なことに立ち向かい、多くのことを乗り越えてゆきたいと思いました。記事をご紹介いたします。

 

 

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■胸を張り「諦めない」 石巻工・阿部主将が選手宣誓

◎被災地の思い全国に伝える

 被災者だから言える思いがある。伝えたい言葉がある-。第84回選抜高校
野球大会に石巻工(宮城)が21世紀枠で初出場した。甲子園球場で21日行
われた開会式で阿部翔人主将(3年)が選手宣誓。「苦難を乗り越えることが
できれば、その先に大きな幸せが待っていると信じています」。東日本大震災
からの復興を願う熱い思いを込めた。

 帽子を脱ぎ、一礼して壇上に上がった阿部主将は、正面を見据え、堂々と大
役を果たした。

 2分以上をかけた宣誓の中で、一番伝えたかったメッセージは「日本中に届
けます。感動、勇気、そして笑顔を」。そんな思いを持って試合に臨みたいと
いう。

 地元・石巻には震災の爪痕がいまだ残っており「被災地の現状や、多くの人
たちが苦しみながらも頑張っていることを、全国に伝えたかった」とも語る。

 20日のリハーサルを胃腸炎による発熱で休み、不安もあった。「楽しもう
と気持ちを切り替えた。百点満点の出来。満足感ですっきりした」。終了後は
ホッとした表情だった。

 宣誓文はチームメートから盛り込みたい言葉をホワイトボードに書いてもら
い、自分で考えた文章に織り交ぜた。17日に完成し、19日夜にナインを前
に3回練習した。松本嘉次監督(44)は「底力、絆…宮城の思いを全て盛り
込んだ内容になった」と話す。

 スタンドで見守った阿部主将の父克彦さん(46)は「『答えのない悲しみ
を受け入れることは苦しくてつらいことです』というところに、ぐっと来た。
自分の息子じゃないくらい立派に見えた」と涙をぬぐった。

<選手宣誓全文>

 宣誓。東日本大震災から1年。日本は復興の真っ最中です。被災をされた方
々の中には苦しくて、心の整理がつかず、今も当時のことや、亡くなられた方
を忘れられず、悲しみに暮れている方がたくさんいます。人は誰でも、答えの
ない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。

 しかし日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に
必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けます。
感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう。日本の底力、絆を。われわれ高校
球児ができること。それは全力で戦い抜き、最後まで諦めないことです。今、
野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。

◎「感動、地元の誇り」/石巻

 石巻工の地元・石巻市内の仮設住宅では21日、ナインの雄姿に被災者が盛
んに声援を送った。

 約450世帯、約1100人が暮らす石巻市大橋1丁目の仮設大橋団地。住
民30人ほどが集会所のテレビの前で開会式を見守った。選手の行進が画面に
映ると、拍手が送られた。

 阿部翔人主将の選手宣誓には、全員が静かに聞き入った。「答えのない悲し
みを受け入れることは苦しくてつらい」と東日本大震災を表現すると、涙ぐむ
住民もいた。

 大橋団地自治会の山崎信哉会長(75)は「選手宣誓は堂々と落ち着いてい
た。内容も被災者の気持ちを理解しており、感動した。地元の誇りなので、試
合にも勝ってほしい」と話した。

◎東北勢主将共感と決意

 選抜高校野球大会の開会式に臨んだ東北勢の各校主将は、石巻工の阿部翔人
主将の選手宣誓への共感と、自らの決意を口にした。

 花巻東(岩手)の大沢永貴主将は「東北代表として岩手代表として、花巻東
だけでなく東北各チームで何か届けられればとすごく思った」と述べた。震災
で自分の家族は無事だったというが「まだまだ心に傷が残っている人がいる。
地元の皆さんや応援してくれる方を少しでも元気に」と全力プレーを誓った。

 光星学院(青森)の田村龍弘主将は「自分も彼と思いは一緒」と言えば、聖
光学院(福島)の氏家颯俊主将は「被災した方々が直々に思いを込めたメッセ
ージで、すごくいい宣誓。自分たちもできる限りのプレーをやろうとあらため
て思った」と話した。

河北新報 2012年03月22日

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■1年後のセンバツ=冨重圭以子

 センバツが始まる。思い返せば1年前のいまごろ、出場校の選手たちは、落
ち着かない時間を過ごしたことだろう。大会を開催するかどうかの決定を、待
っていた時期だからだ。

 開催が決まった後でさえも「選手は地に足がついていなかった」とこの春も
出場する横浜の渡辺元智監督は振り返る。地震の後、グラウンドがしばらく使
えなかったうえ、選手が動揺していて、コンディション調整がままならなかっ
たそうだ。「でも」と渡辺監督は続けた。「これは言い訳。(同じ神奈川県の
)東海大相模さんは、優勝したんですから」

 「東海大相模は、さすが」という言葉は、前にもきいた。岡山・創志学園高
の長沢宏行監督だ。昨年の開会式で、同校の野山慎介主将の選手宣誓が大きな
話題を呼んだ。長沢監督は「野山ばかり注目を浴びたが、ぼくは、優勝した東
海大相模のキャプテンの言葉が、忘れられない」と話した。

 東海大相模高の佐藤大貢主将は、優勝直後のインタビューで「(大会の)開
催を許してくれた被災地の方々に、感謝の気持ちを持って、恩返しは精いっぱ
いやることだった」と語った。長沢監督は「優勝したんですよ。我を忘れるく
らいの喜びです。そのときに“許してくれた”という言葉は、普通出てこない
でしょう」と感心する。

 大会前には、開催か、中止かで議論が割れたが、大会後は「やってよかった
」という声が多かった。野山主将や佐藤主将ら、選手のまっすぐな言葉が、聞
く者の心に届いたから、と、このコラムでも書いたが、長沢監督の思いも同じ
だった。

 ところで、今月初めのスポーツ面の記事に、野山主将は「1分半以上に及ぶ
宣誓全文を、今でもそらんじている」とあった。実は私、ずうずうしくも野山
主将に頼みこんだことがある。「恥ずかしいから」と小声で「私たちは16年
前、阪神・淡路大震災の年に生まれました」で始まるあの宣誓を、よどみなく
語ってくれた。周囲からの再現要請が多かったから覚えている、というのでは
ない。「よく、心に刻み込まれた、というじゃないですか。そういう感じです
。たぶん一生忘れません」

 復興途上でのセンバツには、東北から宮城・石巻工高など4校が出場する。
野山主将の宣誓にあった「人は仲間に支えられることで、大きな困難を乗り越
え」られることを、選手たちとプレーが証明してくれると信じている。(専門
編集委員)

毎日新聞 2012年3月15日

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■ドキドキ生む21世紀枠=冨重圭以子

 昨季までプロ野球を担当していた記者と、甲子園で会った。「今年から、ア
マチュア野球担当になりました」とあいさつされたので「きっと、ハマります
よ」と言ったら「すでにハマってます」。そうなのだ。プロ野球をしばらく見
た後で高校野球を担当すると、みんな夢中になってしまう。

 もちろん、プロの選手よりも高校球児の方が取材しやすい、という仕事上の
メリットもあるが、それだけではない。地力にどれだけ差があろうと、勝負は
どっちに転ぶかわからない、というドキドキ感が、高校野球にはある。

 ダルビッシュ有投手(レンジャーズ)が、大リーグに行くことにした理由の
一つに、日本の相手チームの打者が、試合前から「打てない」などと勝負をあ
きらめるような発言をしていたことを挙げていた。

 そんなこと、高校野球では、絶対にない。戦う前から白旗を揚げることはも
ちろん、大差がついたからといって降参することも、ない。

 今年の大会でも、21世紀枠で選ばれた高校が、証明してくれた。センバツ
の21世紀枠は、野球が強い高校を選ぶ一般選考枠とは別の基準で選出される
。困難を克服したり、地域などに貢献したり、長い間出場がなかったチームが
候補になるのだから、一般選考枠選出校より弱い、と一般には見られている。

 しかし、洲本(兵庫)は昨年秋の四国大会を制した鳴門(徳島)と互角にわ
たりあった。延長十回、1-2でサヨナラ負けしたが、チャンスもむしろ多い
くらいで、惜しかった。

 石巻工(宮城)は、九州大会優勝の神村学園(鹿児島)に、4点を先行され
ながら、一度は逆転して、スタンドから大喝采を浴びた。女満別(北海道)は
、九州学院(熊本)に0-6で敗れたが、立ち上がり苦しんだエースが立ち直
った後は、スコアほどの差は感じられなかった。

 実際、21世紀枠選出校の初戦の成績は、今年の3敗を含めて10勝19敗
。3校に1校は勝っているわけで、かなり健闘している。事前予想で「勝って
当然」のチームに、プレッシャーがかかることもあるが、劣勢でも何とかくら
いつこうとする意欲が、波乱や善戦を呼んでいるのは間違いない。

 アマ野球担当になった前出の記者は「大会前、何点差がつくか、なんて予想
していたが、実際に見たら全然違う。驚きの連続です」と楽しそうに走り回っ
ている。(専門編集委員)

毎日新聞 2012年3月29日

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■38歳の決断=冨重圭以子

 イチロー選手(マリナーズ)が打撃フォームを大きく変えた。オリックス時
代の「振り子打法」ほどではないものの、イチロー選手といえば、肩幅程度の
狭い足幅(スタンス)で右足を上げ、大きく踏み込むフォームが特徴だった。
それなのに、今季はキャンプイン直後は、右足をほとんど上げない「ノーステ
ップ打法」に近い形で打っていた。最近は少し右足を上げてタイミングをとっ
ているようだが、それでも大きく重心を移動した昨季までとは、かなり違って
いる。

 何を狙ってのことなのか、本人が明確に説明してくれないから、判然としな
い。たぶん昨年までだったら、テレビで評論家が、フォーム改造の理由を、丁
寧に解説してくれたはずだが、今年は、ダルビッシュ有投手(レンジャーズ)
一辺倒で、イチロー選手の情報は、おまけ程度にしか出てこないから、どうも
はっきりしない。

 フォーム改造に踏み切ったきっかけは、想像できる。マリナーズのウェッジ
監督が、イチロー選手を3番で起用する方針であることと、昨季、メジャー1
1年目で初めて打率3割を切り、200安打に届かなかったことだ。

 「3番」を重く見れば、長打狙いにみえる。ボールを手元まで呼び込んでよ
り強くたたくことを意識している、という考え方だ。新フォームではスイング
した後のフォロースルーも大きくとっているというのも、長打狙い説の根拠に
なる。

 「昨季の不振」が直接のきっかけだとしたら、動体視力の低下を補うためか
もしれない。イチロー選手の動体視力のよさは有名。オリックス時代に計測し
たら、選手の中でトップだったという。ボールの軌道をぎりぎりまで見極めら
れるから、ワンバウンドでも安打にした。

 しかし、動体視力は、いくら鍛えても年齢とともに低下する。動いているボ
ールは、自分も動きながら見るよりも、止まって見た方が動きを追える。だか
ら重心移動の少ないフォームに変えたのだ、という説だ。

 どっちが正しいのか、両方を狙ったのか、あるいは全く違う理由からなのか
、現時点ではさっぱりわからない。それにしても、イチロー選手はすごい。3
8歳にして、いままでの成功したフォームをすっぱりと捨ててしまうなんて、
凡人には想像もつかない。

 決断力もすごいが、フォームを変えても、打てる自信があるのだろう。そこ
が、本当にすごい。(専門編集委員)

毎日新聞 2012年3月1日

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