熊は勘定に入れません-あるいは、消えたスタージョンの謎-

現在不定期かつ突発的更新中。基本はSFの読書感想など。

「ある種の爬虫類の頭」

2006年03月07日 | Wolfe
昨日取り上げた映画のHPを見ながら『アイランド博士の死』を
再読していたら、唐突にニコラスの頭の意味するモノがひらめいた。
あの頭の形は、バブコックくんのエボシ貝が「一皮剥けた」ものなのだ。
さすがは『デス博士』の続編、きっちり「その後」の話になっている。
(ちなみに作中でタックマンは「タック」「タッキー」、ニコラスは
「ニック」「ニッキー」と呼ばれている。この類似にも注目。)
「ある種の爬虫類の頭」ですか。確かにそのとおりだけど。
こう考えると、彼が四六時中カッカといきり立っているのも、頭を左右に
ぶんぶん振り回しているのもよくわかる。若いから元気なわけだ。
なんでも性的シンボルに受け取るのはどうかと言われそうだが、ためしに
例のHPでニコラスの頭をごらんいただきたい。
どう見たって○○○にしか見えないから。

実は私がウルフという作家を「フェアだけど狡い」と思うのは、こういう所だ。
これだけ露骨にシンボルを見せ付けておきながら、それを感じさせないよう
巧妙に読者の裏をかくのである。
ともすれば下世話なギャグになりかねない事をぬけぬけと、しかも
読者の目の前でやっておきながら「コイツはナニをしてるんだ?」と
相手を煙に巻いてみせる芸当には、もはや笑いながら拍手するしかない。
やっぱり解説のとおり、ウルフには3本目の足…もとい、3本目の手が
ついているのだろう。
その3本目が見えないところでナニをやっているかは、実に怪しいけど。

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