熊は勘定に入れません-あるいは、消えたスタージョンの謎-

現在不定期かつ突発的更新中。基本はSFの読書感想など。

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小畑健の描く「新しいセヴェリアン」

2008年04月11日 | Wolfe
『新しい太陽の書』新装版のカバー絵を『DEATH NOTE』の小畑健が描くと
知ったのは『SFが読みたい! 2008年版』を流し読みした2月ごろ。
以来、いったいどんなものが出てくるだろうかと気になっていた。
4月に入って『拷問者の影』の発売も近づき、ふとネットで検索してみたら、
柳下毅一郎氏のブログで1ヶ月前に公開されていたイラストを発見。

基本的に悪いものにはならないだろう、と感じていたのだが、実物を見ると
一見してエルリック調な感じは気になるものの、格調高くてなかなか良い。
どことなく昔のファンタジー系イラストを感じさせる描線も、自分好みだ。

イラストの中心を飾るのは、マスク無しのセヴェリアンの上半身。
上半身裸に見えない衣装、よくわからない左手の包帯などに違和感もあるが
煤色のマントに身を包んだ様子はなかなか精悍。
テクノロジーと古代文明の雰囲気が混在するようなバックのオブジェなどは、
聖人の後光にも仏像の光背にも見えるデザインが秀逸だと思う。
小畑氏もきちんと内容を読み込んで描いているのだろう、と思える部分だ。
鎌風のものは、「調停者の鉤爪」と死神の鎌を掛けたデザインだろうか。

以前の表紙を手がけていた天野喜孝の絵柄のせいもあって、自分の中での
セヴェリアン像は、夢枕獏の「キマイラ」シリーズのイメージに近かった。
よく鍛えられているがマッチョではなく、むしろ痩せ気味でどこか鬱屈した
神経質そうな青年の姿。これが自分の考えるセヴェリアンである。
小畑版セヴェリアンは、このイメージを現代的にアップデートした感じで
予想以上にすんなりと受け入れられるものだった。
(でも茶髪だけはどうにも馴染めないが・・・。)

今後はこのセヴェリアンがテルミヌス・エストなどを振るって戦う様子など、
動きのある絵も見てみたいと思う。
いっそ昔のハヤカワ文庫のように、口絵付にしてくれてもいいくらいだ。
『警士の剣』のクライマックスで見せたバルダンダーズとの大立ち回りは
ぜひイラストにして欲しいのだが。

女性陣がどう描かれるかも期待されるところだが、個人的に一番見たいのは
“独裁者”(もちろん「足萎え」でない方)を描いたイラストだ。
自分の中では『DEATH NOTE』の“L”に重なるイメージを持つ“独裁者”が、
その作者からどんな姿で描かれるのか、ぜひ見せて欲しいものである。
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