夫の体調記録~がんばろっ!~

お気楽夫婦だったのに・・・悪性リンパ腫と闘った夫、妻の日記

10月10日(火)、主治医から電話で呼ばれる

2006-10-22 22:15:59 | 夫の体調記録
三連休の最後の月曜日の体育の日は、
ゆっくり穏やかにいられた気がしていた。
でもアカオさんは体内で病魔と闘っていた。
苦しいと、ひとことも言わず。

ここのところ午前中のうちに病院に行っていたけど、
翌火曜日の10日、私は店の後処理のことや荷物運びの用事があって
朝から出かけた。早く病院に行きたかったけど
前夜は穏やかだったし
アカオさんも
「たまには早く帰って寝たら」
なんて言ってくれて。。。

荷物を運び終わって午前11時頃、病院に向かうために
バス停でバス待ちしてる間に携帯を見たら
病院からの着信と留守電。
看護婦さんからで
「今日は急変したので
 先生がお話したいことがあるから今日は早めに病院に来てください」
と。
それを聞いた直後に
携帯電話に主治医から電話があった。
急変したというのは意識障害がはっきり現れ
目の焦点も合わないことと、質問への反応も鈍っているという。
肝臓機能の急な悪化のため
血漿交換をしたいのでその説明と同意とのこと。
でも、血漿交換は急ぎたいので詳細説明の前に先に行うこともあるが
それでいいかという確認だったので
「お願いします!」と頼む。

それから一時間後に病院に着いた。
主治医から早速説明を受ける。


■8日の説明では、
移植後16日目の状況としては、

・白血球は280で上がっている

・10/4、キメリズムではドナーが99.8%置き換えられている。

・腎臓は、尿排出も増えているし、腎機能としては横ばい~改善。

・肝臓は、GOT、GPTの数値は10/4がピークだったけど、
 以後は減少しているので良い兆しであったが、
 不安なのはビリルビンの悪化とのこと。
 ビリルビンの数値が高い。
 これが黄疸の原因で意識障害や痒みが出ているとのこと。

・感染; ウイルスは、サイトメガロの他に、HHV-6も少量見られる。
     細菌は今のところ不明だが、抗生剤を使っている状況。

・腸管; 麻痺しているので、座薬を使って便が出るようになって
     改善されている。

    ステロイドを使って炎症を抑えている。


以上が10/8(移植後16日目)の状況説明だった。




■10月10日(移植後18日目)の状況説明では、

・残念ながらビリルビンの高値持続してしまっていて
 →つまりそれは肝不全。。。
        ↓
    肝性脳症で意識レベルの低下。

・腎機能低下で尿毒症
 →尿の流出は良くなっている。


なんといっても今の敵は「ビリルビン」。

そのためにけいれん、筋硬直がある、
意識昏睡、呼吸停止の危険高いとのこと。
   ↓

なので、「血漿交換」をする。

血液の血漿成分を輸血由来の新鮮凍結血漿と交換することで
毒素を除去。
意識レベルをみながら数回施行することもある、
とのことでした。



またまた頭が真っ白に、大きな何かで叩かれた気分です。
せっかく尿も便も良く出るようになり、
白血球も徐々に上がり気味だし、
一時は危なかった腎機能も改善気味だと言うのに!!
腎機能低下の山を乗り越えたと思ったら
今度は肝機能悪化とは!!


数日前から徐々に夢の世界が多くなってるようだったけど
アカオさんの確かな意思は強くしっかりしてたのに、
この日は目の焦点も合わず、そして手は上に上げけいれんし、
足もぶるぶる震えている。
アカオさんの意識はどこへ行ったの?!
なんて、なんてかわいそうな姿、、、。

そしてとても怖がっている。
手を上にあげ何かに怯えているような
何かが見えているようで恐怖に追われているような
そんな姿だった。

血漿交換の準備に2~3時間かかるその間、
意識混濁で焦点も合わずに、
そして手がけいれんしているアカオさんのそばで私は寄り添って
とにかく励ます!

いつものように声をかけ、体をさすり、
寝ている体に私の上半身を近づけ抱き合う。

いつもどおり声をかける。

「だいじょうぶ?!大丈夫よね?!
 アカオさん、しっかりしてね!
 白血球は今日は720に上がってるんだよ!
 でもね、肝臓を自力で頑張ってもらうように
 体内の毒素を出すために
 血漿交換っていうのをこれからするんだって。
 こないだの人工透析みたいな感じだから
 血圧が低下しないようにしっかりみながら3時間くらいやるそうだよ。
 体力残すために、しっかり意識を持って、体力を温存しておいてね。
 頑張ってね!」

あまりに手を動かしてもがいているアカオさん。
だから体力取っておいてよ、と伝えたら
しっかりそれを聞き分けていて、
これから何をする、ということを理解して、
一生懸命、手を動かさないように気を遣っていた。
でもまたけいれんで動いてしまう。
で、また疲れないようにね、と言うと、じっと我慢する。

血漿交換をしている間、
血圧は変わらずにいるので順調のようだ。

血漿交換が終わって少し落ち着いたのか、
焦点もあってきたし、自分の意識もある。
話をすればyes,noは反応するし、
呼びかければちゃんとこちらを見てくれる。

でも自分からは喋りにくそうだ。


肝不全からの意識混濁、、、
まさか自分の夫が、こんな状態になるなんて!!

でも、アカオさんはそれでも
「治すんだ!絶対生き抜く!」という意力が強い。
だから意識混濁で口もあきっぱなし(筋肉硬直)で
体が思うように動かなくて
両手を胸の上にあげてふるわせているけれど
目の焦点もあわせづらいけれど、
でもそれでも看護婦さんが点滴交換にくると
一生懸命そっちの方向に向こうと頑張って動いて
そしてしっかりみつめている。

胸が痛い、、、こんなに闘っている、
「壮絶な闘い」とよく言うけれど
文字通り、いや、文字以上の本当に壮絶な闘いをしている。

この姿を娘に見せるのは辛いかな、
アカオさんも見せたくないだろうし、娘が見たらショックだろうな、
と思ったけど、
夜に娘は病室に来てびっくりしていたし泣いていた。
でもしっかりアカオさんに声をかけて励ましていた。

アカオさんも娘の呼びかけに反応して
うん、うん、とうなづいていた。

そして帰り際、心配そうな娘に優しいまなざしを送っていた。
私にはアカオさんが言いたいことが解る。
言いたいけれど筋肉硬直でうまくたくさんは喋れない。
だから私が言ってあげた。

「大丈夫だよ、お父さんは大丈夫だから心配するな。
 それより子供と旦那を大切にしなさい。お父さんは大丈夫だから
 早く帰りなさい。
 きっとアカオさんは今そう言ってるんだと思うよ」

と言ったら、アカオさんはうなづいていた。

そして面会時間の終わりごろにはもう静かに寝ていたようなので
私達は帰ってきました。



アカオさんは本当に闘っていた。
恐ろしい病魔と、孤独と不安と。。。





 


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