【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会副会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

火神主宰 俳句大学学長 Haïku Column代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜 季語で一句 45 〜 2023年『くまがわ春秋』8月号(第89号)

2023年08月07日 15時48分00秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

〜 季語で一句 45 〜
 
◆2023年『くまがわ春秋』8月号(第89号)が発行されました。
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

◆お求めは下記までご連絡下さい。
 ・info@hitoyoshi.co.jp 
 ☎ 0966-23-3759

永田満徳:選評・野島正則:季語説明


季語で一句(R5.8月号)
 
泳ぎ(およぎ)                      「夏-生活」
 
中野千秋

 水を愛で水に親しむ平泳ぎ
【永田満徳評】
「平泳ぎ」の両手はハートを逆さまに描くように水をかき、蹴り出した両足を挟むようにしてキックする。「平泳ぎ」はまさに「水を愛で」の泳ぎ方で、「水に親しむ」という措辞は平泳ぎの特徴を捉えている。                                           
【季語の説明】
「泳ぎ」は代表的な夏の遊びで、海、川、プールなどで泳ぐこと。中世の日本では水の中を泳ぐ技術は武術の1つで、日本泳法と呼ばれる。「水術」「水練」「踏水術」「游泳術」「泅水術」などがある。現代では水泳はレクリエーションやスポーツとして行われている。遠泳、クロール、背泳ぎなども「泳ぎ」と同じ季語である。
 
 
団扇(うちわ《うちは》)        「夏-生活」
 
野島正則

秩父路の兜太直筆古団扇  
【永田満徳評】
兜太直筆の「古団扇」とは兜太の俳句が描かれた「俳句うちわ」。骨太で力強い筆致で描かれている。「兜太直筆古団扇」という措辞に、野生の人で、なまなましく生きた兜太その人をうまく切り取っている。       
【季語の説明】
「団扇」は紙を竹の骨に張って、柄を付けたもので、夏に涼を得るためにあおいで風を起こす道具。焚物の火を盛んにしたり、蚊や蝿を追うなど用途はさまざま。古来、「はらう」「かざす」ためのもので、儀式、縁起、軍配、行司、信仰、占いなどに使われた。絵が描かれた絵団扇や柿渋を塗った丈夫な渋団扇がある。
 
 
羽抜鳥(はぬけどり)       「夏-動物」 
 
野島正則

年金の繰り下げ受給羽抜鳥
【永田満徳評】 
「羽抜鳥」はみじめで滑稽なさまに例えられる。年金受給が繰り下げは年金を多く支給されることで、それだけ働かなければならない。庶民の老後へ備えに対する選択を「羽抜鳥」に例えているところがいい。              
【季語の説明】
「羽抜鳥」は鳥類の羽の抜けかわりのこと。鳥の全身の羽毛が冬羽から夏羽へと抜け替わる。羽のまだ整わない鳥をいう。飛翔能力が低下しない程度に羽が抜け、初列の風切が数枚伸びきったところで、次列の風切が外側から内側へ向かって換羽を始める。羽の抜けた鶏は威厳を失った姿を晒し、みすぼらしい。

 


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