みつばちマーサのベラルーシ音楽ブログ

ベラルーシ音楽について紹介します!

ミュージカル「預言者」① まずは紹介

2007年09月12日 | その他
 ミュージカル「預言者」についてカテゴリーを「トーダル」にするかどうか迷ったけれど、ベラルーシ語の音楽ではないので、「その他」のカテゴリーに入れることにしました。
 「預言者(PROROK)」はロシアとベラルーシとポーランドの合作ミュージカル。
 2007年8月30日にプレミアム上演が、モスクワでもなく、ポーランドでもなく、ミンスクで(光栄なこっちゃ。)行われ、見に行ってきました。
 詳しい感想は後で書くけど、いやはや~~~
 すごいものを見てしまいましたね。
 こんな「強烈」なミュージカル、もう一生見ることないんじゃないかと思いましたよ。
 何でもこれから7年かけて世界中を公演し、日本にも来る予定だそうなので、ご紹介します。
 預言者のオフィシャルサイトはこちら。(ただし今のところロシア語のみ。)

http://www.pro-rok.ru/index2.php


 さて、どうして3カ国合作なのかというと・・・
 まず、この作品についてそもそも、誰が思いついたかというと、ロシアの有名な俳優、イリヤ・オレイニコフが2006年のある日、
「夢に見た。」
ということで、音楽を作曲。
 ロシアに住んでいたことがあるという人なら日本人でも、きっと見たことあるでしょう、「ゴラドーク」というお笑い番組。
 あの番組に出ている二人の俳優のうちの、ヒゲのはえているほうです。と説明したら、
「ああ、あの人か。」
とすぐに分かった人もいるのでは? とにかく有名な俳優です。

 で、オレイニコフは
「どうしてもこの作品をミュージカルにして、自分が主演をして世界中で上演したい。」
ということで、最近お金持ち(ただし一部の階層)になってきたロシアでスポンサーを集め、有名なポーランド人ミュージカル監督に演出を依頼し、ロシアとベラルーシとポーランドの3カ国から、出演者を募ることにした。
 出演者の数からしてすごい。
 ボーカリストだけで23人。
 ダンサーは27人。
 体操や曲芸などを担当する者は8人。
 合計58人。裏方は約60人。
 舞台装置の総重量は12トン。520平方メートルのステージ面積を使用し、巨大スクリーンも3面も使う。
 制作費500万ドル・・・。
  
 とにかくお金かけてるなあ、ロシアの経済状態がよい(ただし格差社会でもある。)のだな、と思いましたよ。
 文化、と一言で言ってもその中身はいろいろありまして。
 お金がかからなくても「すばらしく」「多様で」「誇ることができ」「進化し続ける」文化というものがある。(例・日本の折り紙。)
 しかし、悔しいけど、やっぱりお金がないと創造できないものもある。このミュージカルなどがそのいい例で、莫大なお金と時間と労力と神経を消費してやっとできた作品だと言わざるをえない。

 というわけで鳴り物入りで始まった超特大ミュージカル「預言者」。
 それでも、オレイニコフさんには悪いが、これにトーダルが出演しなかったら、マーサは見に行かなかったと思うよ。
 そうです、トーダル君がこの58人の出演者のうちの1人なのです!
 しかも、主役なのです!!!
 ただし、ダブルキャストのうちの1人なのです。
 すごいじゃないか、トーダル!!! あのオレイニコフの代役ですよ~
 やはり君こそスターだ! 世界に輝け!

 しかし、トーダルの話は後回しにする。(^^;)
 トーダル以外にもたくさんベラルーシ人の歌手やダンサーが出演している。国別で分けると、3カ国のうち、ベラルーシ人が一番多い。
 その理由についてオレイニコフは
「ベラルーシには才能のあるアーティストが多い。それなのにギャラはロシアに比べて少なくていい。」
と説明している。
 それって褒められているのか、けなされているのか・・・。

 2007年2月、オレイニコフはベラルーシ人の出演者を求めて、共和国会館(コンサートホール)を借り切って、オーディションを行った。
 そりゃもう、「我こそは。」と思った歌手やダンサーがどっと押し寄せたのでございます。
 ギャラはいいし、歴史に残るであろう作品に出たことになるし、海外公演にも行けるし、もしかするとこれをきっかけに世界的スターになれるかもしれないじゃん。
 ・・・と皆さん思われたようです。
 ベラルーシ映画「スルーツク公妃アナスタシヤ」で主役だったスベトラーナ・ゼレンコフスカヤまで受けに来たんだから、普通のオーディションではない。
 彼女は合格したが、その役は「娼婦」だった。そしてその後どういうわけか、降板している。
 やはり若手歌手のアレクセイ・フレストフもオーディションを受けて合格し、準主役である「老人」の青年時代を演じることになったが、やはりその後どういうわけか、降板している。
(どうしたんだろう、2人とも。)

 そんなに有名でなくても、ベラルーシ人の俳優やダンサーたちがオーディションを受け、合格した。中にはこのミュージカルに出るため所属劇団をやめてしまった人もいる。

 トーダルはこのオーディションには行かなかった。彼は基本的にベラルーシ語歌手で、3カ国合作とはいえ、ロシア語で上演されるミュージカルには関心はあっても、自分が出ようとは全く思っていなかったらしい。
 それがどうして出演することになったのか。しかも大役である。