港のあちこちに赤い網が釣り下がっている。「なにを獲るの」とたずねたら、「伊勢エビだよ。漁が始まったばかりだ」と教えてくれた。
朝6時、沖から漁船が一艘戻ってきた。岸壁では網で魚をすくおうといしている人がいる。そんなんでほんとうにとれるのか、でも専門のタモみたいだ。聞くのはやめておいた。
港町はどこでも猫の額の土地に、家々が寄り添って生きている。屋根だって互いのパズルを合わせるように変形している。広い家なんてめったにない。港周辺の家並みは、何十年も変わってはいないだろう。
東伊豆町の稲取。漁港だけでなく温泉町としても人気がある。やわらかで滑らかな、いい温泉だ。それでも人口減が続いているよう。「永住体験施設」の看板を掲げた古い家があった。