My Life After MIT Sloan

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ウシュマルに圧倒される-メキシコ旅行(3)

2009-03-31 22:06:10 | ●メキシコ・中南米

メキシコの遺跡を回るツアーは画一化されているらしく、ツアー会社ごとに差がない。値段や昼食などのオプションが多少違うだけ。
Uxmalに行くツアーは近くにあるKabah遺跡もカバーするのが普通だ。

こういうツアーは、信頼できるホテルの人にココに行きたいというと、ああそれならいいツアー会社を知ってるよ、とかいって教えてもらえる。
街中で自分で探すより多少高いけど、騙されることも少ないから、実際には安くつくんだそうだ。

ホテルの人は本当に「それならいいツアー会社があるよ」と言って、「MAYAN HERITAGE」という会社のツアーをアレンジしてくれた。
この会社はChichen Itzaのときもお世話になったが、本当によいツアー会社だった。
ベテランのツアーガイドが多く、説明が充実しているし、世間話も楽しいし、スタッフはみんな英語を話せるし、時間にも正確だし、とにかくよかった。

今日のガイドはベンジャミンさん、というマヤ人のおじいさん。
マイクロバスに5組が乗り込み、Uxmalまで約2時間程度の旅。
Uxmalは昨日のエントリの写真にあったような、軽くサバンナ気候のジャングルの中にぽつんとあるので、メリダから日帰りのツアーで行くのが一般的なのだ。

道中は、ベンジャミンさんが流暢な英語とスペイン語の両方でガイドをしてくれる。
Uxmalってマヤ語で「3回」って意味なんだって。
年に3回の収穫を祈って、とか、3回遷都しているとか、とにかく3回がキーワードらしい。

この地域には河がないので、雨が降るかどうかが生きるか死ぬかの鍵。
雨神チャックが崇拝され、必要とあれば人身御供を提供してでも、雨乞いをしていた。
気候が厳しいときに雨を降らせるのは神にとっても身を切る負担なので、人間サイドも身を切ってお願いをする、というGive&Takeな発想らしい。
話が面白くて、あっという間に2時間が過ぎてしまった。

Uxmalの入り口はこんな感じ。
いやあよく晴れて、暑くなりそうだ。

灌木の林の向こうにピラミッドらしきものが見える。
あれがかの有名な「魔法使いのピラミッド」か。

林を抜けると、その全容が露になった。

1.魔法使いのピラミッド

お、大きい。
すごい、遺跡に来たーって感じでわくわくしてくる。

実は遺跡の入り口から見えるこのサイドは、建物の裏側らしい。
この裏がファサードになっているらしい。

「魔法使いのピラミッド」と呼ばれる所以については、地球の歩き方には「一晩のうちに造られた」という伝説から、とある。
ガイドのベンジャミンさんは違う説明をしていた。
曰く、多神教のマヤ文明では、さまざまな神の声を聞き、人々にお告げをもたらすシャーマンが中心的な役割をしていた。
このピラミッドはそのシャーマンが雨神チャックと会話をするための儀式の場所だったそうだ。
最初に調査したスペイン人たちはキリスト教という一神教で、多神教におけるシャーマンが理解できず、それを魔法使い(Adivino)と呼んだために「魔法使いのピラミッド」と呼ばれるようになった、ということである。

なるほど、そのほうが同じ多神教でシャーマンを持つ日本人的にはしっくりくるな。

ちなみに「一晩のうちに造られた」という伝説があるのは本当らしい。

ピラミッドの前で記念写真。

ベンジャミンさんのガイドについて、遺跡の表側に行ってみる。
遺跡の巨大な階段の前は広場みたいになっていて、そこで儀式が行われたと考えてられている。
広場の周りはいろんな建物が立っていて、プウク様式というマヤ独特の建築様式が随所に見られる。

ベンジャミンさんは本当に詳しくて、ここでも30分近くかけて、プウク様式の特徴的な装飾について詳しく説明してくれた。
台形のアーチや、それを形作る石一つ一つが靴の形をしていて、重力を分散させる役割を持っていたこと。
基盤を太鼓型の石で飾るのが特徴的なこと。
などなど。
ここで、いろいろ話を聞いていたおかげで、そのあとパレンケなど他のマヤ遺跡にガイドなしで訪れたときも役に立った。

建物の階段には登れないのだが、いま修復工事中なので、工事のおじさんたちがたくさん階段にいる。
この写真の右下のほうの入り口らしきものの下に、太鼓型の丸い円柱がたくさん基盤を支えているが、これがベンジャミンさんが言ってたプウク様式のひとつの特徴らしい。

柱の配置のされ方がギリシャ風のところもあり、これも特徴のひとつだそうだ。

2.尼僧院(宮殿)

ここでしばらく過ごした後、一向は宮殿(尼僧院)へ。
外壁のレリーフの装飾に圧倒される。

随所に見られる格子状の装飾も、マヤのプウク様式の特徴的な装飾のひとつらしい。

各入り口の上に何かが3段重なったように見えるのが、雨神チャックの像。
最初はよくわからなかったが、説明を聞いて、何がなんだかわかった。
下記図のように解釈するのが正しいらしい。

これが見えるようになると、各所にチャックがいっぱいいて、若干気持ち悪いものを感じる(笑)。 

こちらのレリーフは、渦巻きになっているのが、人間が死んで下界で過ごした後にまた人間として生まれ変わってくる、というマヤ独特の考え方をあらわしているもの。
人間が人間以外のものに生まれ変わることもある仏教の「輪廻転生」とは違い、マヤでは人間は人間にしかならないらしい。

格子の上にいる蛇はケツァルカカーとかいう豊穣(Fertile)の神様。
このあたりはトルテカ文明というメキシコシティ側にあった技術力の高い文化の影響を受けているそうだ。

3.球戯場

さらに一行は球戯場へ。
球戯場では、かの有名な生贄を決めるためのゲームが行われていた。

ゲームはゴムで出来たボーリング玉のようなものを、肩やひざにつけたプロテクターで受けて、下の丸い輪に入れるというもの。
勝ったチームのキャプテンが生贄として殺され、首や心臓などが神に授けられるらしい。

すさまじいな。

こちらのレリーフはレプリカなので、「歩き方」に書いてあるように破損を免れて残っているものではないらしい。

4.総督の宮殿/Governor's palace

球戯場を過ぎて、10段位の階段を上っていくと、また別の大きな箱型の建物が立っていた。
建物の大きさに圧巻される。
建付面積的には魔法使いのピラミッドよりずっと大きい。

この建物は、貴族の住居だったとか行政府だったとか諸説あるが、部屋が画一的で、より機能的なことから行政府だったと考えられるのではないか、とベンジャミンさんは説明していた。

実際、王の宮殿だったと考えられていた尼僧院よりも高い位置にあるので、貴族が住んでいたと考えるのは確かにおかしな気がする。

宮殿の上部を飾るレリーフがこれまた美しい。
チャックはココにはあまりいなくて、尼僧院と同じような、ケツァル(蛇)や渦巻きがたくさんみられる。

5. 亀の家

その行政府らしき建物ののしたにぽつんと立っているのが「亀の家」と名づけられたたてもの。
建物の上部に亀の彫刻がたくさんあることから、そう呼ばれるらしい。

空が広い。
亀さんはちっちゃくて丸い石のようだった。

ガイドツアーはここまでで、20分の自由時間をもらったわれわれは早速足早に別の建物に行ってみることにした。

6. グランドピラミッド

総督の宮殿の裏側に回ると巨大なピラミッドが見える。
見ると人がたくさん上っているので、私も行ってみることにした。

近づくとすごく巨大。Uxmalのなかではもっとも高い建造物だそうだ。

上りきると、とても景色がよい。
Uxmalの遺跡全体を一望に出来、遠くにジャングルの地平線が見える。

ガイドがなかったんで、この建物が何に使われていたか、とかはよくわからないのだけど、景色は楽しんだ。

7. ウシュマルの動植物

総督の宮殿では大きなイグアナを発見。
みんなで写真を取りまくった。

それから南国らしい赤い花も咲いている。

3時間も遺跡見学できて、とても満足。
日差しが強く、暑くて汗びっしょりになってしまった。
でも気持ちのよい疲れ。
春学期が始まって1ヵ月半ずっと忙しい日々を送っていて、ろくに運動なんか出来なかったので、こうやって汗をかくのも久しぶりだ。

一行はバスに乗り込み、次の見学場所のカバー遺跡へ向かうことになった。

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