i n t h e m i d d l e  o f   l i f e

The answer is blowing in the wind.

最近読んだ本:2020年上半期

2020年07月14日 | Reading


テレワークも4ヶ月目に入りました。先日1日だけ、許可が出たので私物を取りに出社しましたが、もはや会社のPCにどうやってログインしていたか忘れている始末。久しぶりの会社はなつかしかったけど、通勤の道のりが遠すぎて、数か月前まで毎日通っていたことが信じられなかった…。
家には大型ディスプレイを導入し、徐々にテレワーク環境も整ってきています。

さて、今年になってから読んだ本。外出しないので去年の倍以上のペースで読んでいます(といってもこんなものですが…)。
画家の牧野伊三夫さんのエッセイ2冊は、独特のリズムのある文章が心地よく、楽しく読みました。旅先のホテルで、ありあわせの道具と材料で料理する話は、何度読んでもいいなぁと思います。
神田茜「母のあしおと」は、なんとなく書店で手に取った1冊ですが、思った以上に面白かった。神田茜さんは講談師でもあるんですって。この作家は今後も要チェック。
原田マハ「異邦人」は、京都の画壇を舞台にした華麗なお話。ドラマ化したらキャストは…って想像するのが楽しかった。
浅田次郎「流人道中記」は、新聞に連載されていた時、読み逃していたので、楽しみに読んだのですが、主役の青山玄蕃が立派すぎて…。私の好みじゃなかった(笑)。
近藤史恵「ときどき旅に出るカフェ」は、読みやすく、主人公にも感情移入できて、楽しかったです。続編が読みたい!


上半期の収穫は、なんといってもスティーヴン・キング。
老刑事ビル・ホッジズのシリーズで、キングはこれでまた新境地を開拓したかと。読んでいる間、つくづくと幸せで、読書の醍醐味を味わいました。「シャイニング」は永遠の愛読書、「ザ・スタンド」ドリームキャッチャー」もよかったけど、このシリーズも相当好きです。シリーズ最終作「任務の終わり」も翻訳が出ているけど、もったいなくて読めない。文庫になるまで待ちます…。


ところで私は、お店の紙袋やマスキングテープでブックカバーを作るのが好きなんです。会社でも、いろんな人から紙袋をもらっていました(笑)。ここだけの話、会社のごみステーションからまだキレイな紙袋を拾ったことも、何度か…。一度は、拾った直後に捨てた本人と出くわしてしまい、爆笑&気まずかった。
最近、通勤しないので、カバーは不要ですが、「この本にはこれかなー」などと選ぶのも楽しいので、相変わらずせっせと作っています。


今年読んだ本

2019年12月31日 | Reading


今年もあっという間に1年経ってしまいました。令和元年の自分に起こったビッグニュースといえば、母と自分のお墓を決めたことでしょうか。母が亡くなって5年が経とうとしていますが、我が家には先祖代々の墓というものはなく、お墓探しが悩みの種でした。秋になって、ようやくいいところが見つかり、納骨のめどが立って一安心。自分も同じお墓に入れてもらう予定です。

というわけで今年読んだ本。
今年は老眼に拍車がかかり、夜になると疲れ目も加わって、とても本など読んでいられない状態でしたが、どうにか12冊…。
最近の好きな作家というと、町田康、絲山秋子、東山彰良。町田康「リフォームの爆発」は、自宅の大幅なリフォームを行った時の記録ですが、爆笑しながら読みました。「しらふで生きる」は、私は月に1,2回しか飲酒をしないので、あまり共感できず(苦笑)。でもこれを「断酒」ではなく、「断スイーツ」として考えると…恐ろしい!絶対できない。

絲山秋子は、私の中で「大人のための童話作家」なんですが、「夢も見ずに眠った」も大人の童話という感じの佳品でした。主人公がいろんな土地におもむいて、そこで感じたことが人生と絡めてつづられますが、私も一緒に旅をし、その土地の空気を吸い、開放感や寂寥感を感じました。登場人物に対する著者の目線が優しく、読んでいて楽しかった。

森見登美彦「夜行」。こちらも旅をテーマとした連作短編集ですが、どれも不思議で底知れぬ恐ろしさがあるお話。旅先では、時々異次元に迷い込んだような「魔」の瞬間があり、ほんとにこういう不思議なことが起こるかもしれないと思わせる1冊。

辻山良雄「本屋、はじめました」は、荻窪の新刊書店「Title」の店主さんが、お店の開業についてつづった本。これはとても面白かった。単なる書店の開業ルポではなく、ちょっとした冒険譚みたいで、読んでいてワクワクしました。
「Title」にはカフェが併設されているんですが、そこのフレンチトーストは絶品です。

最近ようやく老眼鏡を忘れずに持ち歩けるようになり、読書がはかどり始めました。令和2年は、この倍は読みたいな。


最近の読書

2019年02月01日 | Reading


2018年に読んだ本です。
2018年は西條奈加をよく読みました。なんといっても「まるまるの毬」が面白かった。江戸時代のお菓子屋さんの話で、出てくるお菓子がどれもおいしそうでした。
最近時代小説が面白いと思うようになり、いよいよ中高年ぶりが板についてきたかなと。

ドラマや映画になった小説も何冊か読みましたが、映像の方は見てないものが多いです。映像化された小説は、書店で平積みになっているので、手に取る確率が高いんですね、きっと。
門井慶喜「家康、江戸を建てる」は、NHKでお正月にドラマを放送していたのを見ました。ドラマはドラマで面白かったけど、小説はもっといい。これを読んで、家康って宇宙人かもしれないと思いました。
「dele」はドラマを先に見て原作を読みました。これはドラマの方が良かった。山田孝之が好きなんです(笑)。

特筆すべきは3冊。
絲山秋子「離陸」。不思議な味わいの小説。大人の童話…みたいな感じもあり、淡々とした文体に引き込まれてどんどん読み進めました。主人公の一人称で物語が進みますが、何かをあきらめたようなその語り口がなんともいえず、染みる。
佐藤正午「鳩の撃退法」。かなり話題になった作品です。これは面白かった!主人公がダメ男なのにカッコよすぎ。いい男に酔えます。

東山彰良「僕が殺した人と僕を殺した人」。これが2018年のベスト1。面白い本を読むと、しばらくの間魂がそっちへ引っ張られてしまいますが、いまだに私はこの小説に引っ張られているかも。1970年代の台湾の、熱気にみちた雑踏の中で息づく少年たちが、現代の冷たく色を失った世界で思いもよらない変貌をとげる、スリリングでドラマティックで、胸が締め付けられるような痛みに満ちた小説。
常々私は「優れた小説は現実を超える」と思っていますが、この人の小説はまさにそれ!かなり好みです。また1人好きな作家に巡り合えてよかった!
大人になり、中年になり、昔とはいろいろ変わったけど、読書はやっぱり私の基本、根幹をなすもの。2019年はどんな本に巡り合えるか、楽しみです。


最近の読書

2017年10月04日 | Reading


最近、老眼がすすんでめっきり読書量が減りましたが、通勤時間に細々と読んでます。ここ数か月で読んだ本。

森見登美彦「聖なる怠け者の冒険」。京都を舞台に繰り広げられる、静かなドタバタ劇。独特の世界観で、面白いのか面白くないのか、よくわからない(笑)。読んでいてつくづく思ったのは、「これはスタジオジブリのアニメだ!」。もう読んでいて頭の中では完全にアニメに変換されてました。
桐野夏生「だから荒野」。平凡な主婦が突然、日常生活を捨てて暴走。読んでいて小気味よかったけど、ラストが平和に落ち着いてしまったのがちょっと不満。
町田康「パンク侍、斬られて候」。町田康は天才なので、読んでいて爆笑と、「ヤバイヤバイ」というひりひりするような感覚が怒涛のように押し寄せてきて、読み終わった後は全力疾走しきった後のような、疲労と脱力感に襲われました。とにかくすごい小説。「さるまわ奉行」この言葉を思い出すと、今でも思い出し笑いが…。

三浦しをんの「神去なあなあ日常」と「神去なあなあ夜話」。バスツアーの帰路に見たDVDがきっかけで、原作を読み直してみたくなり再読。未読だった「夜話」も買ってきて読みました。「日常」の方は、神去村入門編という感じで、「夜話」を読んで初めて、これは面白いっ!と実感。なんというか、永遠に自分も神去村の一員でいたいような気持ち。乞う、さらなる続編!
宮脇俊三「時刻表2万キロ」。若い頃は退屈に思えて、ちゃんと読んでいなかったけど、中年になって読むと、しみじみと良い。淡々として端正な文章が心地よく、著者の人柄の良さと、全編に漂う郷愁にやられました。

東山彰良「流」。直木賞受賞作で、審査員に激賞された作品。これは素晴らしかった!主人公の青春小説でもあり、祖父殺害の謎を解くミステリー小説でもある。1970年代台湾を舞台にした話なので、最初は入りにくかったけど、読んでいるうちに登場人物の個性がだんだんと際立ってきて、主人公が町の不良と対決するあたりではもう、前のめり!そしていつの間にか主人公に恋してる!
ラストに向かい、主人公が青春を脱して、あきらめと哀歓、寂寥、ささやかな幸せと希望をもって、歳月を経て大人になっていく、その描写が秀逸すぎ…。東山彰良、この人は何者!?とつくづく感じいりました。この間テレビのバラエティ番組に出ていて、つまらなすぎて白目むくコメントを述べていたけど、あれば台本が悪いんだよね?


最近の読書

2016年09月17日 | Reading


ここ半年くらいで読んだ本たちです。最近老眼がますます進み、コンタクトを作り直したりして調整してはいますが、それでもやっぱり細かい字は読みにくくなってきました。夜も布団に入るとすぐ寝てしまうので、あまり読書は進みません…。本を読むのにも体力がいります。

この中で一番印象に残ったのは、吉田修一「怒り」上下。「悪人」に負けずとも劣らぬ力作で、4か所で繰り広げられるそれぞれ異なる職業・年代の登場人物の人生が、濃密に描き出されて、圧巻。もうじき映画が公開されますが、キャストは割と私のイメージ通りで、唯一「ん?」と違和感を覚えたのは、やっぱり宮崎あおいでしょうかね。

立川談春「赤めだか」。落語をモティーフにした青春物語ともいえるストーリーで、ユーモアあふれる語り口に引き込まれます。著者は最近ドラマにも出演して注目されていますが、何かの番組で若いころを見たら、今みたいに貫禄がつく前で、すごくカッコよかった(笑)。

井上荒野「キャベツ炒めに捧ぐ」は、お惣菜屋さんを営む4人の中年女性を主人公とした、連作短編集。これとってもよかった。なんというか、小さな日常の中にも、波乱万丈があり、ときめきがあり、ドラマがあるんだなぁと。

松井今朝子「吉原手引草」は、有吉佐和子の「悪女について」を思い出させる構成。これを読むと吉原通になれます。東海道で、大井川の手前の島田宿を通った時、川越人足の共同体にいたく感心した記憶があるんですが、吉原もそれと似ていて、遊女を中心とした共同体ができていたんですね。その仕組みが面白かった。それにしても遊女の仕事は命がけ。長生きできなかったのもうなずける…。


昨日読み終わったのがこれ。筒井康隆「偽文士日碌」。ネット上で連載中の日記の、2008年~2013年までをまとめたもの。
著者は1934年生まれですが、神戸と東京の自宅を行き来し、文筆活動のほかに、テレビの収録、文学賞の選考会、旅行、パーティと、ありえないくらい精力的。美食とぜいたくの優雅な日々に思えるけど、「はじめに」に書かれているとおり、これはみんな「文士のパロディ」(笑)。好奇心にあふれ、おちゃめで、天才で、著者は私にとって憧れの存在。
そういえば私のファースト筒井は、小学校6年の時に読んだ「おれの血は他人の血」。人の顔を踏み潰した靴の裏に、何かが当たると思ったら、歯が刺さっていた。というくだりに、ぞわぞわした記憶が…。


今年読んだ本

2015年12月31日 | Reading


今年も残すところあと1時間ちょっと。最後に今年読んだ本の話題です。
1人と1匹暮らしになって、やることが増えたので、読書をする時間がめっきり減りました。若いころは、2時でも3時でも平気で起きていられたのに、今は12時を過ぎると100%寝落ち。しかも老眼が進んできて、通勤電車の中で文庫が読めない(笑)。
今でもほぼ毎日本屋をのぞくので(5分くらいですが)、読書に対する興味は失われていません。いやなことがあっても、本屋に行くと忘れちゃう。老眼鏡も買ったので、来年はもう少し読めるといいんですが…。
今年読んだ中で、一番印象に残ったのはピエール・ルメートルの「その女アレックス」。かなり売れたらしいですが、噂にたがわず面白かったです!
久しぶりにスティーヴン・キングの新作が読めたのもうれしかった。写真には写っていないけど、三浦しをんの「舟を編む」も読みました。私にはちょっと、物足りなかったですが。
来年はどんな本に巡り合えるのか、楽しみです!


最近の読書

2012年08月04日 | Reading


最近読んだ本のお話です。

松浦寿輝「川の光」。主人公は、ネズミの家族/父・兄・弟。川べりの原っぱで、穏やかな生活をしていた3匹が、川の暗渠化工事で故郷を追われ、新たな安住の地をもとめて、命がけの冒険の旅に出る物語です。
知的な図書館ネズミのグレン、気高い猫のブルー、おちゃめなレトリバーのタミーなど、脇役も個性豊か。楽しく読めました!
番外編が単行本で発売中。続編は読売新聞で連載中です。

宮田珠己の本が2冊、「日本全国津々うりゃうりゃ」と、「だいたい四国八十八ヶ所」。どちらも旅のエッセイですが、「四国」の方がダントツ面白かった。
歩き遍路の旅に出た著者、足のマメと闘いながら、1日20km前後を歩きます。この人の文章の魅力って、「飾らなさ」にあると思う。自分をかっこよくみせようとか、知的にみせようとかいう見栄がいっさいない。もう~面白くておかしくて、電車の中で読みながらニヤニヤしちゃいました。

小野不由美「魔性の子」。有名な「十二国記」のエピソードゼロ、プロローグにあたるお話です。
身の回りで事故や不審死があいつぐ、謎の高校生・高里と、彼の理解者となる教育実習生の広瀬を中心に物語が進みますが、いかんせん、「十二国記」のほんの入口にたったばかりのお話なので、全体像がなかなか見えてこず、もどかしい感じ。
これがどのように、「十二国記」につながっていくのか、これから順を追って新潮文庫から刊行されていくようなので、全巻読むしかない!?読めるかなぁ…。

東野圭吾「プラチナデータ」。二宮和也/豊川悦司で映画化されるそうなので、興味本位で読みました(笑)。
国民のDNA情報がデータベース化され、事件の捜査に活用されるようになった、近未来の日本が舞台。とにかく荒唐無稽で、ありえないようなお話なんだけど、先が気になってイッキ読み。東野圭吾ってすごいよなぁ。きっと、本を読む習慣がない人でも、この人の小説は楽しめると思います。疲れ気味の時、気分転換には読むにはピッタリ!

最近、とにかくベッドに入ると眠くて眠くて、本を読もうと思ってもいつの間にか寝ちゃってることが多いんです。旅先でもほとんど本、読まないし…。なかなか読書が進みません。
本屋には相変わらず、ほぼ毎日行くんですけどね。


最近読んだ本

2012年05月29日 | Reading


久しぶりに、最近読んだ本です。
佐野眞一「あんぽん 孫正義伝」。今をときめく、孫正義の半生記。書き手が信頼できそうだったので読みました。
鳥栖ので、密造酒と豚の糞にまみれ、「在日」への差別はもちろん、親戚が金をめぐって文字通り骨肉の争いを繰り広げる、すさまじい環境の中に育った孫。
著者はしきりと、孫を評して「うさんくさい」を連発していましたが、私はそうは思わない。でもなんかつかみどころのない人だなぁというのが率直な感想。
孫正義本人よりも、お父さんの方が、ひとクセもふたクセもある、面白い人なのかも?

有川浩「三匹のおっさん」。
有川浩の他の作品を読んだことがないけれど、この人は宮部みゆきと比肩する、国民的作家になりそうな気がします(えっ、もうなってる?)。万人に受け入れられる作家ですね。
子供からお年寄りまで、安心して読める、悪意も毒もない小説。面白かったですよ。

北林一光「ファントム・ピークス」。
信州の山中に出没する、ヒグマと人間との戦いを描いたお話。熊と対決するお話だと、「邂逅の森」がなんといってもすさまじい迫力だったので、これは少し物足りない感がありました。著者はすでに故人だそうですが、いずれもっとスケールの大きいお話を書いた気がして、早逝が惜しまれます。

東野圭吾「聖女の救済」。
ガリレオシリーズの、何作目だろう?5作目ですね。安定した読みやすさとおもしろさ。ヒロインは、壇れいのイメージです!

高野和明「13階段」。
江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作。二重の謎解きを秘めた上質のミステリですが、それだけにとどまらず、日本の刑罰制度への警鐘や、死刑執行の実態など、読みでのある内容で、一気読み!罪を犯した人間は、悔い改めるのか?という大きな命題も盛り込まれていて、考えさせられます。
この著者は「ジェノサイド」で今脚光を浴びていますが、私もさっそく買ってきました。読むのが楽しみ♪

益田ミリ「心がほどける小さな旅」。
著者は、数年前に全都道府県に1人旅するという、うらやましすぎる本を書いた人ですが、最近は旅好きになったんでしょうか?
あわてず騒がず、静かな?心で旅をする著者のスタンスに好感がもてます。これを読んで、山形に行きたくなりました!


<おまけのひなぞう>
長いねぇ…。


最近の読書

2012年02月25日 | Reading


最近読んだ本シリーズです。
三浦しをん「仏果を得ず」。文楽の世界を舞台に描いた、著者お得意の(?)男子青春もの。しかし、「木暮荘」や「まほろ駅前」に比べると、私はそれほど引き込まれなかった…。主人公の恋愛話は違和感あり。文楽は一度観てみたい!と思いました。

トム・ロブ・スミス「グラーグ57」上下。超面白かった「チャイルド44」の続編ですが、純粋なミステリーだった前作に比べ、だんだん話が政治的な方向へ…。早い話が、難しくなったわけです。私には少しとっつきにくかった。
でも、主人公が、囚人護送船に乗り込むくだりは、迫力満点!ハリウッド映画を観るような、いやそれ以上の興奮度でした。

福田和也「昭和天皇」第1部、第2部。これは面白かったですよ~!文字通り昭和天皇の生涯を描いたドキュメンタリーですが、出てくる人物がもれなく歴史上の重要人物ばかり。これで本1冊書けるんじゃ?というようなエピソードが、ほんの1~2行で書かれていたりして、ドラマティック&スリリング!特に岩波書店の創業者、岩波茂雄のエピソードが印象的。
これを読んで、明治天皇がどれだけ偉大な君主だったかがわかりました。日本の近代史も再確認でき、名前は知っているけど、何した人かよく知らなかったような人物(大隈重信とか)も、「こういう人だったんだ」と今更ながら認識…。
第3部も文庫で出ているので、引き続き読みます!

田中美穂「わたしの小さな古本屋」。私も訪れたことのある、倉敷の名物古書店「蟲文庫」の店主さんのエッセイ。体調を崩して会社を辞めた著者が、「私はお勤めには向かない」と、100万円の資金で古書店を開店。のんびりした語り口は、お人柄を感じさせます。
私も就職して5年目くらいまでは、毎日「お勤めには向かない」と思っていたものですが…いつのまにか慣れました(苦笑)。


<おまけのbanban>
私のスマホは、待ち受けもストラップもケースも、「suicaペンギン」で統一。その甲斐あってか?ネットで応募していたプレゼントで、卓上カレンダーが当たりました。小さなものですが…なんかウレシイ!


最近の読書

2012年01月11日 | Reading


秋は、ひなぞうの早朝お散歩に加え、仕事が忙しかったこともあって、ほとんど本を読んでいなかったんです。読もうとすると寝ちゃって…。
12月ごろから、ぼちぼちまた読書を再開してます。

トム・ロブ・スミス「チャイルド44」上下。秋の「一箱古本市」で、「面白いですよ」と勧められ買った本です。
舞台はスターリン政権下のソヴィエト、主人公はKGBの捜査員。今までに読んだことのないジャンルだったけど、これ、めちゃくちゃ面白かったです!
もう読んだのがだいぶ前なので、細かいところを忘れつつあるんですが、スターリンの恐怖政治の実態(?)を知り、当時のソ連ってこんなだったんだ…と戦慄しました。とにかく疾走感のある物語で、展開が早い。主人公が最初から正義の味方じゃないところも面白く、全てが「新しい」感じのするミステリです。
続編も今読んでいるけど、私は1作目の方が面白かったなぁ。

東野圭吾の、「ガリレオ」シリーズ4連作。「探偵ガリレオ」「予知夢」「ガリレオの苦悩」は、連作短編集で、軽く読めちゃう感じ。
「容疑者xの献身」は、直木賞を獲った長編。これも面白かったです。ミステリは、単に謎解きやドンデン返しだけじゃなく、人間がきちんと描かれていないと面白くないんだけど、この作品はその点、合格!
犯人である天才数学者が巧妙にしかけたトリックを解いていく過程も面白いし、彼がなぜ突飛とも思える行動に出たのか、その謎も、「こういうことってあるよね」と納得です。人間って時として説明できない行動に出ることがあるんですよね…。
「ガリレオ」は、テレビでは福山雅治が演じたんでしたっけ?観たことないんですが。

小川洋子「ミーナの行進」。
1970年代の神戸。ミーナは、大きな洋館に住み、コビトカバに乗って小学校に行く、風変わりな女の子。その家に預けられた少女が主人公のこのお話は、少女時代の一時期のはかなさを、あますところなく描いた傑作!
世界がまだ自分にとって未知なものだった頃、キラキラした時間はいつまでも続いて、そして手を伸ばせばすぐにつかめるところにあったはずなのに、気づくと通り過ぎてしまっていて、二度と戻れないところにいるんですよね。
自分にもこういう時代があった…と、誰でもたぶん共感できるはず。せつない物語です。


<おまけのひなぞう>
アムロっぽい顔です。「ぼくが…一番…ガンダムを…うまく…扱えるんだ!!」


最近の読書

2011年10月02日 | Reading


最近読んだ本です。

山田詠美「アンコ椿は熱血ポンちゃん」。思えば20代の頃、山田詠美は私の先生だったなぁ。この「熱ポン」シリーズも、以前は出ると即買って読んでいましたが、最近はごぶさたで、これは久しぶりに読みました。
詠美先生は、長年連れ添った?米国人のパートナーと籍を抜き、宇都宮のご実家でまったりすることが多くなったようで…時は流れたなぁ。でも、やっぱり変わらず、カッコよくて物のわかったアネゴ。オリンピックとワールドカップにまったく興味がないとか、私と一緒で超ウレシイ!詠美先生も私と同じ、水瓶座のO型ですからね。関係ないけど。

浅田次郎「蒼穹の昴」全4巻。初版が出たとき、すごく話題になった作品ですが、今まで読みそびれていまして…北京に行くことが決まって、読んでおこうと思い、手に取りました。
冒頭、極貧の子「春児」が占い師のおつげを聞く場面には、ぐいぐい引き込まれます。が、話が政治的な方へ行くと精彩を欠き、面白みが薄れた気が…。
稀代の悪女と言われた西太后は、親しみの持てるパワフルおばさんとして描かれ、新解釈なんでしょうね。これを読んでいたおかげで、紫禁城や頤和園がいきいきと身近に感じられました。
なんだかんだ言って、読みやすく面白かったので、続編も買ってあります。

同じく、浅田次郎「つばさよつばさ」、「アイム・ファイン!」。2冊とも、JALの機内誌に連載されていた、旅にまつわるエッセイ。
浅田次郎は、デビュー作から「鉄道員(ぽっぽや)」あたりまではずっと読んでいましたが、国民的作家になってしまったので、なんとなく最近は遠ざかっていました。
この方はホント、サービス精神が旺盛。読者を楽しませるという点においてまさしくプロ!北京のホテルで、クスリと笑いながらたのしく読ませていただきました。
特に後から出版された「アイム・ファイン!」の方、肩の力が抜けていて、爆笑ものでした。

小川洋子「博士の本棚」。こちらは本にまつわるエッセイ集。小川洋子は、その作品のどれもに「死」が色濃くにじむ作家ですが、エッセイを読むと、健やかで強靭な精神があってはじめて、「死」が描けるんだなと納得。
愛犬のことを書いた一編は、思わずわが身に置き換え、しみじみと感じ入りました。


夏の読書

2011年08月23日 | Reading


久しぶりに、読んだ本のお話。

永江朗「そうだ、京都に住もう」。タイトルだけで買ってしまいました。
私が「京都に住めたら、こういう生活がしたい」と思い描いている夢が、まさにこの本にある!出てくるお店も、私もよく行く(好きな)お店ばかりで、日常的に行ける著者がうらやましー!!
家探しからリフォームまでは、予算もあるしそうそう参考にはできないけど、京都ではマンションより一戸建てが買いやすいという話、心にメモりました・・・。

宮部みゆき「龍は眠る」。新潮文庫の100冊フェアで、リサ・ラーソンのキーホルダーが欲しくて買いました。
平成7年が文庫の初版なので、かなり前に書かれたものです。宮部みゆきにしては珍しく、恋愛(不倫)がからむお話。しかし、どこかぎこちないというか、宮部みゆきらしくないかなぁと思ってしまいました。
冒頭、台風の中で主人公がサイキックの少年と出会うくだりは、映像的で、波乱にみちた展開を予想させ、非常にうまい!不倫話がなければ、もっと面白かったかも。

小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」。出版された時、とても話題になった作品。ずっと読みたいと思っていたら、最近文庫化されました。
チェスの天才的な才能をもつ少年が主人公。
こちらも、冒頭の、少年が祖母に手を引かれて行ったデパートの屋上で象を見たというエピソードが印象的。著者の世界が凝縮された物語で、ストーリーを楽しむというより、独特の雰囲気にひたりたい作品です。チェスがわからなくても楽しめることは、言わずもがな。
しかし小川洋子はクセになります。1冊読むと立て続けに読みたくなる!

エッセイ2冊、小林信彦「映画×東京 とっておき雑学ノート」と、椎名誠「玉ねぎフライパン作戦」。どちらも私にはおなじみの著者なので、安心して読めました。
「玉ねぎ・・・」は、夕刊フジに連載されていたという短めのエッセイですが、まさにこういうエッセイで、椎名誠は本領発揮するなぁと思いました。面白いんですよ~。
小林信彦も、久しぶりに読むと文章のリズムが心地いい。私が言うことでもないけど、うまいんですよね。

このほかに、今大河ものの長いお話を2つ読んでいます。早く読み終えないと次にいけない…と思いつつ、他の本にチョコチョコ手を出してしまうんだなぁ。


最近の読書

2011年06月02日 | Reading


久しぶりに、最近読んだ本です。
町田康「猫とあほんだら」。相変わらずのひょうひょうとした文章と、ただ愛らしいだけではない、なにかを訴えてくる猫たちの写真。爆笑、のちホロリ。猫を擬人化して描くところがなんともいえずおかしい!
それにしても、現在町田家には、自宅と仕事場合わせて10匹も猫がいるそうで、その上スタンダード・プードルも2匹。一体どうやってこれらの面倒を見ているんだろうと思うと、犬1匹で四苦八苦の私からすると、もう著者が神のように思えてくるのでした…。

角田光代「よなかの散歩」。雑誌オレンジページに連載されていたエッセイをまとめたもの。身近な話題が多く、気軽に読めて、共感することしきり!
著者は30歳前後に、一大決心をしてそれまでの偏食を直したそうで、40を過ぎても一向に偏食が改まらない私からすると、それはもう神のように思えてきます…。

万城目学「偉大なる、しゅららぼん」。デビュー以来、京都、奈良、大阪と、関西を舞台にしたエンタメを書いてきた著者の、最新作は滋賀県が舞台。
少し冗長に感じた「プリンセス・トヨトミ」に比べて、今作はスッキリまとまり、手堅く安心して読めましたが、もうそろそろ作風に変化があってもいいかなとも。好きな作家なので、もっと大化けしてほしいですね。次作が待たれます!

太田和彦「ひとり飲む、京都」は文字通り、著者が夏と冬にそれぞれ1週間京都に滞在し、居酒屋をメインに飲み、かつ食べた記録。太田和彦は一連の居酒屋エッセイでおなじみですが、今回もめくるめく「太田ワールド」が展開します。
あくせく観光地を回るのでなく、行きつけの名店に行ってもあわてずはしゃがず、のんびりと、自分のペースで酒と料理を味わう。なんだか大人すぎて、カッコよすぎて、もう神のように…(以下省略)。

<おまけのbanban>
本好きで有名だった、俳優の児玉清さんが先日亡くなられました。翻訳ものの帯に「児玉清さん絶賛!」とあると、それだけで「間違いない!」と思わせる、偉大な読み手でした。
今後もう新たに「絶賛!」の帯は見られないと思うと、なんともさびしい限り…。


最近の読書

2011年03月28日 | Reading


またまた久しぶりになってしまいました。読んだ本のお話。
絲山秋子のエッセイ2冊、「絲的メイソウ」と「絲的炊事記」。
著者は純文学の作家ですが、申し訳ないけど小説は未読。この2冊のエッセイは、非常に面白かったです。たとえば三浦しをんのエッセイは、面白いんだけどテンションが私には合わず、読んでるうちにちょっと疲れる。
ウツの持病がある絲山氏のエッセイは、テンション低めで読んでいてホッとします。高崎というローカルな(失礼)ところに住んでいるのも興味津々。他のエッセイも読んでみたい!


町田康「スピンク日記」は、トイじゃないスタンダード・プードル「スピンク」との暮らしを、例によってプードル目線で綴った傑作。写真も爆笑です。スタンダード・プードルって、でかいんです!まるで人が入った着ぐるみみたい。
町田康は相変わらずカッコイイ。ペットとの距離のとり方がいいんだなぁ。私も見習おう。

原武史「「鉄学」概論」、これも面白かった!ここに書いてあるのは、ちょっと鉄道に詳しい人なら当たり前のことかもしれないけど、「東急」と「阪急」の比較とか、1973年の上尾駅での暴動など、私には「へぇ~~」と思うことばかり。こういうお話をもっとまとめて読みたい!

黒岩比佐子「歴史のかげにグルメあり」。黒岩さんは、数年前、一箱古本市のプレゼンテーターで打ち上げにいらっしゃった時、お姿を拝見しました。その時はとてもお元気そうだったので、まさか、こんなに早く亡くなられてしまうとは…。
この本は行きつけの新橋のいい本屋で発見。明治天皇や伊藤博文、児玉源太郎などが、歴史的場面で何を食べ、何によって客をもてなしたか。文章は平明でわかりやすく、大変興味深く読みました。
特に私が興味を引かれたのは、大成建設をはじめとする大倉財閥の創立者、大倉喜八郎。昔の財閥の創立者って、キャラが立った人が多くて、伝記を読んでみたくなります!


<おまけのひなぞう>
犬生、初散歩。フンフンフンフンフンフンフンフン・・・匂いをかぐのに一生懸命で、ほとんど歩かず終了。フンフンフンフン!


活字旅

2011年02月09日 | Reading

鉄道好きでも知られるエッセイスト、酒井順子の旅本を3冊読みました。本で旅エキス注入(笑)。

まずは原武史・関川夏央との三人旅「鉄道旅へ行ってきます」。コダワリの原氏、泰然とかまえる関川氏、それを淡々と見つめる酒井順子の構図がおかしい。
中でも、1日で5杯も6杯も駅そばを食べる「北陸駅そば五番勝負」が出色。駅そばの味に、これほどの違いがあるとは、知りませんでした!
そして、去年の夏私も乗った「わたらせ渓谷鉄道」、この路線に宮脇俊三氏の鉄道2万キロ完乗の地があったとは…。知ってたら記念撮影してきたのになぁ(笑)。

「女流阿房列車」。こちらも、さまざまなテツ旅のルポもの。
16時間以上かけて、東京の地下鉄全線を1日で完乗するという企画は、読んでいてこちらまでつらくなりました…。やっぱり、鉄道は車窓の風景があってこそ。1日中地下鉄に乗っているのはしんどすぎます!

「猫村さん」のほしよりこ氏とのコラボ本「来ちゃった」。この本が一番読んでいて楽しかった。インタビューで「ニッチな場所にいっぱい行っています」と語っていたとおり、ここに収められているのは、観光地としてはあまりメジャーでない場所への旅。新潟へ油揚げを食べに行ったり、秋田の湯治場へ行ったり…。
私も行ってみたい!と思ったのは、琴平にある日本最古の芝居小屋「金丸座」での歌舞伎鑑賞。琴平に、古い芝居小屋があるのは知っていましたが、本格的な歌舞伎が上演されているとは…。舞台と客席が近いのですごい迫力なんだそうです。見てみたい!
広島に、パン屋の「アンデルセン」本店があるのもこれを読んで知りました。

こうして、ちゃくちゃくと次の旅への準備をととのえてます(笑)。早く春にならないかなぁ。