安倍内閣の喫緊の課題として、テロ特措法の延長があります。しかし、ご存知のとおり、参院は民主党がマジョリティーを占めてしまっているので、延長をさせるのは容易ではありません。
民主党には、同法に賛成の議員もいます(たとえば、前原氏など)。それから、無所属の議員であっても、同法に賛成の立場の議員もいるでしょう。彼らを巧く取り込んで、同法の延長をいかにするか、とういうのが、安倍内閣の最初の試練であると思います。
しかしながら、民主党の小沢代表は同法の延長に反対の立場を崩しません。先日、ドイツのメルケル首相と会談した際も、メルケル氏の説得にもかかわらず、改めて反対の意思を表明しました。これは全くもって由々しき事態であり、責任政党を自称する民主党にとってもマイナスの効果しかもたらさないと思います。
小沢氏の同法延長反対の理由は以下のような点からです。
1、米国のアフガニスタン戦争は「米国の戦争」であって、国連の決議に基づいていない。
2、日本の直接の平和とは関係ない。
3、インド洋での給油活動は、憲法の禁じる集団的自衛権の行使にあたる。
まず、1についてですが、これは大いなる誤解です。国連決議1368号があるのです。加えて、今年の3月にこの決議を補強するかたちで、1746号決議が出されています。
確かに、アメリカのアフガニスタン攻撃はアメリカの自衛権の発動としての攻撃でしたが、戦闘行為自体は終結しているのです。戦闘行為が終結しているということは、もうアメリカとアフガニスタンは戦争はしていません。戦闘行為が終結している以上、そこは「非戦闘地域」に定義されるはずです。非戦闘地域で自衛隊が活動をすることは、憲法で禁止していないことは明らかです。そこに自衛隊を派遣し、国際社会の手伝いをすることの、一体何がいけないのでしょうか。
小沢氏の「国連信仰」は今に始まった話ではないですが、そもそも、過去に(小沢氏の考えるような)国連の決議を受け、国連軍が組織されて行われた戦争など、果たしてあったでしょうか。いつも国連決議を、言うなれば「拡大解釈」をして、国連のお墨付きをもらったということにして、戦闘行為を展開したという理解のほうが、正しいと思います。
国連奉じて国益損ねるでは話になりません。国連に過度の期待は禁物です。
2についてですが、これは小沢氏の見識を疑ってしまいます。一国平和主義の社民党や共産党が言うのならまだしも、責任政党になろうとしている民主党のトップが、このような見解では、日本の舵取りを彼に任せることはできません。
アルカーイダなどのテロ集団は、アメリカの同盟国への攻撃も辞さない構えは明らかです。2004年3月11日に、スペインで起こった列車爆破テロは記憶に新しいです。つまり、日本の平和に直接関係ない、わけがないのです。もし、対テロ行動が日本の平和に直接関係のないことと言うならば、それは日米安保の破棄を宣言するに等しいはずです。
3については、憲法の一体どこで「集団的自衛権は行使できない」と書いてあるのでしょうか(苦笑)。憲法で集団的自衛権を行使できないと「解釈している」のは、内閣法制局です。憲法それ自体ではありません。
以前にも述べましたが、日米安保条約に基づいて国内に在日米軍を置くことそれ自体も、実は集団的自衛権の概念なしでは説明できないのです。もし、内閣法制局が全面的に集団的自衛権を禁止しているのであれば、在日米軍は一体何に基づいて日本に駐留できているのでしょうか。
「こちらの集団的自衛権はよくて、あちらの集団的自衛権はだめ」というのならば、その線引きを明確に示すのが筋ではないでしょうか。
日本の国際的な信頼の上昇にも、自衛隊によるインド洋での給油活動は貢献しているのです。アメリカ、パキスタン、フランス、カナダ、イタリア、イギリス、ニュージーランド、ドイツ、ギリシア、オランダ、スペインの駆逐艦および補給艦に給油活動を展開しているのです。この意味では、湾岸戦争で得た教訓である「名誉は金で買えない」ということを学習し、共に汗を流すことを実践できているということでしょう。つまりは、この給油活動は日本の国益にも資していると言えるのです。
国益的視点からの評価ではもうひとつ、西村真悟衆院議員の視点が極めて的を得ていると思われるので、ここで一部を引用させていただきます。以下引用。
インドネシアからインドに至る護衛艦の遊弋の成果は、たかが「給油の成果」だけで計れるものではない。我々は、インド洋で無料ガソリンスタンドを開設しているのではない。自衛隊の活動は、シーレーンである海洋・海峡の安全という我が国の存立にかかわるほどの重みをもっているのである。
自国の独立という重大な事件に、決定的なインパクトを与えた国の軍艦旗を掲揚した海軍艦艇の遊弋が、どれほどの効果を持っているか。どれほど、地域の安全に貢献しているか。――引用終了
そういえば、湾岸戦争時に国際社会における日本の存在感を誇示するために、現地に自衛隊を派遣すべしと、自民党の中で声高に主張していたのは、確か小沢氏だった気がしますが・・・。所属が変われば、こうも主張も変わるものなのですね。
今、テロ特措法延長に反対し、日本が対テロ掃討作戦という国際的コンセンサスから脱落するということは、湾岸戦争時と同じ轍を踏むということになるのではないでしょうか。
民主党には現実的な判断を期待します。
民主党には、同法に賛成の議員もいます(たとえば、前原氏など)。それから、無所属の議員であっても、同法に賛成の立場の議員もいるでしょう。彼らを巧く取り込んで、同法の延長をいかにするか、とういうのが、安倍内閣の最初の試練であると思います。
しかしながら、民主党の小沢代表は同法の延長に反対の立場を崩しません。先日、ドイツのメルケル首相と会談した際も、メルケル氏の説得にもかかわらず、改めて反対の意思を表明しました。これは全くもって由々しき事態であり、責任政党を自称する民主党にとってもマイナスの効果しかもたらさないと思います。
小沢氏の同法延長反対の理由は以下のような点からです。
1、米国のアフガニスタン戦争は「米国の戦争」であって、国連の決議に基づいていない。
2、日本の直接の平和とは関係ない。
3、インド洋での給油活動は、憲法の禁じる集団的自衛権の行使にあたる。
まず、1についてですが、これは大いなる誤解です。国連決議1368号があるのです。加えて、今年の3月にこの決議を補強するかたちで、1746号決議が出されています。
確かに、アメリカのアフガニスタン攻撃はアメリカの自衛権の発動としての攻撃でしたが、戦闘行為自体は終結しているのです。戦闘行為が終結しているということは、もうアメリカとアフガニスタンは戦争はしていません。戦闘行為が終結している以上、そこは「非戦闘地域」に定義されるはずです。非戦闘地域で自衛隊が活動をすることは、憲法で禁止していないことは明らかです。そこに自衛隊を派遣し、国際社会の手伝いをすることの、一体何がいけないのでしょうか。
小沢氏の「国連信仰」は今に始まった話ではないですが、そもそも、過去に(小沢氏の考えるような)国連の決議を受け、国連軍が組織されて行われた戦争など、果たしてあったでしょうか。いつも国連決議を、言うなれば「拡大解釈」をして、国連のお墨付きをもらったということにして、戦闘行為を展開したという理解のほうが、正しいと思います。
国連奉じて国益損ねるでは話になりません。国連に過度の期待は禁物です。
2についてですが、これは小沢氏の見識を疑ってしまいます。一国平和主義の社民党や共産党が言うのならまだしも、責任政党になろうとしている民主党のトップが、このような見解では、日本の舵取りを彼に任せることはできません。
アルカーイダなどのテロ集団は、アメリカの同盟国への攻撃も辞さない構えは明らかです。2004年3月11日に、スペインで起こった列車爆破テロは記憶に新しいです。つまり、日本の平和に直接関係ない、わけがないのです。もし、対テロ行動が日本の平和に直接関係のないことと言うならば、それは日米安保の破棄を宣言するに等しいはずです。
3については、憲法の一体どこで「集団的自衛権は行使できない」と書いてあるのでしょうか(苦笑)。憲法で集団的自衛権を行使できないと「解釈している」のは、内閣法制局です。憲法それ自体ではありません。
以前にも述べましたが、日米安保条約に基づいて国内に在日米軍を置くことそれ自体も、実は集団的自衛権の概念なしでは説明できないのです。もし、内閣法制局が全面的に集団的自衛権を禁止しているのであれば、在日米軍は一体何に基づいて日本に駐留できているのでしょうか。
「こちらの集団的自衛権はよくて、あちらの集団的自衛権はだめ」というのならば、その線引きを明確に示すのが筋ではないでしょうか。
日本の国際的な信頼の上昇にも、自衛隊によるインド洋での給油活動は貢献しているのです。アメリカ、パキスタン、フランス、カナダ、イタリア、イギリス、ニュージーランド、ドイツ、ギリシア、オランダ、スペインの駆逐艦および補給艦に給油活動を展開しているのです。この意味では、湾岸戦争で得た教訓である「名誉は金で買えない」ということを学習し、共に汗を流すことを実践できているということでしょう。つまりは、この給油活動は日本の国益にも資していると言えるのです。
国益的視点からの評価ではもうひとつ、西村真悟衆院議員の視点が極めて的を得ていると思われるので、ここで一部を引用させていただきます。以下引用。
インドネシアからインドに至る護衛艦の遊弋の成果は、たかが「給油の成果」だけで計れるものではない。我々は、インド洋で無料ガソリンスタンドを開設しているのではない。自衛隊の活動は、シーレーンである海洋・海峡の安全という我が国の存立にかかわるほどの重みをもっているのである。
自国の独立という重大な事件に、決定的なインパクトを与えた国の軍艦旗を掲揚した海軍艦艇の遊弋が、どれほどの効果を持っているか。どれほど、地域の安全に貢献しているか。――引用終了
そういえば、湾岸戦争時に国際社会における日本の存在感を誇示するために、現地に自衛隊を派遣すべしと、自民党の中で声高に主張していたのは、確か小沢氏だった気がしますが・・・。所属が変われば、こうも主張も変わるものなのですね。
今、テロ特措法延長に反対し、日本が対テロ掃討作戦という国際的コンセンサスから脱落するということは、湾岸戦争時と同じ轍を踏むということになるのではないでしょうか。
民主党には現実的な判断を期待します。