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ヨハン・テオリン「冬の灯台が語るとき」

2020年12月11日 | 海外の作家


訳・三角和代
ハヤカワミステリ文庫
2017年3月 発行
581頁


エーランド島四部作の第二作
3→1→2の順に読んでいますが登場人物のリンクはごく薄く、さほど困ることはありませんでした

ストックホルムからウナギ岬の古い屋敷に引っ越してきて間もなく妻が海に落ちて溺死するという悲劇に見舞われた工芸教師ヨアキムとその家族が、毎夜不可思議な出来事を体験する話を本筋に、三人組の若者がスウェーデン本土在住者の夏の別荘を中心に空き巣を繰り返す様と、新たに赴任してきた新人警官ティルダが大叔父であるイェルロフに彼女が生れる前に亡くなった祖父(イェルロフの兄)の思い出を語ってもらう話が交互に綴られます
そこに挟み込むようにして、ウナギ岬に双子灯台と屋敷が建てられた19世紀半ばからの百年余りにこの地で起きたいくつもの痛ましい事件が順を追って語られます
ここでの語り手はヨアキムの妻カトリンの母親ミルヤで、彼女は1950年代末、母親のトルンとこの屋敷の離れで暮らしていて、疎遠にしていた娘カトリンが35年後に同じ家に住むことを選んだ際に本という形式で語りかけます
これらの物語はどこで交錯するのでしょうか
原題の「NATTFÅK」は夜のブリザードを意味するそうで、悲しみと静寂に包まれながらゆったりと進んでいた物語は、不穏な空気を漂わせつつ徐々にペースを上げて猛烈な吹雪が吹き荒れるクリスマス・イヴを迎えます

四部作全てに登場するイェルロフ老人、本作でも老体に鞭打ち些細な手がかりから見事な推理で悲劇の真相を解き明かしていきます

北欧ミステリのいつもの如く前半さえ我慢すれば最高のエンディングが待っています
残るは第四作「夏に凍える舟」
楽しみです♪




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