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津村記久子「これからお祈りにいきます」

2018年02月23日 | た行の作家

 

角川文庫
2017年 1月 初版発行
解説・西崎憲
225頁

 

 

「サイガサマのウィッカーマン」
関東にある高校生のシゲルが暮らす雑賀町には自分の身体の取られたくない部分を工作してサイガサマと呼ばれている神様に捧げる奇妙な祭りがあります
反抗期真っ只中のシゲルにとって家族はイライラの原因でしかありません
父親は不倫中、中学生の弟は不登校、母親とも不仲
唯ひとり、メールを待つ相手は中学時代の同級生・セキヅカ
閉塞した日常を送るシゲルが神様に託したものとは…

 

 

「バイアブランカの地層と少女」
京都で実家を出て独り暮らしをしている大学生
高校生の時、実家が活断層の上に建っていると知ってからは地震が気になってしかたありません
大学までも通える距離なのに家を出ました
常に不安に脅かされている主人公がいかに恐怖と戦うか
自分が怯えている状態から抜け出す力は遥か遠く地球の反対側からもたらされます

 

 

不器用な青年の成長をユーモアを交えながら、ややシリアスに描く2編
誰かのために心を込めて祈り、日々を一生懸命に生きる姿は清々しく彼らを応援したくなりました

 

 


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