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内館牧子「終わった人」

2024年08月14日 | あ行の作家


講談社
2015年9月 第1刷発行
373頁

岩手県盛岡市の高校を卒業後、東大法学部へ進学し大手銀行に入行
出世コースを歩くはずが子会社に出向、転籍させられそのまま定年を迎えた田代壮介
仕事一筋だった彼は途方にくれます
何とか再び第一線で働きたいと職探しをしますが、取り立てて特技も無い定年後の男に職などそうあるものではありません
生甲斐を求め、居場所を探して、足掻き続ける男に再生の時は訪れるのでしょうか
体力維持目的で通うジムで知り合った、ある人物から思いも寄らない誘いを受けたことから、彼の運命の歯車が再び回り始めます

定年退職後、遠回り、寄り道、色々とあった壮介ですが、ようやくソフトランディングが出来たようで
残りの人生を精一杯生きて欲しいと思いました

「余生」という言葉がおかしい
人に「余りの生」などあるわけがない
八十であろうが九十であろうが、患っていようが、生きている限りは「生」であり、余りの生ではない

最後のほうに浅田次郎さんの「壬生義士伝」にも登場する、樹齢360年から400年の桜の木で巨大な花崗岩を突き破って伸びていて毎年見事な花を咲かせるという盛岡の石割桜が出てきます
盛岡に帰る壮介の言葉
「あれに比べりゃ、たいていのことは、どうってことねがんす」
盛岡の人々の忍耐強さの象徴なのですね

数年後に定年を控えた方やその家族に読んでもらいたいです
今の職場の前社長さんが、20年以上前から従業員に、老後の暮らしについて、年金暮らしについて、口が酸っぱくなるほど何度も話されていました
それがあったからか、本書の内容がストンと胸に落ちてきました
前社長さん、口うるさかったけど真実を語っていたなぁ
今は、長男さんが社長として立派に跡を引き継いでおられます


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