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野村萬斎「狂言サイボーグ」

2013年03月17日 | 教養・学習本

 

文春文庫

2013年1月 第1刷

解説・齋藤孝

198頁

 

 

1987年から12年の間にパンフレットや新聞に掲載された記事を集めた、エッセイ集です

単行本の初版は2001年

文庫版あとがきで『文庫版にするにあたって直すところが殆ど無い』と書いてらっしゃいます

私も、初版が2001年ということを知らずに読み始めて、途中で(武司でござる クロニクル1987-1994)随分前に書かれたものだと知って驚きました

書かれている内容が全く古臭くないのです

 

萬斎さんの狂言への愛、狂言という芸術を後世に残すという義務感、責任感

日本という国、日本人、そして日本語への強い思いが繰り返し語られます

 

 

萬斎さんの写真がたくさん載っています

美しい立ち姿、引き締まった顔立ち

惚れ惚れしますね~

それは、生まれつきでもないし、俄かに萬斎さんのものになったわけではなく

3歳の頃から狂言を通して厳しく躾けられ鍛錬を重ねてきた結果のものなのです

 

タイトルの「狂言サイボーグ」は「サイボーグ009」よろしく、自分の意思とは関係無く半分機械を埋め込まれ、プログラミングされた人間としての、多少の悲哀をこめたもの、だそうです。

 

この現代社会において、単なる家業として狂言を継ぐことは技芸としては可能でも、文化としてはハードルが高い。日本語及び生活様式の変化に対応することは狂言自身のアイデンティティーに関わってくる。そんな現在、どうして、何故狂言を生業とするのか。

答えは狂言をやり続けることでしか得られない。私が生きて狂言をし、観客が足を運んで狂言を見、自分自身の生の悦びを皆で共有出来たその刹那、答えは虹のように立ち現れる。戦い続けなければならない狂言サイボーグ。何たる宿命!

 

 

 


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