今日は、先週の土曜日に見に行きました、映画『プリンセス トヨトミ』の感想を♪♪
この作品、ドラマ『鹿男あをによし』、映画『鴨川ホルモー』の原作小説でお馴染みの万城目学さんの小説です。
『鹿男あをによし』や『鴨川ホルモー』を見て以来、すっかり万城目作品のファンになった私は『プリンセス トヨトミ』も、原作小説は既に読了!!
小説がとても面白かったので、映画も楽しみにしてました(*^^*)
という訳で、物語。
会計検査院の調査官である、松平元、鳥居忠子、旭・ゲーンズブールの3人は、出張で大阪を訪れます。
彼ら、会計検査院の仕事とは、国家予算が正しく使われているかチェックすること。その調査対象は、各省庁をはじめ、国が出資している団体、助成金を受けている地方自治体などなど、多岐に及びます。
大阪府庁での検査を終えた3人は、次なる調査対象・財団法人OJOに向かいます。
大阪城址整備機構という名のこの機関は、大阪城の歴史に纏わる様々なものの管理や整備を行っているとのこと。
特に問題なく検査を終え、3人は、OJOの入っているビルのすぐ近くのお好み焼き屋「太閤」で昼食を摂るのでした。
そんな時、OJOの応接室にケータイを忘れたことを思い出す松平。
彼は、すぐにケータイを取りに、ビルに戻るのですが。
つい先ほどまで、20余名の職員が働いていたOJOのオフィスは、もぬけのカラ。
対応に出た、長曽我部なる男の姿すら見当たりません。
ほんのついさっきまで、確かに、ここで20余名の職員が仕事をしていたというのに・・・。
不審に思った松平は、オフィスの電話の受話器を取ってみるのですが、なんと、電話は繋がっていない。
更に不審に思い、オフィスの机の引き出しを開けると・・・・・・。
どの引き出しもカラッポ。
このオフィスはダミーだったのか・・・・・?
ならば、20余名の職員はどこに消えたのか?
このビルには裏口などはなく、正面玄関のみ。そして、その正面玄関は、松平達が昼食を摂っていたお好み焼き屋「太閤」から丸見えで。
20人以上の人間が、ゾロゾロと出ていけば、絶対に気が付くはず。
しかし、松平は、そんな光景見ていない。
ならば、忽然と消えた職員達は何なのか?
ダミーの事務所は何のために?
不正の匂いを感じた松平達は、翌日、再度、OJOを調査。
しかし、責任者の長曽我部は、昨日オフィスに人が居なかったのは、皆で昼食に出ていたから・・・とシラを切ります。
そして、繋がっていない電話も、建物の老朽化に伴う故障だと。
更に、カラッポだった引き出しを指摘し、引き出しを開けると。
そこには、きちんと、事務仕事に必要な文房具一式が揃えられており・・・・・・。
再度、色々な抜き打ち調査をするものの、不正は一切見当たらない。
それならば、松平が見た、あのカラのオフィス、違和感はなんだったのか・・・・・・・・・?
こうして、独自にOJOに関することを調べはじめた松平と旭。
すると、毎年、国から5億円もの補助金がOJOに出されている事実が分かります。
益々OJOの謎に不審を抱く松平の前に、大阪国総理大臣を名乗る真田という男が現れるのでした。
そして、真田の口から語られた、衝撃の真実とは・・・。
大阪夏の陣で殺されたはずの、豊臣の子供は、大阪町人達に匿われ、生きていたこと。
その末裔は、現代にまで続いていること。
そして、その末裔を守るために、「大阪国」という国家があり、それは、明治政府に正式に認められていること。その時の条約により、国から、毎年5億円もの補助金が、大阪国に与えられていること。
豊臣の末裔・・・プリンセスを守るためなら、大阪の男達は、立ち上がるということ。
しかしながら、会計検査院として、そんな荒唐無稽な事の為に、5億もの税金を使うのは認められないと判断する松平。
そして、そんな松平に対抗するため、プリンセスを守るため、「大阪国」は立ち上がり・・・・・・。
予め、原作小説を読んでいたので、物語の展開などは既に知っていました。
がしかし。
この物語、色々な設定や、ストーリー運び、エピソードなど、かなり、原作と違っている映画オリジナルな部分もありまして。
なので、原作小説とは別物・・・という感じもありました。
わたし的には、小説は小説、映画は映画・・・と、2パターンの「プリンセス トヨトミ」を楽しめた気分ですね。
で。
このお話の登場人物。
「鴨川ホルモー」での安倍や芦屋の時と同じように、登場人物の名前が、それぞれ歴史上の人物に由来しています。
松平元は、松平元康・・・つまり、徳川家康。
鳥居忠子は、鳥居元忠。
旭・ゲーンズブールは旭姫。
真田幸一は真田幸村。
橋場茶子は、茶々。
漢字は違うけど、「橋場」という苗字も、秀吉の「羽柴」を想起させますよね。
因みに、映画では描かれていませんが、茶子の亡くなったお母さんは市子。これは、お市の方ですよね!
という感じで、それぞれ、歴史上の人物に由来しています。
でもでも。
映画では、鳥居は綾瀬はるかちゃんが演じる女性。そして、旭は、岡田将生さんが演じる男性なのですが。
元々、原作では、鳥居が男(名前は鳥居忠)。旭が女なのですよね。
歴史上の人物由来を考えると、映画版では、ちょっと男女が逆転しちゃってますね(^^;
とはいえ、ちょっとオマヌケなところがある鳥居。
映画では、男女が逆転してはいますが、綾瀬はるかちゃんが、原作の雰囲気そのままの鳥居を演じてくれていました。
で。
いきなり鹿が喋ったりする「鹿男」や、式神を操って、京の町を東奔西走する「鴨川ホルモー」と違って、「プリンセス トヨトミ」は、原作小説自体、少し、ストーリー運びが地味な感じがしたのですよね。
結構分厚い本だったのですが、淡々と、会計検査院の話、空堀中学校の話が描かれている感じで。
実際に、物語が大きく転機を迎えるのは、後半以降・・・というか終章でって感じで。
なので、映画では、どんな風に描かれるのかなぁと思っていたのですが。
そこは、原作と大きく変えて、違うエピソードにしてありました。
映画では、松平が無人のオフィスに行くことによってOJOに不信感を抱く・・・という展開になっていますが。
これは、映画オリジナルのお話で。
原作では、もっと、地味に淡々と、OJOの謎が明かされるのですよね。
でも、映画オリジナルのエピソードの方が、とてもミステリアスで、私は好きでした。
だって、密室から忽然と消えた20人。ダミーのオフィスって、なんだか、ミステリーじゃないですか!
ちょっぴり、怖い感じもして、このエピソードは大好きですね。
それから、松平の生い立ち・・・というか、父親の設定も、映画オリジナルでしたよね。
原作では、松平は、本当に、エリート官僚の息子で。
仕事、仕事で家庭を顧みない父親との確執・・・という感じでしたが、映画は、また違う理由での、父子の確執でしたよね。
ここは、なんで、わざわざ、変えたんだろ・・・?
エリート官僚の家庭、というのが、ちょっと共感というか、想像出来にくいから・・・かな?
そしてそして。
原作では、鳥居が男だからか、真田幸一の息子、真田大輔の方と、交流を深める感じなのですが。
映画の鳥居は女なので、女同士ということでか、どちらかというと、茶子との関わりの方がメインになっているかなぁと。
原作では、色々とヤヤコシイことになってしまった、王女拉致事件。
映画は、非常に単純に分かり易く描かれていたと思います。
そんなこんなで、いよいよ向かえる、大阪城が赤く燃えるシーン。
大阪国の存在に異議を唱える、会計検査院との闘いな訳ですが。
大阪全停止に至るまでの、アレコレは非常に面白いです。
なんというか、とても滑稽なんだけど。
でも、大阪だったら、こんなこともあるかも!?と、思わずニヤリ。
そして。
プリンセスを、大阪国を、守るために立ち上がる、大阪の男達。
私も、最初、小説を読んだ時、ビックリしたのですが。
タイトルからも、ストーリー展開からも、てっきり豊臣の末裔が立ち上がって、大阪国を正式に作っちゃう話なのかなぁ~と思っていたら・・・。
実は、そうではなくて。
この物語のテーマは、親子の絆だったり、大阪の人達の心意気だったりするのですよね。
原作を知らずに、映画を見られた方は、この展開にびっくりされるのではないかなぁと思います。
でも。
彼らが守りたいのは、もちろん、脈々と受け継がれてきた豊臣の末裔でもあるでしょう。
でも、決して、それだけではなくて。
父から子へと語り継がれる、大阪国の秘密。
豊臣の末裔を守り抜いた大阪の人達の心意気。
そういう、親子の絆や、大阪人の心のシンボル。
それこそを守りたいのでは、ないかなぁと思いました。
親子の絆も、大阪人の心根も、決して目には見えない物です。
同じく、「王女」の存在も、大阪の人、ほとんどの人は、どこのだれが王女なのかは分からない状態。この大阪のどこかに、自分たちが守ってきた、王女が居るというだけの・・・言ってみれば、目に見えない物に近いですよね。
でも、その目に見えない物を守り、大阪の誇りとしたい。
そういう想いが感じられました。
そして、それは、作者さん自身の、大阪に対する、溢れんばかりの愛情のようにも感じられました。
関西大好き、大阪大好きな人なら、この映画の根底に流れている、大阪という土地への愛情・・・分かると思うなぁ(*^^*)
万城目さんの作品って、荒唐無稽なお話が多くて。物凄くファンタジーなのですが。
でもでも、ファンタジーと分かった上で、「でも、もしかしたら、こんなこと、本当にあるのかも!?」と思わせる何かがあるのですよね。
「鹿男」にしても、「鴨川ホルモー」にしても。
で。
特に、この「プリンセス トヨトミ」は、そういう、「もしかしたら・・・!?」感が強かった気がします。
それは、小説にしても、映画にしても、大阪という土地の空気、人柄を活き活きと描いているからかなぁと。
関西好きな人には、オススメしたい映画です。
あっ。
そうそう。
昨日の日記にも書きましたが。
万城目作品、「鹿男」スタッフということで。
玉木さんが、たこ焼き屋のあんちゃんでカメオ出演p(^^)q

カメオ出演とはいえ、何度も何度も出番があって、ファンとしては、めっちゃ嬉しかったです(//▽//)
玉木さんと分かるくらいハッキリ顔が映るのは、2度目の登場シーンで・・・なのですが。
私は、最初の登場シーンから、お声ですぐに分かりましたですよ♪
関西弁を喋る玉木さん・・・良かったですよ(///)
私も、たこ焼き屋のあんちゃん玉木さんから、たこ焼き買いたい!
「ねぇちゃん、落としなや~」
って言って欲しいっ。
それにしても。
大阪城公園の風景に、見事に溶け込んでいらっしゃいましたよね。
そして。
「鹿男」の登場人物だった、南場先生もカメオ出演。
こちらも、すぐに分かりました。
南場先生は、原作小説でも出てくるのですよ。
映画では、ワンシーンだけでしたが、小説では結構、活躍しますよ(^^)b
で。
パンフを読むと、玉木さんも、最初は「鹿男」の小川先生での登場・・・という原案があったとか。
でも、原作に小川先生は登場しないので、たこ焼き屋のあんちゃんという、オリジナルな役での出演ということになったそうです。
結構、出番多いですし、綾瀬はるかちゃんとのオモロイ掛け合いもあるので。
玉木さんファンは、要チェックでありますよぉ(^o^)♪
そして。
「鹿男」のスタッフさんということで、音楽も、ドラマティックで素敵でした。
「プリンセス トヨトミ」、出来れば、もう1回見に行きた~い(*><*)