福島原発
東京電力の福島第一原子力発電所事故後、放射線量の上昇などで使えなくなった原子力災害の対応拠点「オフサイトセンター」(OFC)について、総務省が事故の2年前に放射線防護対策などの不備を指摘していたのに対し、OFCを所管する経済産業省が抜本的な対策を取らなかったのは、「大規模事故は起きない」ことを理由にしていたことがわかった。
OFCの安全性を強調する問答集も用意していた。読売新聞社の情報公開請求に対し、同省が関連文書を開示した。原発の“安全神話”によりかかったもので、当時の基準や対応の甘さが改めて問われそうだ。
総務省は2009年2月、経産省に対し、原子力防災業務の改善を勧告。主な指摘は、福島第一を含め、東北電力女川、中部電力浜岡、北陸電力志賀、四国電力伊方の各原発から10キロ圏内にある計5か所のOFCに、空気浄化フィルターの付いた換気設備がなく、屋内に放射性物質が流入する危険性があるなどだった。
情報公開請求で開示された09年3月の文書によると、経産省原子力安全・保安院(当時)は勧告への対応を協議。大量の放射性物質が放出され、事故評価では過去最悪の「レベル7」だった1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故について、「日本とは安全設計の思想が異なる原子炉施設で発生した事故」とした国の原子力防災指針(当時)を引用し、「(同規模の原子力事故は)日本では想定する必要はない」と結論付けた。勧告の半年後には、「事故で放射性物質の放出が続くのは短時間」という前提で、「換気を止めて気密性を維持する」との対応法を総務省へ回答した。
(2013年3月23日15時20分
読売新聞)
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