ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

初のゴミ拾い活動参加

2010-03-28 20:01:41 | コスラエ州

早いものでコスラエに赴任してから2ヶ月が経ちました。

前の記事で川上遼子隊員からポンペイ州で雨が全然降らず断水の危機があったと説明がありましたが、コスラエ州でも同様の現象がありました。2月後半の2週間程度雨が全く降らず、3月に入ってから場所によってはある時間を断水にしている地区もありました。私がコスラエ州立病院のサニテーション施設のスタッフと共に飲料水サンプリングで現場に同行した際に、雨水タンクが空の家庭もたくさんありました。ウトエ地区のある滝では川にも滝にも水がほとんどなく、コスラエに1年半程いる隊員によると「こんな現象は今までになかった。」と話しています。

しかしそこからポンペイ州同様、年間約5000mmの雨が降るコスラエ州。その後の一週間は青空が見えることなく、ひたすら激しいスコールと曇り空の繰り返しです。現状は大丈夫ですが、今後同様の現象が起こらないとは限りません。地球温暖化の影響等で、気候が変動し始めていて、少なからずコスラエ州にも影響が出始めているかもしれません。

先週の3/26(金)に私の配属先であるKIRMA(Kosrae Island Resource Management Authroty)と他の団体と共同でゴミ拾い活動を行いました。私にとってはコスラエに来て初のゴミ拾い活動です。場所はタウンサック地区でコスラエ空港から一番近い地区です。活動を始める前には上記のような激しいスコールが降り、少雨になったのを見計ってゴミ拾いを始めたのですが、作業途中でまた激しいスコールが降り、終わった頃に雨がやんで青空が見えるというなんとも皮肉な天候でした。
これが作業中の写真です。



主に川沿いを中心に行われました。コスラエアンは裸足で川に入り、どんどん上流に上がってゴミ拾いを進めており、私も同様に裸足になって共に行いましたが、石がゴツゴツでコスラエアンのようにどんどん進みませんでした。しかし楽しかったです、いい経験できました。コスラエの川の水は非常に透き通っていて綺麗です。しかし、その綺麗な川にもゴミがこんなにもあったのは残念です。

コスラエアンは綺麗好きです。こういったゴミ拾い活動はコスラエ州でもよく行われているそうです。こちらのパーティにも何度か参加させて頂いていますが、パーティの最後にはみんなでゴミ拾いを行い、簡単なゴミ分別もしっかり行っています。これもコスラエアンと今までコスラエ州で頑張って来られた環境教育隊員が共同して築き上げてきたものなのかなと思います。

しかし、道を歩いていると道端にはジュースの缶やお菓子の袋等があちらこちらに散乱しています。車からそれらのゴミを投げ捨てている人も何人か見かけました。ミクロネシア内ではコスラエが一番ゴミが少ないという話も少し聞きましたが、それでも日本と比べると多いです。ゴミ拾い活動をやる事は非常にいい事だと思うのですが、それ以前にゴミを道や川、海、森などに捨てないようになっていけばいいと思いますが、なかなか人の意識を変えるのは難しい事です。

私はこのコスラエ島とコスラエアンが大好きです。コスラエアンとともにこの美しいコスラエを守っていける環境活動を少しずつでも作っていきたいと思います。そのためにどうやっていけばいいのか日々勉強ですが、頑張りたいと思います。

 平成21年度3次隊 コスラエ州 柏原 庸一



ポンペイ環境保全協会のTerrestrial team!

2010-03-23 12:59:30 | ポンペイ州


2週間ほど前にポンペイは水不足で、断水が起こると言われ、かなり不安な気持ちで過ごしていました。
しかし、さすが世界第2の降水量を誇る国!
ここ1週間の降水量はものすごく、雨というより滝のようなスコールが一日に何回も起こります。ポンペイに来る前は雨は憂鬱なものでしたが、こちらに来て初めて嬉しいものとなりました。


どんより雲と南国の象徴であるココナッツ。まだまだ雨が降りそうです。

さて、断水になろうと、雨が大量に降ろうと、関係なしにCSP (Conservation Society of Pohnpei、ポンペイ環境保全協会)は日々ポンペイの環境保全に奮闘しています!

前回は私が所属するMarineの説明をしました。その時の予定では2月中にMarineの過去のデータをマッピングすると。現在、3月中旬ですが、その目標は達成されていません。
予期していなかった事が発覚したのです。

データ自体は大切に管理されておりまったく問題はありませんでした。しかし、2005年、プロジェクト開始初期に得たGPS座標のうちいくつかが間違っていたんです。こちらの人の話によると、当時GPSの精度は低く、2008年に改善されたそうです。間違ったGPS座標を使用するわけにはいかないので、新しいGPS座標を取りにいかなければなりません。

調べたところ、44箇所のモニタリングサイト中18箇所のGPS座標が間違っていました。
しかし、私が所属するMarineには一人のマネージャーと4人のスタッフしかいません。そして一人一人がそれぞれの仕事に熱心なので、それぞれが毎日忙しく、新しいGPS座標を取りに行く時間が限られています。

現在、13箇所のモニタリングサイトの新しいGPS座標を取得しましたが、まだあと5箇所残っています。モニタリングサイトはポンペイ各地に広がっており、残りの5箇所はCSPのオフィスから遠く、時間に余裕がある時でないと行けません。
よって、今は正しいGPS座標の取得待ちです。

Marineのプロジェクトの解析はただ今一時休止状態です。そこで今度はTerrestrialの今までの活動を教えてもらいました。
今活動中のプロジェクトは


• 水質検査 (川などの水源地に隣接している豚小屋やトイレなど、水質汚染の原因となっているものが近くにある水源の水質調査。調査後は土地所有者の了承を得て水質汚染源を移動。)

• 森林モニタリング (特に水源地に近い森林伐採を調べている。)

• 外来種のモニタリング (ポンペイでは20種以上の外来植物が見つかっており、そのうちの5種に的をしぼり、ポンぺイから完全に駆除しようとしている。)

• Grow low (森林伐採をした地元の人達を対象に伐採をしないように説明をし、高地ではなくLow, 低地で農業を行なうように指導している。)

• 植物採取 (ポンペイ在来種、固有種を採取し、標本にしている。)


上記のほとんどのプロジェクトは2000年から続いており、10年のデータがあります。それぞれのプロジェクトには一人のプロジェクトリーダーがいます。しかし、全ての活動はTerrestrial teamが協力して行ないます。

Terrestrial teamはデータの採取、管理に力を注いでいます。しかし、そのために分析にまで手が回らないことがあるようです。彼らのデータは空間的なデータを有しているので、GISでの解析も役に立つと思いました。

まず、私は水質検査プロジェクトから始めました。水質検査のプロジェクトリーダーに説明をしてもらいながら、過去のデータを見せてもらいました。
記録されていたデータは、水質汚染源の種類(豚小屋やトイレなど)、水源からの距離、そして、その土地所有者の名前でした。ポンペイでは法律で水質汚染源となる建物などは水源から最低でも50ft(約15m)離れていなければいけないと定められています。よって、川などに隣接して豚小屋を建てるのは環境的視点からマイナスなだけでなく、違法なのです。

その現況を改善するためにTerrestrial teamは水質汚染源近くの水質検査を行い、その後、水質汚染源を移動するという活動を行なっています。



これはポンペイでは一般的な豚小屋です。豚小屋のすぐ後ろに川が流れているのが見えます。



これは一枚目とは違う場所ですが、新しい豚小屋を建てているところです。右に見えるのは汚水浄化槽です。



これは新しい豚小屋です。水源から十分な距離があり、そして完成された汚水浄化槽も右にあり、より環境に配慮した豚小屋です。

彼らが費やしたこれらの多大な労力と時間から得たデータをGISを用いて解析をすることにプロジェクトリーダーは賛同してくれました。そして幸運なことに彼はGISの基礎知識があったので、お互いに案を出し合いながらどのように解析をするのが一番良いかを話し合いました。最終的にお互いに納得ができる最終目標ができ、その手始めにGISで解析しやすいように彼がデータを整理するのをサポートしました。
そこで、いくつかのサイトのGPS座標が無い事に気がつきました。そしてよりよい解析結果を出すために、移動後の新しい水質汚染源から水源までの距離を測定したほうが良いとお互いに合意しました。

Terrestrial teamは、毎日それぞれの仕事で忙しそうですが、近いうちに足りないGPS座標と移動後の新しい水質汚染源から水源までの距離を測定してくれることを願っています。


川上遼子


南の島(ミクロネシア・コスラエ)での結婚式!!

2010-03-21 12:31:23 | コスラエ州
コスラエの濱崎SVです。
今回は仕事の話ではなく、コスラエでの結婚の様子をお伝えします。

元JOCV森田理絵さん(現荒木理絵さん)とひろしさんの結婚式が2010年2月コスラエでありました。
彼女は私の前任者で、2009年9月までの2年間コスラエの運輸基盤局に赴任し、ごみ処分場において準好気性処分方式(福岡方式)の導入を図った青年海外協力隊員でした。
(彼女の活動についてはこのブログに掲載されていますのでそれを参照してください、合わせて福岡方式も掲載されています)

今回の結婚式については彼女達自身の準備は大変だったでしょうが、こちらコスラエ側の準備も同様に大変そうに見えました。
敬虔なプロテスタント信者が多いこの島では、生活そのものに信仰が深く関わっており、結婚は、生活の中での重要な行事の一つになっています。
そのため今回の挙式には教会始め役所も島民も充分気合いが入っている印象を受けました。

2年間の感謝の気持ちを大好きなコスラエで伝えるために挙式する!

というのが彼女達の望みでしたでしょうから、コスラエの人達は、これを重要な行事としてとらえ、それに十分に応える心構えを私は感じました。

縁もなく、仕事でも何の関わりも無い人が、旅行のついでに!とか、単なる記念に!とかの「軽いノリ」ではこの島での挙式は許されません。

例えば結婚式には政府が指定する健康診断(感染症等侵入防止ため?)が必要になります。
一般の旅行者は短期間の滞在中でこの診断を受けるのはほとんど不可能でしょう。
今回は、短期間でこれをクリアするため、元職場の同僚達は病院への受診の予約、緊急検診のネゴなどあちこち手分けして取り掛かっていました。
彼女が職場のスタッフと苦楽を共にしたからこそこうしたことが出来たのでしょう。


<教会での挙式が終わった後ホットした?ご両人>

披露宴についても、

一番お世話になったホストファミリーと職場のスタッフをパーティに招待したい!

という当初の彼女達の趣旨が、自分の娘としてどうしても披露するというホストファミリーの強い意向で余儀なく変更され、最終的にはコスラエ風のパーティに替わったようです。

私としては、この主宴の変更は、逆にホストファミリーと職場のスタッフが、彼女の2年間の活動に対する感謝の気持ちを伝える機会だとの強い意志と愛情の表れだと感じたものです。

冠婚葬祭の島民行事がそうである様に青空・テント張りの会場には優に百人を超える人たちがお祝いに駆けつけました。


<青空・テントでの披露宴会場―豚三匹を初め家庭料理がワンサカ集まりました>


職場のスタッフも多数駆け付けましたが、その内の一人は「朝から、豚を丸ごと三匹始末して料理したよ!」とこの島最高の歓待料理を造った腕をさし挙げながら得意そうにしていました。
そのおかげで私も出来上がった「豚の丸焼」で腹いっぱいになりました。

余興はこの島の人達がいつも教会で歌う老若男女のアカペラの連続でした。
四部合唱の夫々のパートはスタート時音程が少しずれていますが、ものの20秒も経たない内に自然にハモッてきます。
感動的な合唱に切り替わっていきます。
おじいさんも、おばあさんも子供も若者も誰もかれも、自分のパートを歌いながらお祝いの気持ちを伝えていきます。
あたかも神からの声の贈り物の如くでしょうか。
完全なコスラエ風の歓待風景で、すっかり二人は島民の一人としての扱いでした。

<お祝の賛歌!老若男女のアカペラです。子供の時から鍛えているためかハーモニはすごい!>

JOCVとして活動した彼女は、赴任中の二年間が全て順調に推移したのではなく、幾度も悪戦苦闘を経たと聞いています。
時には苦労のあまり涙していたとも聞いています。

しかし彼女の活動(Out-Put)が、その結果としてホストファミリーからも職場からも周囲の島民からもこのように受け入れられている事実(Out-Come=成果)を観て、ボランティアとしてはすごく大事な事だなあ~とつくづく感じました。

私も一ボランティアとして活動していますが、その結果が相手に少しでも受け入れられて貰えばいいな~と思ったものです。
とても強く印象に残る南の島でのいい結婚式でした。



焼却炉のその後

2010-03-17 08:23:57 | チューク州
前回の投稿で書いた、チューク州立病院の医療廃棄物用焼却炉が設置され稼動開始されてから1ヶ月が経ちました。

毎日のようにモニタリングに行っていたのですが、焼却炉の稼動の仕方等の研修を受けた職員は他の業務で忙しく、新たな担当者は、あまり正しい使い方を知らずに間違った方法で焼却炉を稼動していたり、又、研修を受けた職員も細かい使い方等はあまり覚えていないという状況でした。

そこで、一緒に研修を受けた僕が、簡単にまとめた写真付のマニュアルを作成し、透明のカバーケースに入れ、焼却炉につけておきました。
州立病院のメインテナンスにはチューク人スタッフとフィリピン人スタッフがいるので、英語バージョンとチューク語バージョンの二つを作成しました。



後日、そっと見に行ってみると、マニュアルをみながら、一つずつ手順を追って、気をつけながら稼動している職員の姿がありました。
安心しました。



ただ、おっきな課題があります。
医療廃棄物の分別です。
この焼却炉は医療廃棄物用で、特に食べ物を燃やすことにはかなり適していないのですが、
実際には、医療廃棄物と一般廃棄物の分別が全くなされていなく、全てごちゃ混ぜで燃やしてしまっている状況です。

分別は、この焼却炉を長持ちさせるために重要なことですが、「分別しましょう!」と啓発活動する前に、実際問題、ちゃんとゴミ箱が存在するのだろうかと気になったので、病院を全て調査することにしました。
僕と僕のカウンターパートとロータリークラブトラック諸島の代表者の3人で調査に行き病院の隅々まで調査しました。

結果、注射針は専用の箱にしっかりと分別されていることを確認できました。
しかし、その他の医療廃棄物については、一般廃棄物と一緒になっていました。
そもそも、分別というより、それぞれの箇所に一つずつしかゴミ箱がないので、分別のしようがないということが分かりました。
また、調査時に、医師や看護師にインタビューをしたところ、ほとんどが、医療廃棄物が何なのかすらも分かっていないという状況でした。

これを踏まえ、僕の所属する環境保護局として、州立病院に対して、医療廃棄物用のゴミ箱をそれぞれのオペレーションルームに早急に設置することを命じました。
設置完了後、ポスターや、病院職員の週会議への参加を通して分別の啓発を行うと共に、定期的にモニタリングをしていく計画です。



宮城 匡志