ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

Earth Day -CleanUp Pohpei-

2013-04-30 08:09:06 | ポンペイ州
ポンペイ島には一つの市と五つの村がある。6日間のアースデイの期間中、EPAスタッフ、各自治体、教育省、その他支援団体が協力し毎日一地区ずつ回る。住民はあらかじめ回収してほしいごみを道路脇に置いておく。トラックで各地区のごみを回収し島の北端にあるごみ処分場に持って行く。

軽トラで収集に回るEPAスタッフ。


ダンプサイトに廃棄するEPAスタッフ。

軽トラのような荷台が稼働しないタイプのトラックで収集すると積み下ろしも手作業になるため大変。プラスチックバックにまとまっている場合はまだいい。ドラム缶に入っていたごみを一度荷台に広げるとスコップで書き下ろす作業になり、これがまた大変。

島の南側の村では処分場までの距離が遠く、ごみの輸送費(=燃料費)が比較的高くつく(最長片道40km、一時間ほど)。そのため、ごみが滞留しがちであり、ジャングル内に違法に廃棄されることも多いようだ。そんな状況でのごみ収集。その量と年季の入ったごみの状態にこれまた大変。


2トンダンプトラックに山盛り。


土まみれになったかなり古めの空き缶。


ごみ袋をお米や豚の飼料のパッケージで代用。


山盛りの粗大ごみ群。ここは昔、家電の修理をしていた家だそうだが、家主さんが何かの事情でいなくなり放置されていたもの。


一昨年、日本からの無償援助で提供されたごみ収集車。コロニア市にある2台が大活躍。


このアースデイ以外にも12月にポンペイクリーンアップデイというものがあり、同じように一斉回収が行われる。1週間膨大なごみの量を回収し、何度も処分場を往復して思ったのが、「なぜお祭り的に日常のゴミを回収しているのだろう」ということ。日本の感覚で言えば、普段手が届かないところを清掃したりするのが気合いを入れたクリーンアップ(たとえば年末の大掃除)。しかし、ここでは毎日のごみがリセットされるだけである。確かに、しないよりもした方がはるかに良い。しかし8年間これを続けている現状が気になる。住民としてもクリーンアップの日が来れば、誰かがもっていってくれるという他力本願的なところがあるのではないだろうか?

ごみの処分にはお金がかかるというのが日本では常識だ。自治体のごみ収集は市民税に組み込まれているし、自動車のリサイクル税、家電リサイクル法などなど。それは行政が適正にごみを処理するには費用をかける必要があると判断し、個人の自由に任せていては公衆衛生の悪化や不法投棄が起こると考えるから強制的に法律で制限をし、個人へ処理費用を求めているのだと思う。

ポンペイでも同じような仕組みが必要なんだろうなと思う。個人が金銭的な負担を負うことで、ごみ減量化をしようと本気にもなれるものだと思う。今のように誰かがもっていってくれる状態では前進はなかなかないのだろうと。

ごみの問題は誰もが目をそむけたくなるものだと思う。しかしこの先、目先の利益にとらわれない英断のできる政治家の登場に期待したい。


24年度2次隊 浜川

Earth Day in Pohnpei

2013-04-29 08:50:06 | ポンペイ州
国連が呼びかけて始まった「Earth Day」。ポンペイでは4月22日~27日を行動週間として環境意識を啓発するイベントがあった。毎年EPA(環境保護局)が中心となり、ここポンペイでは今年で8回目の開催となった。


今年はオーストラリア大使館がメインドナー(寄付者)となって、初日にミクロネシアに唯一ある映画館前にて盛大なオープニングセレモニーが行われた。

今年のテーマは気候変動。十数校の小学校から7、8年生、300人ほどが集まった。劇を披露したり、環境問題に関する映画を鑑賞し、セレモニーの後は環境に関連するNGO、NPO(現地、アメリカ、オーストラリアの団体)が構えた7つのブースを巡り環境問題について学びを深めた。







引率で来ていたアワック小学校の協力隊員、本多さん。

このイベントで気になったこと。イベント終了後に残されたたくさんのゴミ。イベント中、子供たちに配られたペットボトルの水。自分は最後まで会場にいなかったが、それがそのまますごい量ポイ捨てをされていたそうだ。

環境問題を考えるイベントでなぜ?

小さな島国であるミクロネシアの人々にとって確かに地球規模でおこる気候変動問題はわが身に降りかかる問題だ。しかし、目の前の環境を大切にすることをおざなりにしていて何になるのだろう。地球規模で考えることと一人ひとりがすべきことをつなげる必要があると感じた。
そして、もう一つ。このイベントのドナーとなっているのがアメリカ、日本、オーストラリアの先進国という点。気候変動の原因であるCO2を大量に排出している国が、海岸浸食などの被害をこうむるこの国で環境啓発を行っているというあべこべな感じ。加害者としての自覚を持って現状を伝えることは先進国としての責任を果たすという意味でも非常に意味があると思う。何も伝えないよりかははるかに良い。ただ、この大きな問題に対してポンペイの人々が何をすべきなのかがクリアになっていないような気がする。先進国の目線ではなく現地の人の目線で、本当に彼らが取り組まなければならないことをどれだけ伝えられているのだろう。

国際協力の現状を垣間見て、考えさせられる意味のある一日だっだ。



24年度2次隊 浜川

2013年3月 埋立場の大規模修繕&BOP調査団(廃車リサイクルビジネス)

2013-04-15 20:05:02 | チューク州
こんにちは。新年度となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
日本の職場からは異動された方々のお名前を伺いました。これまで一緒に働いていた方が異なる職場へと変わってしまうのは寂しいですが、新たな職場でのご活躍を願っています。6月末に帰国した際に新たな方々と仕事ができるのも楽しみです。
ちなみに決選投票となっていた州知事選挙の結果ですが、現職が当選しました。かなりの接戦ではあったようですが。
それでは先月の活動をお送りします。

1.平成25年3月の主な活動
JICA専門家のもと、1日にJCC(Joint Coordinating Committee)ミーティングを行い、廃棄物処理を主体的に担う環境保護局と公共事業局とともに、これまでの活動を振り返り、今後一年間の計画(MOU:Memorandum of Understanding)を話し合いました。
昨年12月に廃棄物に関するこれから5年間の州戦略が策定されたのですが、これをモニターするために多様な関係者から構成される運営委員会を設置することが決まりました。



これを受け、26日には関係者を集めてワークショップを開催。周知不足からか思うように人は集まりませんでしたが、州戦略と現在の活動を共有、諸問題について意見交換を行いました。今後、州知事を通じて正式に運営委員会を立ち上げ、定期的に話し合いの場が持たれることになっています。






また、日本から重機が2台(エクスカベータとホイルローダ)が贈与されたため、11~12日の2日間、メーカーの日立による研修が行われました。この重機は道路補修等のほか、埋立場の維持管理にも使われることになっており、活躍が期待されます。



23日の土曜日には、ロータリークラブが主催した空港での清掃活動。女性が多く参加し、敷地内の草刈りやごみ拾い、そして汚いことで悪評高い(笑)空港のトイレ掃除なども行われました。私も参加しましたが、みるみるきれいになっていくのは気持ちが良いですね。この日だけでは終わりきることが出来なかったため、4月も開催が予定されています。


2.埋立場の大規模修繕
3月はJICA専門家のもと、既存埋立場の大規模修繕を行いました。現在はブルドーザーにより、ごみをただ奥に押しやるだけのオープンダンプ。周囲が湿地帯に位置する埋立場は非常にぬかるみやすく、道沿いからごみを捨てます。そのため、埋立場から道にごみがあふれることもしばしば。あえなく近隣の土地に不法投棄されたごみを見かけることもありました。



専門家が課題として掲げたのは、不明確な土地境界線、ごみから金属を抜き取る人達(裸足の子ども含む)、不十分な管理、土地所有者との土地問題など。これらを少しでも解決するため、今回の修繕に際して以下のような計画を作成しました。



①境界線を超えて拡大しているごみを本来の土地にまで押し戻し、土手(Dyke)を作る。
②アプローチロード(Approach road)を設け、埋立場の内側からごみを捨てられるようにする。
③排水路を設け、雨水を埋立場の外へと排水できるようにする。



①土手の設置作業




このうち②のアプローチロードは、廃タイヤを有効活用し、中に石を敷き詰めることにより、道路の基礎としています。タイヤを奥へと運び、その一つ一つに石を入れ込む重労働。とにかく人手が欲しいということで、周りにいた子どもたちに声をかけてみたところ、喜んで手伝ってくれました。子どもたちに感謝!!


作業終了後にアプローチロード上を駆けまわって遊ぶ子どもたち


1か月での完了を予定していたのですが、雨季への変わり目の時期で雨天が続いたこともあり、現在も作業は続いています。
また、③の排水路の設置については、周囲の土地所有者の同意が取れていないためにまだ手が付けられていません。これにより、雨水が埋立場内に溜まってしまい、この点は以前よりも状態が悪くなってしまっていることが気がかりです。(詳しくは「埋立場の大規模修繕」)


3.BOP調査団~廃車リサイクルビジネス
JICAの委託を受け、3名の調査団がやって来ました。調査目的は廃車リサイクルビジネスの実現可能性について。
チュークでは、道の脇や敷地内に廃車や壊れた重機をよく見かけるため、私も赴任当初から問題視していたテーマでした。



調査団の訪問先は政府関係、車や部品のディーラー、修理屋、リサイクルショップ、港など多岐にわたりました。



チュークでの年間登録台数は推定2000台ほどで、90~95%は日本車。廃車から使える部品を抜き取って修理に用いているのですが、修理屋が、近年困っていると言っていたのが複雑化している電子制御のパーツ。現状は修理が不可能とのことでした。

現在のところは昨年から本格稼働した中国のリサイクル会社が積極的に回収を行っているため、当面は問題がないように思えます。ただ、廃車の大部分を占めるスチールは山積みされていて、最近は輸出をしていない様子。金属の価格変動は激しく、価格が低い時には廃車の回収が滞ってしまう可能性がある他、この会社も今後どれだけ事業を継続できるかという不安もあります。

そして私として気になるのが、チュークの車のほとんどが日本からの中古車である点。日本には自動車リサイクル法により、車の購入時にリサイクル費用が前もって支払われ、そのお金が廃車時のリサイクル費用に使われます。しかし、中古車として海外車が数年後にごみとなってしまうのです。

この状況はチュークに限らず、他の途上国も同様のはず。日本としても何か対策を考える必要がありそうです。(詳しくは「BOP調査団~廃車リサイクルビジネスの実現可能性 」


4.この1カ月を振り返って
 今月は、長年の課題であった埋立場の修繕に手を付けられたことがチュークにとって大きな前進です。たまたまではありますが、日本から重機の寄贈とほぼ同じタイミングで修繕が開始され、目に見えるように改善が進んでいくのは、実際に作業をしている公共事業局のスタッフにとっても大きなやりがいとなっています。

なお、日本同様、チュークにおいても埋立場の周辺住民との合意形成に大変苦労しています。このため、記載したように修繕の計画にも大きく影響を与えています。専門家が次回訪問を予定している6月下旬までに解決の道が開かれると良いのですが。

 私の活動もいよいよ残すところあと2カ月あまり。帰国を意識するようになったからか、最近特にここでの生活スタイルなど、日本と異なる部分を考えるようになり、チュークも良いところだなと改めて認識しています。少し前までは、日本に帰りたいと強く思う時期もあっただけに、不思議なものです。
そのようなチュークに少しでも貢献できるよう、現地の人たちと共に出来ることを悔いなくやっていきます。



(おまけ)今号も最後に写真をいくつか


2月から収集を開始した地域でのひとコマ。特に子どもたちはごみ収集車に興味津々です。



到着した重機の部品が入った箱にあった緩衝材のプチプチをみんなでつぶすおじさんスタッフたち。これを楽しむのはチュークでも同じなんですね。



空港での清掃活動終了後、各自持ち寄った食べ物を手にお疲れさま。やはり皆さんこの一時が大好き。写真を撮っていると、いつものごとく「サーモガ」(食べましょう)と声をかけてくれました。


チューク州環境保護局 平成23年度1次隊 前川健一