ミクロネシア 青年海外協力隊環境隊員のブログ

ミクロネシア連邦国において環境分野で活動する青年海外協力隊、シニアボランティアからの報告。コメントお待ちしています。

コスラエの「ロンリー」 (コスラエ州SV、坂根篤)

2013-12-29 11:27:17 | コスラエ州

「ロンリ-」一家
卵から5羽が孵り、直ぐに内1羽がいなくなり
母親と4羽(写真は3羽)の生活が始まった


今の「ロンリ-」
まだまだ小さいが元気に生きていこうとしている
警戒心が強いので望遠でパチリ

我家の周りは自然が一杯で、前にも書いたが、オオトカゲ、ニワトリ、イヌ、ネコ、カニ、クモ、ヤモリ、普通のトカゲ、カタツムリ等が出没する。ニワトリは卵がかえってヒヨコになり大きくなるまで見ることができる。うちの庭で生まれた「うちの子」や、隣の庭で生まれた「隣の子」は、卵・ヒヨコの時から知っているので、大きくなっても見分けがつく。餌も優先してあげている。
今年の8月に卵5個からヒヨコがかえった。直ぐにヒヨコ1羽がいなくなったが、母鳥は4羽のヒヨコをすくすくと育てていた。しかし、9月に母鳥が突然いなくなりヒヨコ4羽だけが残されてしまった。母鳥は地元の子供たちがさらって行ったのだろう。小さなヒヨコ4羽だけで大自然に向かい生きている姿は、まさに「けなげ」としか言いようがない。しかし、やはり小さなヒヨコにとって自然の掟は厳しく、1羽減り、2羽減り・・・最後に1羽だけが生き残った。我々は最後に残った1羽を「ロンリ-」と呼んで可愛がっている。
「ロンリ-」は警戒心が異常に強く、我々に姿はほとんど見せず、また我々の姿を見ただけで直ぐに逃げてしまう。小さな体なのに精一杯足を延ばして全速力で逃げる姿はユ-モラスだが可哀そうでもある。しかし、見かけるたびに「ロンリ-」と呼びかけ餌をばらまいた。最近では我々に時々姿を見せるようになり、「ロンリ-」と呼ぶと少し近くまで寄って来て、ばらまいた餌をくわえて一目散に遠くへ逃げていくようになった。我々の任期が終わる来年3月中旬までに大きく育ってほしいと思っている。
私の配属先(公共事業局)・州(コスラエ)・国(ミクロネシア連邦)の廃棄物対策の大きな流れに対し、私のささやかな活動が将来どれだけ生き残るのか・・・「ロンリ-」のようにただ一つだけでも、わずかでも生き残って欲しいと思う今日この頃である。


コスラエのラジオ体操 (コスラエ州SV、坂根篤)

2013-12-15 09:07:30 | コスラエ州

配属先(公共事業局)でのラジオ体操

コスラエ州では糖尿病等成人病に罹る人たちの割合が非常に多い。食事と運動が大事だということはみんな知っているが実行は難しいようだ。去年の話になるが、州政府は州政府職員の健康管理の為、2012年8月から数か月間「Fitness Day(フィットネスデー)」を設け、毎週金曜日12時から2時間程度(金曜日は14時30分まで就業時間)各部局に運動を推奨した。
我が公共事業局では、日本に来たことのある局長が何故かラジオ体操を知っていて、その「フットネスデー」の最初に毎回ラジオ体操をしようということになった。ポンペイの小学校JOCVから英語版ラジオ体操CDをもらい、フィットネスの最初にラジオ体操、その後、ウォ-キングorバスケット、等をする。JICA駒ケ根訓練所で毎朝ラジオ体操を約2か月間したこともあり、何とかみんなの前で見本を見せながら体操ができて「ホッ」とした。みなさんギクシャクと大きな体を動かして・・・楽しみながら見よう見まねで・・・1・2・3・4・・・ワン・ツー・スリー・フォー・・・ご覧の通り。ラジオ体操はギクシャクしていても、その後のバスケットになると見違える動きでシュート。体は大きいし、スピードはあるし、パワーはあるし・・・やはり人種が違う。日本人は「頭脳」と「勤勉」で勝負するしかないかな・・・少し心細いが・・・

頭脳といえば、局の頭脳は局長で職員は手足。仕事はすべてトップダウン、すべての権限が局長に集まっている。権限もあるが責任もある。職員は毎日定時に帰るが、局長のみは毎日数時間残業をしている。米国のコンパクトマネー削減の影響を受け、州政府予算・局内予算のやりくりも局長の仕事。職員はあまり関心が無いように見えるが・・・。局内のプロジェクトを実施する場合、予算・時間・人員配置等すべて局長が決定する。もちろん実務は現地の技術屋が施工監理するが、費用の増減等の権限はなく、施行責任のみ。予算が無くなれば仕事はストップ、局長承認の予算追加で再開。おかげでトラックスケール上屋は簡単な工事なのに2ヶ月もかかった。予算はニュージーランド援助金なので予算内であったのに、追加工事の都度、局長承認が必要なためだった。これが予算オーバーであれば完成までにどれだけの時間が必要なのか・・・1年?2年?気が遠くなる。我々JICAボランティアはこの「頭脳」と「手足」両方の役割が求められていると思う。

ちなみにラジオ体操のCDをこのフィットネスデーのために入手したので、その日以降、我家では随伴家族(妻)と一緒に毎朝ラジオ体操をするのが日課となっている。


コスラエの海岸浸食 (コスラエ州SV、坂根篤)

2013-12-10 15:41:32 | コスラエ州

建築廃材で簡単な防波堤を造ったがその上を超えて波が押し寄せ
珊瑚・土砂を道路上に残して行くのでコスラエの1本道の片側一車線は不通
ひどいときには二車線とも不通となる

コスラエの舗装道路は、信号の全く無い1本道でほとんどが海岸近くを通る。全島の3/4が開通している。1/4はワラン村に通じる道路で現在開通工事が行われている。海岸近くを走るので、素晴らしくきれいな海を見ながらのドライブは非常に気持ちが良い。しかし、この道路の数カ所が海岸からの波を受け不通になることがある。特に冬場(コスラエに冬はないが11月~2月)は貿易風が強くなる関係からか満潮時はひどい状況だ。地球温暖化による海面上昇の影響といわれている。先進国が大量に排出する二酸化炭素(CO2)で、CO2をほとんど排出しない大洋州の島国が被害をこうむる理不尽な問題でもある。道路が不通になったり、今まで住んでいた土地に住めなくなったり、領土面積がだんだん減っていったりするので、国民にとっても国家にとっても大問題だ。
JICAは専門家や短期シニアボランティアをコスラエに派遣し、海岸浸食対策援助を実施している。彼らの活動は、防波堤を築く・バイパス道路を造る等対処療法の施工方法提案のみならず、より根本的な解決計画をも提案しているようだ。コスラエ州は各国の援助を得て調査し、海岸浸食対策・改善計画を述べた「Kosrae Coastal Management Plan 2013」を発行する予定。


コスラエの環境教育 (コスラエ州SV、坂根篤)

2013-12-05 20:16:26 | コスラエ州

2013年12月4日
レラ小学校6年生
恒例の配属先(公共事業局)訪問


つい先日導入されたトラックスケールに興味深々

レラ小学校では6年生になると環境教育の一環として、学校での勉強だけではなく、公共事業局を訪問してごみの話・埋立場の話・環境の話を聞き、埋立場を見学する。レラ小学校では独自の環境教育をローカルティーチャーが行っている。今回は配属先局長代行等関係者が環境問題・ごみ問題・下水処理問題・汚泥処理問題を説明していたが、内容が高度で生徒たちが理解しているのか心配しながら聞いていた。私も準好気性埋立場の原理の説明・地球温暖化の話をできるだけ分かり易くした(つもり)。しかし、生徒たちは説明後の質疑応答で「生分解性廃棄物・非生分解性廃棄物」「3R」「ごみ分別」等に関して質問し、我々の質問にしっかりと答えていた。思ったよりもはるかに環境教育が進んでいると感じた。室内説明会の最後に生徒たちが「環境の歌」を歌ってくれた。そのあと埋立場見学に出発。歌はコスラエ語なので理解できなかったが、歌詞の中の「Reduce」「Reuse」「Recycle」が聞き取れた。ハーモニーも美しくなかなか面白かった。この様に、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」で造られた福岡式埋立場を利用して、コスラエのレラ小学校は環境教育を実施している。