コスラエ州福岡式埋立場全景
Hello everybody, my name is Atsushi Noba Sakane. “Noba” is my Kosraean Name.
2012年4月ミクロネシア連邦コスラエ州公共事業局に廃棄物対策で赴任して1年4か月が過ぎた。試行錯誤しながらこれまで活動してきたが、任期が後8か月となり今までの成果と今後の課題が見えてきた。これまでの活動内容とこれからの課題を順次報告して行きたい。
コスラエ州公共事業局で毎週月曜日の朝に開かれるスーパーバイザー会議は、局長、管理部長、技術部長、土木建築技術者と4人のスーパーバイザーが出席し、先週の実績・問題点、今週の予定・問題点を各自が報告し、情報を共有する。2012年4月赴任後初めての会議で、配属先が私に何をしてもらいたいかではなく「私がコスラエで何をするつもりか」をいきなり聞かれ戸惑ったが、1週間後の会議で報告する旨伝え、その間に資料を読みあさり、現地を見て廻り、カウンターパートと検討し、自分なりの方針を決め、2回目のスーパーバイザー会議で発表した:
1. 福岡式埋立場の改善提案を行う
2. 廃棄物処理の具体的対策(プロジェクト)を提案する
2-1. ごみ埋立場に搬入されるごみ重量を計量する「トラックスケール」を設置する
2-2. グリーンウエスト(樹木草花)を処理する「破砕機」を設置する(コンポスト、コンポガス)
2-3. 州立病院からの感染性廃棄物、注射器・針等を焼却処理する「医療廃棄物焼却炉」を設置する
会議後先ずはプロジェクト実現の為、現地調査、技術調査、財源調査、から開始した。
これまでの環境教育・廃棄物対策のベースが、キャパシティビルディング、啓蒙教育活動に偏っていると思っていたので、あえて廃棄物対策処理「設備導入」に注力した。同期の環境隊員が同じコスラエ州で活動しているので安心してそちらの方面(環境教育)を任せられたのも理由の一つ、配属先が分かり易い・目に見える成果を求めていると感じたのも理由の一つ、カウンターパートに設備導入のノウハウを伝えたかったのも理由の一つである。
設備導入に注力したもう一つの理由は、廃棄物処理問題の本質が見失われ効率的な設備導入や立法を含めたシステム構築よりも市民運動としてのリサイクリング運動が膨大な費用と時間と労力をかけ実施されあたかもリサイクリングの中心課題であるように考えられていること、および、有害廃棄物・処理困難廃棄物の処理・防止対策よりもごみ散乱防止運動に大きく比重をかけて実施されていることに疑問を感じたからである。リサイクリングのみでは、ごみの減量・減容化の限界がある程度見えてきてしまう。リサイクリングの立法を含めたシステム作り、効率的にリサイクリングする設備の導入、リサイクルした資源の活用・処理方法を図るとともに、他のソフト・ハードの処理方法との組み合わせにより、より効果的・効率的な具体的な廃棄物処理方法の提案をしたいと感じた。また、ごみの散乱は道徳・しつけの問題であり、健康被害等防止対策を考えると、廃棄物対策の本質的な解決には別の道もあると思ったからである。
誤解の無いように説明すると、私はリサイクリング運動やごみ散乱防止運動を否定しているわけでは無く、あまりにも活動の中心(人、金、物)がその運動に偏り過ぎていると感じていること、および、まだまだ効果的な立法化や適正設備の導入が不足していると感じていることを伝えたかったのである。要は、バランスである。私が「システムが大事」「設備が大事」と極論を吐くのも、そのバランスを少しでも取りたいと思うからである。
適切な設備を導入することで処理対象の情報を正確に把握し、衛生的・効率的に処理し、再利用できる。配属先その他の設備使用者も、据付・運転管理を通して廃棄物を処理する技術・バリエーション・方法・対策を学んでもらえると思う。例えば、腐敗性有機物・病原性細菌・有害有機化学物質・処理困難物を無害化・無機化し、地球温暖化に大きな影響を与えるメタンガス(同量のCO2の21~72倍の温室効果をもたらす)発生を大幅に抑制し、その容量を1/10程度に削減できる焼却設備導入に慎重な意見があると聞いているが、島嶼国での医療廃棄物、処理困難廃棄物等は焼却処理が最適だと私は思っている。このように、まだまだ廃棄物処理に必要な設備は足りていないとの私個人の認識でこの1年4か月頑張ってきた。しかし、2年間の任期では設備導入の限界(適正設備導入がまだまだ不足)が見えてきたことは非常に残念だ。
例えれば、草を刈るのに人力では限界がある。いくら効率的な草の刈り方を教えても、精神論で頑張らせても、人力のみではいくらも除草できない。しかし、鎌やナイフがあれば、大幅に草刈面積は増える。芝刈り機があれば飛躍的にその効率はアップする、芝刈り自動車はグランドレベルの芝刈りも可能である。芝刈り機は高いからとか、ガソリンが要るからとか、運転メンテが難しいからとかの理由で支給しないのであれば、いつまでたっても小さな箱庭程度の除草しかできない。この「鎌」「ナイフ」「芝刈り機」「芝刈り自動車」の導入を図るのが私の計画である。
とはいうものの、着任当初の目標はなんとかようやく達成に近づいてきたので、新目標を4項目計画した。
3. 廃棄物対策新プロジェクト
3-1. 「モーターグレーダー」導入
3-2. 一般廃棄物・プラスチック・廃油・タイヤ等の「焼却プラント」設置
3-3. 立法化~輸出まで「廃車リサイクルシステム」の構築、「プレスマシン」設置
3-4. 福岡式埋立場排気筒基礎改造工事
各々のプロジェクトの内容・進捗状況を順次報告したい。