こんにちは。9月末から一週間ほど、チュークでは珍しい大嵐に見舞われました。
他島から通勤・通学している人達もたくさんいますので、何艘ものボートが転覆してしまったそうです。海が生活の場ということを改めて感じさせられた出来ごとでした。
1.平成24年9月の活動
6日に新郵便局がオープンしました。
チュークに一つしかない郵便局ですが、土地問題により移転。これまで仮オフィスにて営業を続けていましたが、ようやくきれいで立派な建物に落ち着きました。チュークにおける土地は全て私有地で、政府のオフィスですら土地所有者からリースしています。伝統的な土地所有が残っているため、土地問題はとても複雑です。
それが私たちの活動にも影響したのが12日。埋立場へと向かうアクセスロードが、政府からのお金の支払いを求める一部の土地所有者によりブロックされてしまったのです。
これにより、埋立場へ向かうためにはここから30分ほどかかる道を遠回りせねばならず、しかもその道はチュークの中でも最悪の悪道。一刻も早い解決を望みます。
9月は8月に引き続き多くの訪問者がありました。18日には、チューク名家相澤氏の出身地藤沢市よりロータリークラブが6月に続いて来られ、こちらのロータリークラブと意見交換をした他、入院キット100セットを州立病院へ寄贈されました。
また、28日からはNPOのAMD(Association for Micronesian Development)が来られ、離島に3年前に設置した風力発電の修理を行いました。チュークには、この団体により設置されている風力発電が2機あり、1つは電波塔として使われ、もう一つはザビエル高校の電灯として利用されています。
さらに9月は会計年度の最終月となるため、1年間の活動のまとめをEPAニュースレターとして作成しました。これは同僚に依頼されて急遽作ったもので、今後他の部局や議会、各団体等へ配布される予定です(プリンターのカラーインクが納品され次第)。
画像は4ページあるうちの1ページ目。振り返ってみると、JICAや日本大使館等のプロジェクトのもと、色々なことをやってきたなぁと実感。これらを今後もしっかりと継続できるよう、残された期間を工夫して取り組んでいかなければ!
2.小学校訪問
これまで私の1年3か月の活動の中で、チュークでは3度学校訪問を行い、ごみ問題に関する授業を行わせていただきました。
2年間のうちに果たして何回できるかなぁと考えていたら、急遽9月の2週間で10校の訪問を行うことが決定。というのも、これが今年度の予算を確保する際の同僚の目標だったからであり、会計年度末となる9月に一挙に達成しようとしたからでした。
この計画性のなさに・・・ですが(笑)、やるからにはということで、同僚とその内容について話し合いました。そして、既にコミュニティでも紹介している亀のストーリーの絵本(首都ポンペイ州の幼児教育隊員が作成したもの)によりごみが環境に与える影響について気付きを与え、さらに3Rの資料を通して、自分達に何ができるか考えてもらおうということをテーマにしました。
各学校へのアポイントメントも前日に行うような状況であったため、どれ位の時間をいただけるか少し不安もあったのですが、行ってみれば各学校ともほぼ全員の生徒を集めてくれ、説明するのに十分な時間(30分ほど)を与えてくれました。
説明を行った同僚のアンタシオは、必ず最後に生徒に質問があるか聞いていたのですが、質問をするのはどの学校も先生から。ごみ問題は自分の生活に身近なだけに、やはり関心が高いです。
なお、日程の途中でアンタシオの親戚に不幸があったため、訪問できたのは4校で残りの6校は延期となっています。腰を上げるのに多大な労力が必要なチューク人ですが、動き出すとその勢いはすごい。そのことを今回も思い知らされました。(詳しくは「小学校訪問」)
3.島の清掃デー
9月はチュークのSanitation month(衛生月間)に定められています。このため、最終週の1日に州政府の各部局が担当地域を定めて、清掃活動を行いました。八王子市で行っている町の清掃デーや川の清掃デーを思い出させます。普段は住民団体やNGO等が中心となって清掃活動が行われているのですが、今回は州政府のスタッフが実際に汗を流します。
私たち環境保護局は、まだ収集システムがないメチティウ村を担当したのですが、やはりたくさんのごみが。10名のスタッフで2時間ほどかけて行ったのですが、その数は50袋ほどとなりました。私はリサイクルするために缶だけを3袋集めたのですが、そのうち1袋が知らぬうちにごみ収集車へと投げ込まれてしまいました。とほほ・・・。
4.この1ヶ月を振り返って
急遽入った小学校訪問で、私のスケジュールも変更を強いられたのですが、多くの子ども達と触れ合えたことは大きな収穫です。ワークショップの内容もそうですが、彼らにとっては外人である私がいるということだけでも、彼らを惹きつけることが出来るんだと感じました。私が伝えたいことを全部伝えるにはどうしても英語となってしまうのですが、高学年の生徒達でもあまり理解できていないようでした。そこで次の学校では、私が知る限りのチューク語で必要なことだけ伝えると彼らの目は輝いていました。
相手が理解できる言葉で話すとともに、伝えたいことをシンプルに明確にするということが、大勢を前に説明する際には重要だということを学びました。やはりチューク語の語彙も増やしていく必要があります。私の活動の中ではまだ十分に行えていない学校訪問ですが、環境保護局の中でも、今後は環境教育を通常のカリキュラムの中に組み込んでもらうといった計画もあるので、関心が高い先生方を巻き込みながら取り組んでいきたいと思います。
最後に今回も写真をいくつか。
小学校訪問で大活躍の同僚アンタシオのもう一つの仕事。それはラジオを通じて環境の重要性を理解してもらうこと。
一度仲を覗かせてもらおうと訪れたのですが、チュークにしては意外にも(?笑)設備はそれなりに整っていました。高そうな機材にメンテナンスは大丈夫なのか、そればかり気になってしまいました。
こちらはNPOのAMDと共に訪れたザビエル高校の壁画。これは生徒により描かれたものだそうですが、チュークの伝統的な衣装や豊かな自然がある一方で、日本が深く関係している戦争の悲惨な歴史が描かれているのを見るととても複雑な気分となります。
こちらも同じく生徒により描かれたもので、海中に眠る零戦です。沈んでから70年近くになりますが、現在はその周りにはサンゴが生え、海中の自然と一体化している様子がうまく描かれています。おそらく7~8mほどの深さにあるものですが、生徒たちはこれを描くために何度も何度も潜ったそうです。
チュークと日本、海と空はつながっている。また、歴史的にも昔から今まで絶え間なく繋がっているんだなと、この夕日を眺めながらしみじみ考えさせられました。
平成23年度1次隊チューク州 前川健一
他島から通勤・通学している人達もたくさんいますので、何艘ものボートが転覆してしまったそうです。海が生活の場ということを改めて感じさせられた出来ごとでした。
1.平成24年9月の活動
6日に新郵便局がオープンしました。
チュークに一つしかない郵便局ですが、土地問題により移転。これまで仮オフィスにて営業を続けていましたが、ようやくきれいで立派な建物に落ち着きました。チュークにおける土地は全て私有地で、政府のオフィスですら土地所有者からリースしています。伝統的な土地所有が残っているため、土地問題はとても複雑です。
それが私たちの活動にも影響したのが12日。埋立場へと向かうアクセスロードが、政府からのお金の支払いを求める一部の土地所有者によりブロックされてしまったのです。
これにより、埋立場へ向かうためにはここから30分ほどかかる道を遠回りせねばならず、しかもその道はチュークの中でも最悪の悪道。一刻も早い解決を望みます。
9月は8月に引き続き多くの訪問者がありました。18日には、チューク名家相澤氏の出身地藤沢市よりロータリークラブが6月に続いて来られ、こちらのロータリークラブと意見交換をした他、入院キット100セットを州立病院へ寄贈されました。
また、28日からはNPOのAMD(Association for Micronesian Development)が来られ、離島に3年前に設置した風力発電の修理を行いました。チュークには、この団体により設置されている風力発電が2機あり、1つは電波塔として使われ、もう一つはザビエル高校の電灯として利用されています。
さらに9月は会計年度の最終月となるため、1年間の活動のまとめをEPAニュースレターとして作成しました。これは同僚に依頼されて急遽作ったもので、今後他の部局や議会、各団体等へ配布される予定です(プリンターのカラーインクが納品され次第)。
画像は4ページあるうちの1ページ目。振り返ってみると、JICAや日本大使館等のプロジェクトのもと、色々なことをやってきたなぁと実感。これらを今後もしっかりと継続できるよう、残された期間を工夫して取り組んでいかなければ!
2.小学校訪問
これまで私の1年3か月の活動の中で、チュークでは3度学校訪問を行い、ごみ問題に関する授業を行わせていただきました。
2年間のうちに果たして何回できるかなぁと考えていたら、急遽9月の2週間で10校の訪問を行うことが決定。というのも、これが今年度の予算を確保する際の同僚の目標だったからであり、会計年度末となる9月に一挙に達成しようとしたからでした。
この計画性のなさに・・・ですが(笑)、やるからにはということで、同僚とその内容について話し合いました。そして、既にコミュニティでも紹介している亀のストーリーの絵本(首都ポンペイ州の幼児教育隊員が作成したもの)によりごみが環境に与える影響について気付きを与え、さらに3Rの資料を通して、自分達に何ができるか考えてもらおうということをテーマにしました。
各学校へのアポイントメントも前日に行うような状況であったため、どれ位の時間をいただけるか少し不安もあったのですが、行ってみれば各学校ともほぼ全員の生徒を集めてくれ、説明するのに十分な時間(30分ほど)を与えてくれました。
説明を行った同僚のアンタシオは、必ず最後に生徒に質問があるか聞いていたのですが、質問をするのはどの学校も先生から。ごみ問題は自分の生活に身近なだけに、やはり関心が高いです。
なお、日程の途中でアンタシオの親戚に不幸があったため、訪問できたのは4校で残りの6校は延期となっています。腰を上げるのに多大な労力が必要なチューク人ですが、動き出すとその勢いはすごい。そのことを今回も思い知らされました。(詳しくは「小学校訪問」)
3.島の清掃デー
9月はチュークのSanitation month(衛生月間)に定められています。このため、最終週の1日に州政府の各部局が担当地域を定めて、清掃活動を行いました。八王子市で行っている町の清掃デーや川の清掃デーを思い出させます。普段は住民団体やNGO等が中心となって清掃活動が行われているのですが、今回は州政府のスタッフが実際に汗を流します。
私たち環境保護局は、まだ収集システムがないメチティウ村を担当したのですが、やはりたくさんのごみが。10名のスタッフで2時間ほどかけて行ったのですが、その数は50袋ほどとなりました。私はリサイクルするために缶だけを3袋集めたのですが、そのうち1袋が知らぬうちにごみ収集車へと投げ込まれてしまいました。とほほ・・・。
4.この1ヶ月を振り返って
急遽入った小学校訪問で、私のスケジュールも変更を強いられたのですが、多くの子ども達と触れ合えたことは大きな収穫です。ワークショップの内容もそうですが、彼らにとっては外人である私がいるということだけでも、彼らを惹きつけることが出来るんだと感じました。私が伝えたいことを全部伝えるにはどうしても英語となってしまうのですが、高学年の生徒達でもあまり理解できていないようでした。そこで次の学校では、私が知る限りのチューク語で必要なことだけ伝えると彼らの目は輝いていました。
相手が理解できる言葉で話すとともに、伝えたいことをシンプルに明確にするということが、大勢を前に説明する際には重要だということを学びました。やはりチューク語の語彙も増やしていく必要があります。私の活動の中ではまだ十分に行えていない学校訪問ですが、環境保護局の中でも、今後は環境教育を通常のカリキュラムの中に組み込んでもらうといった計画もあるので、関心が高い先生方を巻き込みながら取り組んでいきたいと思います。
最後に今回も写真をいくつか。
小学校訪問で大活躍の同僚アンタシオのもう一つの仕事。それはラジオを通じて環境の重要性を理解してもらうこと。
一度仲を覗かせてもらおうと訪れたのですが、チュークにしては意外にも(?笑)設備はそれなりに整っていました。高そうな機材にメンテナンスは大丈夫なのか、そればかり気になってしまいました。
こちらはNPOのAMDと共に訪れたザビエル高校の壁画。これは生徒により描かれたものだそうですが、チュークの伝統的な衣装や豊かな自然がある一方で、日本が深く関係している戦争の悲惨な歴史が描かれているのを見るととても複雑な気分となります。
こちらも同じく生徒により描かれたもので、海中に眠る零戦です。沈んでから70年近くになりますが、現在はその周りにはサンゴが生え、海中の自然と一体化している様子がうまく描かれています。おそらく7~8mほどの深さにあるものですが、生徒たちはこれを描くために何度も何度も潜ったそうです。
チュークと日本、海と空はつながっている。また、歴史的にも昔から今まで絶え間なく繋がっているんだなと、この夕日を眺めながらしみじみ考えさせられました。
平成23年度1次隊チューク州 前川健一